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大統領選も韓流ドラマ?「雨降って地固まる」を地でゆく韓国野党和解劇

先日掲載の「焼肉屋で手打ち?韓国大統領選前に野党を襲った危機と電撃的和解」でもお伝えしたとおり、党分裂の危機を乗り越えた韓国の最大野党「国民の力」ですが、またも難局に直面していたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、再び対立していた党代表と大統領候補との二度目の劇的な和解劇を紹介。大義のため自らを抑制した、36歳という若き代表者の姿勢を高く評価しています。

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尹錫悦と李俊錫、劇的和解

6日のメルマガでもご紹介したように、野党「国民の力」党の内部騒動が激しさを増し、6日夜の会議で対立の極大値をむかえた後、なんと劇的に和解した。まるでテレビドラマを見ているような1日だった。

尹候補と李代表は、選挙キャンペーンの方式などをめぐり2週間以上対立した。「国民の力」議員たちは6日午前10時、李代表の辞任を求める問題をめぐって議員総会を開き、李代表の辞任案を準備していた。しかし、夜遅くまで李代表の進退問題をめぐって議論が難航し、終盤になって李代表と尹候補が順に参加することで和合の場が演出された。

尹候補は同日夜、李代表辞退決議案をめぐって激しい討論が行われた議員総会会場を訪れた。李代表が議員らの前で「また逃げれば党代表を辞任する」とし、もう選挙運動から離脱しないという意思を明らかにした直後だった。尹候補は「李代表を、皆さんが、国民が、選んだ」とし「わたしと代表と皆さんが、力を合わせて3月の大統領選挙を勝利に導こう」と熱く語った。尹候補は続いて「すべてが候補である私のせい」とし「大義(大統領選挙での勝利)のもとで、過ぎ去ったことは全部忘れて、新たに出発しよう」と語った。

尹候補と李代表は、発言を終えて別室に席を移し陪席者なしに数分間対話を交わしてから、再び会場に登場してきて、お互いに抱き合い、葛藤収拾を形で演出する格好となった。議員らは「ユン・ソンヨル!」と叫びながら拍手を送った。壇上に上がった李代表は、「今日、尹候補は議員総会直後に平沢に行く日程があると聞いている。わたしが『国民の力』の代表として、またタクシー運転免許証を持つ者として、候補をお客さんとして遇し案内してもいいだろうか」と述べると、尹候補は席を立って親指を立てて応え、議員たちは大きく歓呼した。すると李代表は、「こんなに簡単なんですよね」と微笑みながら答える。

李代表はさらにこの場で、任命問題で衝突した李哲圭(イ・チョルギュ)新戦略企画副総長に対し、「党本部に野戦ベッドを置いてほしい」とし「党代表ではなく党員(一兵卒)として党本部の中で寝食を解決し、率先垂範の姿勢で選挙に臨む」と述べた。すると議員たちからはさらに大きな拍手が李代表に送られた。

李代表に続いて演壇に立った尹候補は「ひたすら3月の大統領選挙と6月の地方選挙での勝利のために、その勝利を通じて党が再建され、国が正常化し、国民に幸せな未来を約束できる政権政党として回復できるよう、ともに走ろう」と述べた。尹候補は李代表、議員らと「再スタート」「初心に」「国民だけを見つめ、ワンチームに」と掛け声をかけながら議員総会を終えた。

選対本部のイ・ヤンス首席スポークスマンは議員総会直後記者団に対し、「党本部の6階に李代表のベッドが置かれれば候補は5階にいるため、随時対話をすることになり、“パッシング”することもできない」と述べた。同スポークスマンは「尹候補が金鍾仁(キム・ジョンイン)前総括選挙対策委員長を訪ねて会う予定だ」とし「助言を求め、心の内を全部打ち明けて話すだろう」と述べた。

このような葛藤収拾の前まで、国民の力は一日中、激しい痛みを経験した。尹錫悦は前日、選対委解体という「強硬」に出たが、選対委の人的刷新と選挙キャンペーン方式をめぐる李代表との葛藤の溝はさらに深まった。このような状況の中、金起炫(キム・ギヒョン)院内代表は同日午前10時、国会で議員総会を招集し、李代表の辞退決議の議論に入った。一部の議員らからは李代表に対し、「サイコパス」「最低の人間が代表になってる」「青年老人」といった露骨な非難も出ていた。李代表は議員総会に午後5時30分ごろ出席し、自分の立場を公開発言を通じて明らかにした後、非公開で議員らと激しい討論を繰り広げた。李代表は公開発言で「若い世代が再びわれわれの党を支持できる方式でやることで党が変わることが重要だと思った」とし「われらが尹候補が、もう一度国民の絶対的愛を受け、今より広い支持層を構築するために破格の変化がなければならない」と述べた。自分が選対委の刷新を主張して常任選対委員長を辞任したのは、若い世代の支持を取り付けるためだったとも語った。

尹候補と李代表が党務優先権をめぐって正面衝突していた格好だったが、結局李代表が大統領選挙キャンペーンに積極的に協力することにしたことで、葛藤は一旦解消する形となった。「国民の力」関係者は、「尹候補と李代表の葛藤収拾過程で、洪準杓議員が直接・間接的に二人を説得したと聞いている」と語っているように、洪準杓(ホン・ジュンピョ)が表立たない格好で、政権交代のために尽力しているようだ。このあたりは洪準杓の「親分」としての面目躍如といったところか。

残すところあと60日ほど。李俊錫代表が言うように60日あれば十分だ。「わたしが唯一怖いのは大統領選挙で勝てないこと」とし「これからは尹候補と信頼を構築し選挙勝利で応える」と語っている。「これまで失望した姿をお見せしたことをお詫びする」とも言っている。絶対謝らないタイプだと思っていたが、大義のためには自分を抑制することもできるようだ。若いアイディア、若いエナジーが是非とも必要な折り、李俊錫の再合流はこの上ない力となる。残り60日の戦いに大いに期待の持てる日となった。今後はさらに尹錫悦のリーダーシップが問われる時間となる。大統領になっても「これなら任せられる」と思われるような正義と公正を旨としたリーダーシップで引っ張っていってほしい。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年1月7日号)

image by: 国民の力 - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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