先日掲載の「韓国大統領候補の“元愛人”が爆弾発言。『凶悪殺人犯の身内を弁護』の仰天告白」でもお伝えしたとおり、またも大統領候補者に大スキャンダルが噴出した韓国与党「共に民主党」。しかしその大統領選で政権交代を狙う野党サイドにも、一騒動起こっていたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、「国民の力」が襲われた党分裂の危機と、焼肉屋で行われた電撃的な和解の様子を紹介しています。
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「国民の力」分裂の危機から電撃和解
李俊錫(イ・ジュンソク)「国民の力」党代表が11月30日から12月3日までの4日間、SNSに「もはやここまで」と書いて姿をくらました。補佐陣だけを同行させながら釜山(プサン)や順天(スンチョン)、済州(チェジュ)などの地方への訪問を続けていた。党務をぶんなげての行動だったから、党員のみならず、文政権(民主党)からの政権交代を支持する全ての人たちから大いに心配されていた。
党内の選挙対策委員会(選挙キャンプ)の人材擁立などをめぐって李俊錫代表は、大統領候補の尹錫悦(ユン・ソンヨル)候補と大いに対立していた模様だ。36歳という若さのために、尹錫悦が李代表を無視しているといった報道もあった(尹錫悦が本当に若いからと言って李俊錫を無視していたのか、真実のほどはわからない)。
しかし、とにかく党代表の李俊錫が非常にストレスを受けていたらしいことは事実のようだ。だからこれで国民の力は分裂し、大統領選挙も何も台無しになってしまうんじゃないのかという声があちこちから上がっていた。それが12月3日の夕方、電撃的に蔚山(ウルサン)市の焼肉屋で尹錫悦と李俊錫が出会い、「和解」したのだから、「国民の力」党員のみならず、国民みんなが驚いてしまったのも無理はない。
李代表の潜行行動をつぶさに見てみると、「党代表パッシング(李代表をスルーする)」問題に積極的に対抗しようとする彼の意図がうかがえる。党代表として自身の注目度を高め、尹候補側に向けた圧迫効果を極大化するとともに、選挙局面で党代表の役割論を浮上させようというものだ。李代表は、潜行開始から2日目の12月1日午前、釜山の沙上区(ササング)の張済元(チャン・ジェウォン)議員の事務所を訪れた。そして意図的に張議員の姿が描かれた巨大ポスターの前で明るく笑う写真を撮り、これをメディアに公開した。突然姿を消した李代表が初めて公開した写真だけに全国民の関心が注がれた。尹候補の側近とされていた張議員は最近、選挙対策委員会の構成局面で李代表と対立してきていた。このため、李代表が本人とギクシャクしている張議員を公に拒否し、尹候補を圧迫するためという解釈が出されたりしているが、本当のところはわからない(李代表が直接、己の心象を解説した文章や動画がないから)。
12月2日には、済州を訪問した李代表が、メディアと初の公式接触を行い、尹候補に対する不満を本格的に吐露したりもしていた。いわく、自身と対立してきた(尹候補の)側近について、「(尹候補側)の核心関係者から発されている私に対するさまざまの侮辱的な発言が現在の状況を悪化させている」とし、「特に、尹候補が同席した席で『イ・ジュンソクが党内の広報費を使おうとしている』という趣旨の発言をした人物は、尹候補は誰なのかを知っているはずだ。人事措置が必要だ」と圧力を加えていた。こうした行動や発言からみえることは、36歳と若いことは若いのだが、その若さが20代30代の若者たちを引き付ける原動力でもある。ゆえに代表の俺を無視するなんてことはありえない、党代表としてオレは来年の選挙で必ずわが党から大統領を当選させるから、代表としての役割をまともにやらせてくれ、という必死のパフォーマンスをしていたということだろう。