愛知県にある、日本一安い日替わりランチを出す食堂。明らかに利益度外視のその価格でどうやって利益を出しているのでしょうか。今回、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、その「秘密」に迫ります。
日替りランチ 200円。利益は、お客さまの笑顔!?
愛知県海部郡に、日本一安い日替りランチを出す、小さな食堂があります。外観は古いのですが汚れておらず、中は昭和レトロな、いかにも食堂。おじいちゃん1人、おばあちゃん2人で切り盛りしています。
このお店は、粉ものがメインで、持ち帰りのお客さまが大多数。しかし、食堂なので、日替りランチも提供しています。このランチが話題となり、多くのお客さまを惹きつけているのです。
日替りランチ 200円。
昭和の中頃でも、こんな価格で定食が食べられるお店はありませんでした。ある日のメニューをご紹介すると……。
メインのお皿には、揚げ物、かぼちゃの煮物、ポテトサラダ、漬物、千切りキャベツ。小皿には、ハンバーグ。小鉢にはおでん。ご飯と味噌汁という内容です。
これで200円は、驚きでしかありません。しかし、この定食には、パック入りのお好み焼き(100円)か焼きそば(100円)がつくのです。
これで、200円なのです。安いというレベルではありません。これで、利益は出るのでしょうか。激安のお店はよくあり、少ないながらも利益は出るものですが、このランチに関しては、安過ぎて計算できません。
私の推測ですが、定食は赤字で、お好み焼き・焼きそばをプラスすることにより、その分の利益で赤字を補っているのではないでしょうか。とは言っても、数十円の利益を定食にまわしたところで、「赤字ではない」というだけで、儲けはありません。しかも、この計算は原価のみの話で、他の経費は入っていません。つまり、現実は赤字なのです。
私の推測を証明するものとして、お店の張り紙があります。
「お好み焼きか焼きそばつき 日替りランチ 200円」と書かれた下に、「ランチのみなら、150円」となっています。これにも驚きです。この定食が150円なのです。
「できれば、200円のランチを食べて欲しいけれど、お金が無いなら、150円でもいいですよ」という意味だと解釈しました。お客さまに対する心遣いなのです。
おばちゃん曰く「お客さんが喜んでくれたらいい」。すべては、ここから始まっています。
では、どうやって利益を出しているのでしょうか。
持ち帰り客が多い、粉ものなどが売れているからです。行列ができるほどの人気なのです。お店の鉄板では、次から次へとお好み焼きや焼きそばが焼かれていきます。
お好み焼き(肉・イカ・玉子・納豆・キムチ)各100円。
焼きそば 100円。
焼うどん 100円。
たこ焼き 50円。
ワッフル 40円。
たい焼き 30円。
おでん1個 20円。
みたらし団子 40円。
時代を錯覚してしまうような低価格です。これらを数多く売ることで、何とか利益を出しているのです。
お客さまに喜んでもらうため。お客さまの笑顔を見るため。ただそれだけのために、歳を取っても、頑張り続けているのです。
忙しい時は、常連さんたちが自主的に手伝ってくれるそうです。
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