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久しぶりの夏のイベントは要注意。7年前の台湾大規模火災の教訓

今年の夏は、コロナ禍で中止されていたイベントやお祭りが再開されるケースが多く、久しぶりのレジャーの現場では不慮の事故に細心の注意が必要です。加えて最速の梅雨明けで長い夏となることで、水辺の事故が増えそうです。そんな突然やってきた「真夏」に、7年前の台湾の大型プール施設での火災事故を思い出し振り返るのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、火災が起こった顛末を当時の記事などを元に紹介。多くの人の命を奪い、人生を変えてしまった事故の教訓を伝えています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【台湾】7年前の悲劇を振り返り、夏の事故に気をつけよう

【空撮写真】かつて賑わった「八仙水上楽園」 火災から7年、物寂しい廃墟に/台湾 – フォーカス台湾

今年の日本は統計開始以来、最も早い梅雨明けとなりました。すでに猛暑日が続いていますが、夏にかけて海やプールの需要が高まることでしょう。台湾でプールと言えば、7年前の6月27日に起こった新北市にあった「八仙水上楽園」の大規模火災を思い出します。

火災の原因は、レジャー施設のイベント会場で行われていたコンサートで、舞台の上から客席に向けてまかれたカラースプレーでした。この粉末のスプレーが何らかのきっかけで引火して、会場に集まっていた600名以上の観客を巻き込んだ大火災となったのです。
台湾のテーマパークで爆発、229人負傷 イベントで粉じん爆発か 写真9枚 国際ニュース:AFPBB News

7年前当時、コンサートやイベントでカラースプレーを撒くのが流行していました。会場が盛り上がるからでしょう。ところが、事故があった当時、撒いたスプレーの量が多かったこと、観客の多くがタバコを吸っていたこと、舞台上の音響機器から火花が出たかもしれない、などと様々な要因からスプレーが発火し、会場の人々に燃え移りました。

会場はプールであり、観客はもちろん泳ぎに来た人々です。そのため水着を着用しており、多くの観客が素肌に直接火を受けて火傷をしました。当時の報道では、現場は「まるで地獄のようだった」そうです。

結果的に、この事故で死者15人、負傷者400人以上という大規模な事故となりました。当時、この事故は国際ニュースとして全世界に流れ、日本からも医療チームが台湾に派遣されたりしました。また、火傷の患者を救うため、日本から人口皮膚が寄贈されたりもしました。
「八仙水上楽園」粉塵爆発事故の負傷者治療用にグンゼから人工皮膚が寄贈 – 台北駐日経済文化代表処 Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan

死者の中には20歳の若い女性もいました。負傷者には日本人を含む数人の外国人もいました。この事故の責任を問われたのはイベント主催者と八仙水上楽園の経営者でした。イベント主催者は、カラースプレーの危険性を認識しておきながら、観客に注意喚起をしていなかったとのことです。

そして、八仙水上楽園の経営者については、イベントの安全性を精査する義務を怠ったとのことで責任を問われました。これにより、八仙海上楽園は営業停止命令が下され、以来、営業は再開されないままです。
新北の水上遊園地爆発事故、20歳女性が死亡 – ワイズコンサルティング@台湾

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7年間放置されているレジャー施設のスライダーやプールは、撤去されたものもありますが、残っているものもあります。7年後の今の様子を上空撮影した写真がニュースサイトに出ていたので、ここでご紹介させて頂きました。
【空撮写真】かつて賑わった「八仙水上楽園」 火災から7年、物寂しい廃墟に/台湾 – フォーカス台湾

かつては多くの客で賑わったプール設備は、こんもりとした植物に覆われ、朽ち果てています。あの事故さえなければ、ここは今も多くの人が、暑さから逃れる避暑地として楽しいひと時を過ごしていたことでしょう。朽ち果てた施設写真を見ても、このスライダーは楽しそうだと思ってしまいます。本当に残念です。

一部の報道によれば、当時の台湾の高度医療によって死者数を最低限に抑えることができたとあります。以下、報道を一部引用しましょう。

この粉塵爆発は死者15名、重軽傷者484名を出す事故となり、熱傷患者1人当たりの熱傷面積は平均40%に達した。このレベルの熱傷の場合、一般的な死亡率は25%と言われているが、台湾の医療チームは最終的にこれを3%に抑えることに成功。その成果は海外から高く関心が寄せられ、また評価されている。

 

当時事故現場で患者に応急処置を行って病院へ搬送し、患者の急性期における医療処置及びニーズに応じたコーディネートを行い、『焼燙傷復健暨急性後期照護中心(熱傷患者のリハビリ及び亜急性期ケアセンター)』を設置し、患者のその後の心身のケア、進学や就職など個別の管理サービスを行い、患者の社会復帰を手伝ってきたことを紹介した。(「八仙水上楽園」粉塵爆発から2年、台湾医療チームの取り組みの成果 : Taiwan Todayより)

報道内では、事故の当事者である女性が、この事故をきっかけに医療の道に進む決心をしたともあります。しかし、責任者たちの認識の甘さが、多くの人々の人生を変えました。悲劇は繰り返してはいけません。

日本ではこの夏、久々に旅行に出かけたり、大きなイベントに参加される方も少なくないでしょう。ようやくの開放感、大いに楽しんでいただきたいですが、事故にはくれぐれも気をつけてください。(メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月29日号より一部抜粋)

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image by: Shutterstock.com

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【著者】 黄文雄 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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