女性限定、30分のみのスポーツジムという触れ込みで大きく利益を伸ばす「カーブス」。人気の秘密はどこにあるのでしょうか?そこで今回は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』の著者で、MBAホルダーの理央 周さんが「カーブス」が成功した理由について迫ります。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
カーブスの強さの秘密に学ぶ 顧客ニーズとビジネスモデルの作り方
女性向けのスポーツジム「カーブス」を運営している、カーブスホールディングスの、2021年9月から今年2月期の連結決算での純利益が、前年同期比3.5倍にもなったことが少し前に話題になりました。
カーブスは、とてもユニークなスポーツジムです。
大きく謳っている「女性限定」ということに加えて、「1回30分」だけ、という点が、他と違います。
このアプローチは「アンバンドリング」というビジネスモデルで、「自社ビジネスの中身を分解して、切り売りする」というやり方です。
定食屋さんが、1,000円の焼肉定食を、別々で食べたい人のために、焼肉単品で800円、副菜200円、ご飯100円、味噌汁100円とばら売りするのと同じです。
フルサービスの床屋さんのメニューから、髭剃りやシャンプーをなくした、QBハウスや、ピーチのような格安航空会社LCCと同じですよね。
カーブスはもともとは、米国で生まれたサービスで、ホームページによると、創業者が、糖尿病、高血圧、肥満が原因で母親を亡くしたため、「母のような女性が通いやすいフィットネスクラブをつくる」という想いから創業したとあります。
このこともあり、ホームページには、50代女性の方々の体験談がまず出ています。
この年代の女性のために作ったジムだとわかるので、「わたしもいってみよう」という気持ちになりますよね。
筋トレや、エクササイズって「続きにくい」ですよね。何事も習慣化することって大事ですが、習慣にするには「報酬」がないとなかなかできないそうです。
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私もスポーツジムに行っていましたが、コロナで休会しています。そこで、自宅に置けるマシンを買って腹筋をやっていますが、出過ぎたお腹を引っ込めたい、という目標があるので意外と続いています。
スポーツジムに通う人たちは、「健康になる」「病気にならないようにする」「やせる」など、色々な目的があります。
そのようなニーズの中でユーザーがスポーツジムにきたとしても、マシンが置いてあって単にそれをやる、というだけだと、なかなか続きません。
カーブスでは、カーブスコーチというインストラクターの方がいて、会員の目的に応じてやり方を教えてくれるので、ユーザーの通う目的によって、やることをはっきりさせてくれます。これだど、心理的にも長続きします。
それに、30分だけ、というのもハードルが低くていいですよね。あまりにハードすぎるとやはり続きません。
会社や家事の合間に、ちょっとだけ立ち寄って、買い物をして帰る、という使い方ができます。予約しなくてもいいそうことも便利です。
ジムに加えて、カーブスには、「1日6分通わないカーブスPlus」というオンラインプログラムもあります。
ここでも、1日6分というやり始めやすく、続けやすいプログラムを提供しています。
スポーツジムは健康志向の人たちも増えてきて、市場も大きいですが競争も激しいです。
その中で、「筋トレなど本格的ではないけど」「健康を維持したい」「気軽にやりたい」という女性層を明確にターゲットにして、そこに向けて的確なサービスを出しています。
カーブスの強さの原点は、「顧客ニーズを素早く、的確に掴み取って、他社がやっていない発想を、スピード持ってサービスに反映している」ことです。
アンバンドリングにしても、分解すればできる、というものではありません。
「そんなにキッチリ体を鍛えなくてもいい」
「もうちょっと手軽にエクササイズしたい」
「予約取るのが面倒だ」
「男性の目が気になる」
などといった、隠れたニーズを探し出せたことが、競争の激しいスポーツ業界で、優位に立てている理由です。
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これから徐々に、ワクチン接種もひろがり、外出しようという気分になってくることもあるので、またさらに伸びる可能性がありますよね。
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