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他人の感染対策が気になるのは自分がおかしい?公認心理師からの回答は

マスク、手洗い、消毒、黙食…新型コロナの感染対策が当たり前になってくると、他人の行動まで気になって腹を立てたりイライラしてしまう人がいるようです。「自分が厳しすぎるのか?」との質問に答えるのは、メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさん。「もしあなたより厳しい基準を持つ人がいたら」と例を上げ「価値観の違い」についてわかりやすく伝えます。そのうえで、身につけるべき力があるとアドバイスしています。

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ちょっと御相談がありまして:「私が厳しすぎるの?」

40代、女性。子どもの頃から正義感が強く、曲がったことが嫌いで、嘘をついたりズルをしたりする人が許せません。コロナ禍になってから、この傾向がどんどん強くなってきたような気がします。マスクをしていない人を見たりすると、それが気になって仕方ありません。あと、スーパーなどで、マスクをしていてもぺちゃくちゃしゃべっている人が気になります。

先日も、テイクアウトを買いに入ったドーナツ店で、イートインしていた学生たちが大きな声でしゃべっているのを見て、にらみつけてしまいました。

夫には、「そんなに目くじら立てなくてもいいじゃない」とあきれられています。でも、そんな人たちがいるから、コロナ禍は終わらないんだと思いますし、市中感染も収まらないんだと思います。

私だって家族や友人とマスクなしでおしゃべりしたり笑い合いたいのを我慢しているのに。私が厳しすぎるんでしょうか?私がおかしいんでしょうか?

【永藤より愛をこめて】

そうですか。しんどいですね。自分ばっかり我慢しているような気になってしまいますよね。「あんたたちみたいな人がいるからこんなことになったのよ」そう思ってしまうわけですよね。

私たちはみんな、一人ひとりユニークな存在であり、考え方や捉え方が異なるのは当たり前です。そして、一人ひとりが、生まれたときから今まで遭遇した出来事や人々から影響を受けて、「これが正しい」「これが間違っている」「これは好ましい」「これは好ましくない」などの判断を日々重ねて……それはランチに何を食べるかとか、点滅している青信号の横断歩道を渡るべきか否か、みたいな小さなことから、「この人と結婚する!」とか「転職する!」みたいな人生の岐路にどうするかという重大なものまで、すべての判断をしてきて、今ここに存在しているのです。

「そんなことは言われなくてもわかっている」。そうですよね。でも、どうしても人間は、「私の基準が正しい基準」と思ってしまいがちなのです。だからこそ「私の基準に合う行動をしている人はOK」「私の基準に合わない行動をしている人はダメ!」と思ってしまいがちなのですが、それ、「真実」でしょうか?

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うん、「あなたにとっての『真実』」かもしれませんが、他の人にとってはどうでしょうか?例えば、ですが、あなたよりさらに厳しい判断基準を持つ人がいたとしましょう。そしてあなたを見てこう言うのです。

「え?外出してるの?マスクしているとはいえ人が接触すれば細かい飛沫が飛ぶでしょう?あなたやあなたの家族が感染元にならないなんて言えるの?」
「スーパー?ドーナツ店?そんなリスクが高いところに足を運んだっていうの?あなたみたいな人がいるから市中感染がおさまらないんじゃないの?ネットスーパーやUberで置き配してもらえばリスクは大きく減るっていうのに!」

いやいやいや、ちょっと待ってよ。そう言いたくなりませんか?「私が厳しすぎるんでしょうか?私がおかしいんでしょうか?」とあなたは問いましたが、その答えは誰かにとってはイエスだし、誰かにとってはノーなのでしょう。正解は、自分にしか出せません。

もちろん社会的に明らかに極端なふるまいや、法を犯すようなことには毅然としてノーの態度をとるべきですが、「価値観の違い」に関しては、「ああ、違うんだな」しかないのではないでしょうか。そしてその違いを「いけないこと」と断じていると、自分自身が疲れてしまいますし、断じられた側との人間関係が揺るぎます。

イラッとしたら、ムカッときたら、一旦深呼吸。そして少~しずつでも、華麗にスルーする力をつけていくことが、しんどさを手放すひとつの道じゃないかなぁと永藤は思います。

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image by:Ned Snowman/Shutterstock.com

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有限会社ヒューマン・ギルド 取締役研修部長 公認心理師(登録番号: 29160号) 。日本アドラー・カウンセラー協会認定シニア・アドラー・カウンセラー。日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメント・ファシリテーター 平成元年 三菱電機株式会社 入社。その後、ビジネス誌編集、語学専門学校専任教師など、20年以上にわたるビジネス経験を経て、自身が働く中で壁に当たった際に出会ったアドラー心理学を修得。 現在、日本におけるアドラー心理学の一大拠点であるヒューマン・ギルドにて、アドラー心理学研修講師(企業・自治体、教育機関、個人等)、カウンセリング、書籍執筆などを担当。

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【著者】 永藤かおる 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第2金曜日・第4金曜日

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