普段は何気なく使っているような言葉ほど、表記の微妙な違いについて気になってしまうことがあります。「こんばんは」と「こんばんわ」もその1つ。今回の無料メルマガ『神垣あゆみメールマガジン』では、その語源や内閣告示にまで根拠をひもときつつ、発音が同じで表記だけが異なる2つの仮名遣いについてわかりやすく解説しています。
「こんばんは」の表記
■読者からの質問
一日の挨拶で朝は「おはよう」、昼は「こんにちは」、晩は「こんばんは」と言います。
この「こんにちは」と「こんばんは」の『は』について、「こんにちは」の『は』は確かに『は』だと思いますが、「こんばんは」の『は』は『わ』でもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
あらためて「こんばん『は』」と「こんばん『わ』」を比べてみても、発音が同じで見た目だけの違いだけなので、どちらでもいいような気もしますが、何か決まりでもあるのでしょうか。(読者 亜麻乃 時夜句さん)
■神垣あゆみさんの回答
「は」か「わ」か。使い慣れた言葉ほど、ふと疑問に思うことがありますね。そこで、調べてみました。
内閣告示・内閣訓令による「現代仮名遣い」の表記の基準というのがあり、表記の慣習による特例として「助詞の『は』は、『は』と書く」文例に
こんにちは こんばんは
が出ています。
本来、「今日は~」「今晩は~」と、後に文が続いていたものが省略され「こんにちは」「こんばんは」と言われるようになったのが語源とか。したがって、もともと助詞として使われていた「は」であると理解すれば、迷うことがなくなります。
とはいえ、1986(昭和61)年に内閣から新しい現代語仮名遣いが告示されるまでは「こんにちわ」「こんばんわ」が正しい表記とされていたとのこと。ですから、年代によっては「は」ではなく「わ」が正しいと習い、使っていた人たちもいるわけです。
どちらが正しいというより、現代の表記の基準は「こんにちは」「こんばんは」であると覚えておくとよいのではないでしょうか。
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