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単なる「自己紹介」ではつまらない。本気で役立つプロフィール文の書き方

副業や独立して仕事を始める人が思い悩むことの1つに「自分のことをどう説明するか」があります。出身地や職歴や資格を並べて仕事につながる人はごくわずか。「プロフィール」には書くべきこと、伝えるべきことがあるようです。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では、朝日新聞の校閲センター長を長く務め、文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開する著者の前田さんが、「自己紹介」と「プロフィール」の意味の違いを確認。そこから見えてきた「“相手が興味を持つ可能性が高まる”プロフィール文」を書くために必要な要素を教えてくれます。

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プロフィール文の書き方

先日、「独立して事業を興したい」「これから副業を考えたい」という方を対象にしたライブセミナーでお話ししました。テーマは「プロフィール文の書き方」です。

自分のホームページをつくったりブログを開設したりするときに、プロフィール文は必ず必要になります。ところが、自分のことを書こうとするとうまく書けないものです。そもそも、自分はどんな人間だったか、事業や副業をする目的が何だったのか、ということが明確になっていないことが多いのです。

僕自身も独立をしたときに、ホームページをつくり、プロフィールを載せました。しかし、伝えたいことがうまく言い表せていないという思いがあったのです。何度か修正したのですが、いまでも「これだ」というものにたどり着いていないように思うのです。

今回のセミナーで、改めてプロフィールとは何かについて、考えてみました。自己紹介とプロフィール。この違いについて、これまで考えたことがありませんでした。ほぼ同じ意味で使っています。そこで、辞書を引いてみました。

自己紹介:初めて会う人に、自分で自分の姓名・職業などを述べ告げること。

プロフィール:(1)横側から見た時の顔の輪郭。横顔。また、横顔を描いた肖像画や横顔を撮影した写真。(2)普通とは違った角度から見た人物評。(3)人物の紹介。
(大辞林・ウェブ版から)

「横顔」を伝える

自己紹介とプロフィールは、かなり意味が違うようです。プロフィールは「横顔」。横顔には文字通りの意味と、「あまり他人に知られていない一面」というもう一つの解釈があります。「総理大臣の横顔」と言えば、総理大臣が普段見せている表の顔(業績や評判)とは異なる一面という意味になります。

会社勤めをしていたときは、「○○の前田です。校閲部に所属しています」といった具合に、名前と所属する会社名・部署を告げれば、大体のイメージをつかんでもらえました。自己紹介で済んだのです。

ところが独立して会社を興したときに、会社勤めをしていたときと同じような調子で自己紹介をしても通用しないのです。会社名はおろか僕の名前を知る人は、まずいないからです。

これまでの業績を一生懸命話しても、それは過去の歴史、履歴でしかありません。過去の話をしても、いまの僕に興味を持ってくれるわけではありません。もちろん、過去の履歴がまったく意味がないということではありません。その人が経験したことが知識となり、リソース(資源)となるからです。

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伝えるべきは、historyなのかstoryなのか

経歴はhistoryです。もし、独立を考えていたり、会社で今後の展開を企画したりするときには、historyを語るだけでは、共感を呼びません。それよりも未来の姿=storyを語る必要があります。

プロフィールは、その人の横顔です。これまで見せてきた表情と異なる面を伝えるということです。どういう考えで生きてきたのか、人とは異なる自分だけの世界観をそこで見せられれば、興味を持ってくれる可能性は高まります。

「こういう未来を創りたい」「3年先に、こういうことを実現したい」「こんな私になりたい」などの思いをプロフィールに込めることができれば、単なる自己紹介や履歴とは異なった「横顔」を提示することができます。

それには、少し遠くに視点を移して、自らの未来を語ることが重要です。過去から未来を語るフォアキャスティングではなく、バックキャスティングで未来の姿から現在を語ることができれば、その思いに共感してくれるファンができるはずです。

たとえば、中学時代からバンドを始めたグループが「将来、メジャーデビューする」という思いは、未来の姿を明確に目標としています。まさに成功のstoryしか描かれていません。過去は意味を持ちません。それに向けての情熱のみが、日々つくられるhistoryになるのです。そのstoryこそが、バンド仲間のプロフィールです。(メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』2022年6月25日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

前田安正この著者の記事一覧

未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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【著者】 前田安正 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 5日・15日・25日

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