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火事場泥棒の中国。ウクライナ紛争の影で豪州の“裏庭”に進出する卑劣

世界の注目がウクライナ紛争に揺れる欧州に集まる中、オーストラリアの裏庭とも言える地域で中国が怪しい動きを見せているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国とソロモン諸島との間で進む安全保障協定締結の動きを紹介。その正式調印によりオーストラリアが直面しかねない危機的状況を記すとともに、習近平国家出席が次に狙うのは尖閣諸島として、日本に警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年4月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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ロシアの影でオーストラリアの裏庭に進出する中国のヤバイ実態

4月10日は、アメリカの「台湾関係法」が制定されて43年目の日です。この日を狙って、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が訪日後に訪台する予定でしたが、残念ながらコロナ陽性のため延期となりました。

現在、ウクライナ情勢をめぐってロシアと欧米諸国が衝突していますが、その裏で、中国は自身の野望を進めようとしています。そのひとつが、ソロモン諸島との安全保障協定の締結です。ソロモン諸島は3月31日、中国とのあいだで仮調印が終わり、今後は正式調印に向かうと発表したのです。

その協定の内容は明らかではありませんが、SNSで流出した草案では、中国はソロモン諸島の求めに応じて警察や軍の派遣ができるとし、また、中国企業や中国人を守るために部隊を送り込めることや、ソロモン諸島の港湾も使用できることなどが書かれているそうです。

中国とソロモン諸島が安保協定 軍派遣や寄港可能に? 周辺国が警戒

つまり、ソロモン諸島に中国の軍事拠点ができる可能性があるということです。これに対して大きな懸念を抱いているのがオーストラリアです。ソロモン諸島はオーストラリアの目と鼻の先にあり、また、ソロモン諸島はオーストラリアとも安全保障協定を結んでします。

2021年11月末、ソロモン諸島の首都ホニアラでは、親中国の政府に対する大規模な暴動が起こり、その際にはオーストラリアは軍や治安部隊を派遣しています。中国とソロモン諸島が安保協定を結べば、中国がソロモン諸島の治安維持に乗り出してくる可能性もあるのです。

ソロモン諸島で反政府暴動、背景に中国や台湾との関係めぐる対立

加えて、オーストラリア周辺国の軍事的脅威となり、あるいは機密情報が盗まれる可能性も出てきます。オーストラリア国内での中国不信は高まり続けており、モリソン首相は今年の年初にオーストラリアに赴任した中国大使からの会談要請を拒否し続けています。

中国による報復2年…豪、一段と強硬対応(上)

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新型コロナが流行した際、オーストラリアのモリソン首相はどこが起源なのかを調査すべきだと発言し、中国が反発、それ以来、中国はオーストラリア産の肉類やワインなどの輸入をストップするなどの嫌がらせを続けてきました。

一方、オーストラリアでは中国共産党のスパイが国会に浸透工作を行おうとしていたことなどが明らかになり、一気に中国に対する反感と警戒感が広がりました。

オーストラリアには、香港返還以降、多くの香港人や中国人が移住するようになりましたが、その一部あるいはその後にやってきた中国人留学生が中国共産党のスパイとして、現地の人々や反中国政府の中国人たちと衝突するケースも目立つようになっています。

そのオーストラリアでは現在、台湾有事の際にオーストラリアが関与すべきかについて激しい議論が交わされているそうです。発端は昨年、キーティング元首相が「台湾問題はオーストラリアにとって重要ではない」と発言したことに始まりました。

中國若侵略台灣 澳媒:67%澳洲人支持澳方反制

これに対してピーター・ダットン国防相は、「台湾での紛争を無視することはできない。アメリカが台湾の軍事防衛を約束した場合にオーストラリアが傍観することはありえない。中国が台湾侵略に成功すれば、さらなる領土拡張に乗り出すだろう」と反論しています。

オーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」が4月9日に発表した独自調査によると、オーストラリア人の65%は台湾を独立した主権国家と考えており、「中国の一部」だと考えているのは9%しかいないとのことです。

これは中国と台湾を比べれば、政治体制から民度、国民性までまったく異なっているため、当たり前といえば当たり前でしょう。民主的な選挙制度のある台湾と、独裁国家中国では価値観は真逆です。

また、調査では、オーストラリア人の3分の2が、中国が台湾を攻撃した場合にはオーストラリア政府は何らかの対策をすべきと考えている一方、軍の派遣ではなく外交的・経済的な制裁を望むとしているそうです。

軍の派兵は下手をすれば戦争に発展しますから慎重になるのは当然ですが、台湾有事の際に中国への経済制裁をすべきだと考える人が多いというのは、台湾にとっても心強いことです。それだけ中国共産党政府に対する不信感が強いということの表れでもあります。

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その中国は国内的には「ゼロコロナ政策」が裏目に出て、経済的にもさらなる低迷が避けられない状況となっています。感染者が激増している上海では都市封鎖が続いていますが、1日の経済コストは100億人民元(約2,000億円)であり、このまま封鎖が続けば中国経済全体が崩壊しかねないという危惧も中国のエコノミストから出ています。

世界銀行は4月5日、中国の経済予測を5.4%から5%に引き下げましたが、さらに4%以下に落ち込む可能性も出てきています。

上海封城代價毎日450億 專家:中國經濟恐面臨空前挫折

コロナの封じ込めも、目標とした経済成長もできないとなれば、習近平としては別のことで成果を出さざるを得なくなります。かねてから言っていますが、その際に狙われるのは台湾と尖閣であり、さらにいえば、人的被害も国際的批判も少ないであろう尖閣のほうがより狙われる可能性が高いということになるのです。

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