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Szczecin,Poland-March 2022:MIM-104 Patriot - American surface-to-air missile system developed by Raytheon to protect strategic targets.3D Illustration.

ロシア軍もすでに使用か?レーザー兵器が“ゲームチェンジャー”になれる理由

これまでの戦争の常識を変えてしまうかもしれない兵器が開発されているようです。イスラエルが来年実戦配備するという「レーザー兵器」。まるで映画やフィクションのような話の詳細を無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超える日本人著者が分析し伝えています。 

レーザー兵器・アイアンビーム

イスラエルの話で恐縮だ。でも韓国にも日本にも関係がありそうなので、朝鮮日報の記事をご紹介したい。

空想科学映画でしか見られなかった「レーザー兵器」の時代が目前に迫った。イスラエルが敵のロケットや砲弾、小型無人機(ドローン)を迎撃するレーザー防空兵器システムを来年上半期中に実戦配備することを決めた。

これに先立ってロシアがウクライナ戦争にレーザー兵器を投入して試験使用中だと主張した。米国やドイツ、中国なども多様なレーザー兵器を開発し、性能向上と実戦配置に熱を上げている。

レーザー兵器は一度の発射にかかる費用が既存武器体系に比べて「ほぼゼロ(0)」に近く、数量制限なしに無限大に生産できるため、未来戦争を完全に覆す「ゲームチェンジャー」になれるという期待を集めている。

イスラエル日刊エルサレムポストなどによればイスラエル政府は最近「国営防衛産業業者である『ラファエル』が開発したレーザー防空網『アイアンビーム』の性能検証を終えた」として「量産開発が終わる来年上半期中に実戦配置する方針」と明らかにした。

アイアンビームはミサイルの代わりに100kWの高エネルギーレーザービーム(HEL)を敵のミサイルやロケット、砲弾、無人機(ドローン)などに4~5秒間照射し、高い熱で破壊する兵器だ。

ミサイルのような発射体や弾を発射して命中させる投発型兵器ではなく、目標に向かって光線を追いかけながら照らす方式であるため、「指向性兵器」と呼ばれる。

エルサレムポストは「既存のアイアンドーム(C-RAM)からミサイルをレーザーに代替したもの」とし「近いところから飛んでくる攻撃兵器を迎撃するのに効果的」と説明した。

アイアンドームの場合、4~70キロ以内で捉えられたミサイルやロケットは90%以上を迎撃するが、これより近いところ(近距離)から飛んでくる飛行体に対しては効果性が低いと評価されている。

このような「隙間」を埋めるのがアイアンビームだということだ。イスラエルは現在、長距離はアロー3迎撃ミサイル、中距離はDS(ダビデスリング=David’sSling)ミサイル、中短距離はアイアンドームを利用する「多層ミサイル防空網体系」を運営している。

アイアンビームは4月、近距離で発射されたロケットと迫撃砲弾を数秒で迎撃する実験に成功したとイスラエル国防部は明らかにした。ウクライナ戦争を通じてその威力が立証されたドローン兵器にも効果が立証されたわけだ。

イスラエル現地メディアは「昨年6月、航空機搭載型レーザーで高度3,000フィート(約914メートル)上空から1キロ離れたドローンを撃墜したのに続き、今回は数キロ離れたところで低く飛行するドローンの翼を破壊し墜落させることに成功した」と伝えた。

イスラエル国防省は「来年上半期には約20km距離の目標物も撃墜できる水準になるだろう」と話した。

防衛産業界はアイアンビームのようなレーザー防空兵器が1回の発射費用が「無料」と言えるほど安いという点に注目している。アイアンドームが使用する迎撃ミサイルの価格は、1発当たり5万ドル(約6,300万ウォン=約630万円)に達する。

一方、アイアンビームの場合、1回の打ち上げにかかる費用は2ドル(約2,500ウォン)に過ぎないという。特にミサイルは在庫がなくなれば使えないが、レーザーは電気さえ供給されれば無制限発射が可能だ。

イスラエルのナフタリ首相は「敵の攻撃を無力化するだけでなく、経済的に破産させることができる『ゲームチェンジャー』になるだろう」と評価した。

米国やロシア、ドイツ、中国などの軍事強国もレーザー防空兵器の開発に力を入れている。これらの国々はすでに開発したレーザー兵器の射程距離向上と破壊力強化に力を入れているという。

米国はボーイングの「HELMD」、ロッキードマーティンの「ADAM」と「ATHENA」、米海軍の「LAWS」などを開発している状態だ。また、ドイツのラインメタルは「HEL」、ロシアは「ペレスベト」を開発、実用化に乗り出した。

これらの武器は近いうちに実戦に配置され、実際の陸海空戦場で攻撃と防御に積極的に活用されるだろうとみられている。

特にロシアの場合、すでに実戦で使用中だという主張も出ている。ロシアのボリソフ副総理は先月18日、「ロシア軍特殊部隊が(ウクライナで)ペレスベットを利用して敵の監視衛星とドローンなどを攻撃している」と主張した。

韓国も爆発物除去用レーザー兵器を開発したのに続き、来年までにレーザー防空兵器を開発する予定だ。日本の軍事用レーザー開発はいかほどなのであろうか。気になるところだ。

レーザー兵器が完成すれば、北からの攻撃にも効果的に対処可能となるようで、これはかなりうれしい内容といえる。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年6月11日号)

image by: Mike Mareen / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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