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人を集めるにはコツがある。仲間を増やすために必要な“募集要項”とは

映画制作団体「映画工房カルフのように」を主宰するオリカワシュウイチさんが、超初心者に向け映画の作り方をレクチャーする『映画が作れるようになるメールマガジン』。今回は映画製作にもプライベートにも使える仲間を呼ぶためのコツを伝授しています。

仲間集めのツボについて

もう25年くらい前の話になりますが、知り合いからある集まりに誘われました。その集まりには、全く興味がなかったんですが、僕は喜び勇んで出かけることにしました。

なぜか。

知り合いは僕に耳打ちしたのです。「○○ちゃんが来るよ」と。

○○ちゃんとは、僕が当時、好きだった女の子。で、結局、行ってみたら○○ちゃんはいませんでした。知り合いは、「あれ?声かけたんだけどなあ・・」とすっとぼけていましたね。

今回は「仲間の集め方」についてのお話です。メルマガでもよく話す内容ですが、ちょっと方向性を変えてお話しします。

冒頭の僕のくだらないエピソードからは、2つの学びがあると考えています。

1.相手のツボをつけば呼べる
2.1回だけなら騙してでも呼べるが…

それぞれ解説します。

相手のツボをつけば呼べる

仲間の集め方に悩んでる方にはいくつかの共通点があります。その一つは、<自分のことしか考えてない>ということではないでしょうか。

「こんな作品が作りたいんです!」と声を張り上げても、他人には響かない。「こんなストーリーなんです!」と詳しく語られても、ひとは振り向かない。

冒頭の知り合い(友人とは言いたくない)は、集まりそのものの説明はほとんどしませんでした。集まりの意義についても触れませんでした。ただ、僕が関心を持つツボをついたわけです。

…ものすごく低俗な事例ですけどね ^^;

相手が確実に興味を持つツボが分かれば、人を口説くのは簡単、ということになります。映画を作りたい人のツボ。これ、簡単に想像がつくんです。

監督をやりたい人なら「多くのスタッフや役者との出会い」がツボでしょう。

カメラに興味がある人なら「撮影計画を練るところから協力してもらいたい」という言葉にグラっとくる。

役者をやりたい人なら「完成作品を数多くの人の目に見てもらえる」ことがうれしい。

こういう相手に刺さるツボを押さえて、募集の文言を作っていく必要があります。

役者を集めたいなら、

・いつくらいに完成予定か
・完成後、どのくらい上映するのか
・映画祭にはいくつ応募するのか

こういったことを書くわけです。「30歳くらいに見える髪の長い女性募集!」じゃ刺さらないんです。

「大事なのは、相手のツボをつくこと」と書きましたが、言い換えると、ツボ以外のことはサラッとでいい。ところが一般的には、<ツボ以外のこと>ばかり書き立てている募集をよく見かけます。例えば「ストーリーの詳細」とか「自分がいかに映画を作りたいか」といったことですね。

ただこれも、状況によっては異なりますよ。昨今流行ってきたクラウドファンディング。これは、作品や制作そのものに関心を持ってもらい、お金を出してもらうもの。メッセージ性の強い作品など、そのテーマに惹かれて人が集まる(出資する)ということはあります。

今回書いているのは主に、「撮影にスタッフとして加わりたい」というパターンですので。

1回だけなら騙してでも呼べるが…

また冒頭のエピソードに戻りますが、僕はまんまとその知り合いに騙されました。その後、その知り合いの言葉は一切信用しなくなりました。

…繰り返しますが、低俗な事例ですみません ^^;

ツボをつけば人は動きますが、それが嘘だと分かった途端、もう関係は完全に断たれます。相手のツボが分かれば、口説くのは簡単。

しかし同時に、相手もバカではありません。ツボをつく表現に対し、「ほんとに??」と疑いの目を向ける人も現れます。

だから、人を集めたい時は、自分が話すことの正当性もまた伝えなきゃいけません。

先ほどの、役者を集める例を続けると、

・いつくらいに完成予定か
→制作工程を詳しく書くことで、確かにそのくらいに完成しそうだと感じてもらう

・完成後、どのくらい上映するのか
→上映計画も具体的に書くことで、本当にちゃんとやってくれそうと感じてもらう

・映画祭にはいくつ応募するのか
→具体的に応募を考えている映画祭を羅列する。映画祭の募集スケジュールや応募要項なんていくらでも調べられます

もし、「人が集まらない」と感じていたら、一度、募集の表現を見直してみるといいでしょう。

とは言え、募集というのはやはり難しい側面もあります。人が集まったとして、その人と会ってみると目的が合致しない、ということもよく起こります。何度か経験を積みながら、募集の精度も上げていく必要があるんですね。

レッツトライ!

<今回の教訓>

仲間集めもスキル。だから練習が必要です。

image by: Shutterstock.com

『映画が作れるようになるメールマガジン』

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知識・仲間・機材ゼロから「映画工房カルフのように」を作った”工房の主人”が、14年の自主映画体験を元に「絵コンテを使って日常的に映画を作る方法」をお届けする、超初心者のための映画の作り方メールマガジンです。セミナーやワークショップも行っています。

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