ビジネスにおいて大切といわれる『閃き』と呼ばれるものは、いったいどういう現象なのでしょうか。メルマガ『開発技術者たちよ! 開発マネジメントの達人になろう』では、その閃きについて突き詰めて考え、それが働く条件を探っています。
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閃きという知覚を活かす
知覚とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つを指します。5感と呼ばれるものです。これにもう1つ加えることがあります。何となく察する、うすうす感じるという能力のことで、第6感と呼ばれます。
一般にこの6つが知覚と呼ばれるようですが、もう1つ重要なものがあるような気がします。それは、何かの折に閃く、フッと想い浮かぶというような力です。これも知覚と言えるのではないでしょうか。
それは思考の1つの相ではないか、とのご意見もあるかもしれません。閃きとは、6つの知覚が集めた情報の分析と統合の積み重ねの中から生まれるものだとも言えるからです。
情報の分析と統合は紛れもなく思考そのものです。しかしながら、閃きは思考を超えたところで起こっています。うすうす感じるという第6感とも違い、豁然と現れます。
閃きから得られたことが、情報の収集、分析、統合という科学的かつ論理的思考によって検証され、法則化されるというパターンが全てに当て嵌まるように思えます。
このように考えますと、閃きはやはり知覚の範疇に入れるべきものと受け止めるほうが妥当性があるように思えるのです。ここでは、閃きを知覚と受け止めて話を進めることにします。
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過去を振り返ってみて、閃きを得た経験を探してみましょう。この後の内容と照らし合わせて考える材料とするために、メモをしておいてください。
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閃きが5感と違うところは、5感が外部のものを感じるのに対し、閃きは内部のものを感じるということです。何も無いところで閃きが働くことはありません。
閃きが働くところには必ず内部に蓄積されたものが存在しています。5感を通して獲得した情報、経験や学習を通して得られた知識、思考の過程と結果、第6感を通して感じること、といったものです。
こうしたものが内部に蓄積され、この蓄積されたものの相互作用やこれに基づく思考過程の中で、ある条件が揃うと閃きが働くのではないかと考えられます。
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閃きが働くための条件とは何でしょうか。多くの研究者や学者たちがこれまでに獲得した成果を参考にして考えてみますと、α波が発生してリラックスしている、右脳が活性化している、脳内に活性化物質が分泌している、といったことが考えられます。しかし、これだけではどうもしっくりと腹に落ちる感じがしないのです。
この問いに対する答の1つは、ユングの心理学による解釈にありそうです。課題を抱えている時、人間の心理的エネルギーは内向きに流れています。意識の世界では課題の解決とは別のことを考えている時でも、無意識の世界ではその課題の解決に向う動きを続けています。
従いまして、意識の世界では課題は解決されていない状態であっても、無意識の世界では課題は既に解決されているかもしれないのです。そして、その答は無意識と意識とが繋がった時に、無意識から意識へと流れ出すのです。
これが閃きが働いた瞬間ではないかと思えるのです。従いまして、閃きが働く条件とは、無意識と意識が繋がるための条件と言うことができそうです。
無意識と意識とが繋がっている典型的な状態は、睡眠中に夢をみている状態です。こうした時の心理的状態を意図的に作ることができれば、閃きを或程度コントロールすることができるのかもしれません。
先に紹介しましたような脳の状態も無意識と意識とを繋ぐための役割の一部を担っているのかもしれません。仕事をする環境を変えてみたり、ミーティングの場所に工夫を凝らしたりして、発想力や創造的思考を引き出そうとするのは、このような脳の状態を誘導して無意識と意識とが繋がり易いようにしようとするもののようです。
閃きの働く条件をこのように考えた時、重みを増してくるのが無意識です。無意識と意識とが繋がっている状態となっても、無意識の中に何も無ければ何も流れ出してきません。
無意識のなかに、課題を解決する上で有効な情報や知識や経験や思考の産物が豊富に蓄積されていなければ、無意識の中で答が生成されることはないでしょう。
即ち、閃きが働くためには無意識の中に蓄積されていることが不可欠なのです。閃きという知覚を活かすためには、普段から学習や経験やコミュニケーションなどを通して、無意識の中に豊富な蓄積を用意しておくことが必要なのです。
無意識の中に豊富な蓄積を用意すること、そして無意識と意識との繋がりを促すような環境作りに工夫をすること、こうしたことに留意し努力することを通して閃きという知覚を活かし、創造的かつ活気溢れる経営や事業展開を、と思う次第です。
★閃きを得るための条件や背景を理解し、自分の仕事の仕方、学習の仕方、そして活動の環境を、閃き獲得モードにしていきましょう。
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