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アシックスが牛に靴を売る?スポーツメーカーの強みを活かす驚きの新戦略とは

1949年に神戸で創業され、今や世界的人気を得るまでに成長したアシックス。そんな日本を代表するスポーツブランドメーカーが、牛の運動量を測定するビジネスへの参入を発表し話題となっています。一見「畑違い」とも思える事業展開を図る同社の狙いは、どこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央 周さんが、データを定期的に提供することによりアシックス側が得られるメリットを分析。さらに近年広がりを見せている「ものに加えてデータを合わせて売る」という動きを、実例とともに紹介しています。

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なぜ、アシックスは牛に靴を売るのか?これからのDX、ここがキモ

アシックスが人や動物の運動量を解析する、データビジネスに本格参入するとのことです。

中でも興味深いのが、牛の運動量を測定する、と発表したことです。

アシックスは、もともと、スポーツグッズのメーカーとして有名です。

そこに、ここのところ、TUNEGRID(チューングリッド)というシステムを使って、スポーツ競技や運動の記録を、簡単に記録・分析できるシステムを開発して、データを取って製品開発などに生かしています。

アシックスのホームページによると、「ラグビーやパラアイスホッケーなどのチーム競技は勿論、バドミントンやゴルフなどの個人競技、レスリングや剣道などの格闘技、高齢者のウォーキング実施記録など、スポーツや健康促進活動などに、幅広くご活用いただけます」とあります。

アシックスのシューズと、このチューングリッドを組み合わせれば、靴を履いてスポーツをしている間の運動量や、歩数が計測できます。

さらに、工場内での従業員の位置情報などを、記録して分析することで、働き歩いている状態を数字で見えるようにする、ワーキングソリューションシステムも開発しました。

これによって、工場内で無駄に動いていないかなど、生産性を上げることに役立ちます。

この技術、いわゆるIoTは、スポーツや、製造現場だけでなく、効率との戦いの物流倉庫や、飲食店、中食の製造などでも力を発しそうです。

今まではこのようにスポーツやビジネスなどの場面で、人間に使っていた仕組みを、今回は「牛」に使う、ということです。

日経新聞によると、狙いは搾乳効率の向上にあるとのこと。

牛の1日当たりの歩数や時間ごとの運動量を、見える化することで、「うちの太郎は、今日は少し元気がないな」などと早めに注意を向けることができます。

これにより、発情期がわかり、飼い主も最適なタイミングで手が打てる、ということです。

この開発背景には、中小企業ではどうしても、データ活用やITの導入での、ビジネスの効率化に不慣れだということがあります。

この社会課題を、ITとデータのソリューションで、サポートできるようにしていく、ということになります。

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サービスを受ける企業側は、生産性が上がり、アシックス側もデータを定期的に提供することで、靴やグッズを販売するという売り切りの商売から、継続して買ってもらえる、サブスクのようなビジネスになります。

そしてさらに、物販だけではなく蓄積されたデータと、その活用のノウハウは、模倣が困難な「知恵」として、社内に蓄積されます。

こうなると、他の会社に真似されにくくなるため、持続的な競争優位が保てるので、顧客の維持もでき、忠誠心が上がります。

つまりブランド価値が高まるのです。

アシックスの場合、靴を売る会社ではなく、「生産性のアップ」を売る会社に変わってきているのです。

このように、ITでものに加えてデータを合わせて売る、という動きは広がっています。

先日は清水建設も、ビルにデータを入れて、その上でアプリを動かすことで、セキュリティのための監視ができるようにしたり、空調をコントロールしたりできるようにしています。

EV車にもインターネットがつながって、ナビが案内してくれるようになるでしょうし、モノ単体ではなく、ソフトと一緒に販売する時代に、なってきています。

こうなってくると、企業の営業の方法も、これまでとは違う考え方で、顧客の先をゆき、提案できる、マーケティング思考が必須になります。

その意味でも、これからの市場を占う、興味深い事例です。

(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2022年2月8日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: NP27 / Shutterstock.com

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