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なぜ「漫画の出版ペース」は以前より1ヶ月も早くなったのか?

半導体製造装置やアミューズメントゲーム機などの会社で、設計・開発に携わった後に漫画家としてデビューした元エンジニア漫画家の見ル野栄司さん。自身のメルマガ『見ル野栄司のシブすぎ技術秘話』の中で、最近の漫画業界とチェーン飲食店の共通点について語っています。

※本記事は有料メルマガ『見ル野栄司のシブすぎ技術秘話』2021年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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チェーン飲食店と漫画業界

今回は漫画のお話をば。

昨今の漫画の出版スピードが早いことは以前、書きましたがおさらいをしておきます。

最近の漫画単行本の出版スピードは3か月に1冊というのが最速でしたが、2か月に1冊という動きになるようです。

これは書店側が、お客さんが減ってきたのはもちろんですが漫画を読む人がせっかちになってきたのもあるようです。

要するに、ネットで漫画を読みなれた人が増えていて飛ばし読みに近い速度で読むことに慣れてしまったようなのです。

それだけ今の漫画が読みやすくなったのもあるのですが、

スマホでも読みやすいようにコマをデカくしやがっている!

のです。

これは作家にとっては楽なんですが、これが逆に受ける。

しかし、編集者にとっては原稿料払っているのに

なんでこんな楽してんの?

という矛盾が発生します。ここで頭のいい編集者は売れることが正解なので、コマを大きくして、漫画家に派手な演出を描かせることができるんですね。

逆に古い考えの編集者はコマを沢山詰めたがる。

そうしないと、読者に申し訳ない。せっかくお金を出して漫画を読んでもらっているんだから、もっと描きこめよ!と。

漫画家も職人肌な人はぎゅうぎゅうにしてしまいます。

それでは今の読者は逃げてしまうわけです。

1巻を読むのに10分もかからないもので十分でありそれだけ魅力的にすればいい。ここはまた難しいところですが。

みなさん、ここまで読んでいて気付いたかもしれません…

昔と今の読者が若干変化してきているんです。それは、考えて読まない読者が増えてしまった

ということです。

これは悔しい話でして、私も漫画を描く時にわかりやすくわかりやすく噛み砕いてやっているのにまだ理解できない…という声が多々あるんです。

本当に今の読者はシンプルなものが大好きなんです。

わかりやすさ!

これでいいのか!?

考えたい人は小説を読みましょう。でもいいんですがそうすると漫画で売れるものは

格闘技、スポーツ、学園もの、転生もの

などいままであった安心するもの…が売れてしまいます。

新しい漫画の開発・研究などできないわけです。

革命がおきないんですね。

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最近で流行ったネットフリックスの韓国ドラマ

『イカゲーム』

これはいままであったデスゲームものの集大成なんですが上手くできている。なぜかというと、ネットフリックスはAIを使っているようなんです。

どこで映像を止めたか?再度観ているシーンはどこか?など無数にある顧客データを分析して韓国の『イカゲーム』の監督や脚本に提供したのではないかと。

まあ、ネットフリックスオリジナルドラマだから流石なのですがこれって漫画でどうにかなんないかなー?と思いますよね。

日本の漫画アプリはそこまでのAIアルゴリズムを用意していないと思いますし、それに沿った漫画を創らせるなんて聞いたことありません。

それだけ勘定できる人間がいればいいのですが。なかなか古い体質なようなのです。

大手3大出版の漫画部署の方々は結構なエリート大学を出て入社しています。しかしながら入社した段階でそんな研究をする余裕はなく、すぐ忙しくなるので、先輩の経験から学ぶというスタイルになってしまうんですね。

たしかにSNSや動画など、世の中の動向を調べてはいるようなんですが先を読めるというのはとても難しいんですね。

未来は誰にも見えない理由として車で例えると我々は前の見えない車を運転している。ただしバックミラーだけは見えている。そうです。

バックミラーは過去。過去を見ながら運転しているので、

ここはこういう道だから直線。ちょっと曲がっているからカーブなんだろう。

と予測するしかないんです。

さらにスピードだしたら危険極まりないですよね(笑)。

一応、音楽・映画・漫画などで売れる法則はあります。

それまでの過去に自分がオイシイと思った漫画のシーンや設定・キャラクターなどを寄せ集めることです。

幕ノ内弁当

ですね(笑)。

ファーストアルバムで話題になったミュージシャンはこのスタイルを自然と出して売れるということが良くあります。

ただし、これは若い感性が必要なんですね。

私のような人間がこれをやると、古い時代の美味しいものの集大成になるわけで、カオスになります。

ドカベンがバイクレースに出て途中で戦国時代にタイムスリップする

みたいな(笑)。

スピード時代の話に戻りますが、大手飲食店チェーンも撤収が早いですね。

街の一等地に速攻で作って、3か月で売り上げ目標に達成してなければ撤収!

ってのがよくあります。撤収と見せかけて、違う店ができてもそれは同じ会社の別食品系だったりしますが。

とにかく撤収が早い。これでいいんでしょうか?

もっとゆっくり生きられないんでしょうかね?人間は。(※本記事は有料メルマガ『見ル野栄司のシブすぎ技術秘話』2021年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。)

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image by: Shutterstock.com

見ル野栄司この著者の記事一覧

漫画家 半導体製造装置やアミューズメントゲーム機などの会社で、設計・開発に10年携わりその後漫画家としてデビュー。ものづくりエンジニアの取材漫画「シブすぎ技術に男泣き!」がベストセラーに。現在でもフライス旋盤、3Dプリンター、マイコンボードを使いものづくりをして漫画にしている。週刊プレイボーイ(集英社)、インターフェース(CQ出版)などで連載中。代表作に「シブすぎ技術シリーズ」「ロッカク」(KADOKAWA)「東京フローチャート」「ヤバすぎ技術にむせび泣き!」(小学館)「スナック鳥男」(コアマガジン)他多数。

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【著者】 見ル野栄司 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日(祝祭日を除く)

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