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新型コロナに”勝利”の北朝鮮が実施した「想像以上の治療法」とは何か?

北朝鮮では新型コロナウイルス感染症の収束と勝利宣言がされたそうです。ワクチン接種を一度も実施していない国での「奇跡」とのことですが、北朝鮮意外の国を見ていると本当にそんなことがあり得るのかと疑念は拭えません。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、宮塚コリア研究所代表の宮塚利雄さんが、北朝鮮でのコロナの治療法や金正恩のコロナ禍の政治利用などについて詳しく紹介しています。

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コロナ禍を政治利用した金正恩政権

北朝鮮の朝鮮中央通信は8月11日、平壌で国家非常防疫総括会議が10日開かれ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が新型コロナウイルス感染症の収束と「勝利」を宣言したと報じた。

金正恩総書記は5月12日に決定した年の都市の封鎖などの「最大非常防疫態勢」の解除も指示し、7月29日から感染が疑われる新たな発熱者が出ていないと説明し、「ワクチン接種を1回も実施していない国」で、短期間にウイルスを撲滅したのは「奇跡だ」と強調したという。

金正恩の言うことが事実なら「文字通りの奇跡」と言えるが、誰がこの勝利発言を信用するであろうか。すでに朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が7月7日号で、「我が国は完全封鎖と隔絶措置を取り、短期間で世界を驚かせる奇跡を創造した」と自画自賛していたが、にわかに信じるわけにはいかない。

「完全封鎖と隔絶措置」によって感染者数が短期間で減少していったということだが、北朝鮮のこの説明を国外の専門家は他国の感染拡大状況と比べて不自然な点が多いとして疑問視していた。つまり、「感染を正確に検査できる医療体制さえない北朝鮮の統計はでたらめである」という明白な根拠があってこその判断なのだが。

北朝鮮は、医療体制が脆弱で「1回もワクチン接種を実施していない」のにもかかわらず、新型コロナ感染を収束させたことになる。

北朝鮮のメディアが報じていた治療法と薬品は、「柳の葉を煎じて1日3回飲む」「ヨモギの煙で家を消毒する」。さらには、「最高尊厳(朝鮮労働党総書記金正恩)が下さった『愛の不死薬』で治療したこと」になるが、金家の常備薬の「愛の不死薬」はともかく、柳の葉で治るのなら確かにワクチン接種はいらないだろう。

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金正恩はコロナ禍を政治的に利用した。10日のコロナウイルス感染症への勝利宣言した会議で、金与正(キム・ヨジョン)党副部長が、「防疫戦争の日々、高熱にひどく悩まされながらも、自身が最後まで責任を負わなければならない人民のことを考えて一瞬も横になれなかった」と金正恩をたたえたのである。

韓国のメディアは金与正の発言は、「金正恩が感染したり、感染した住民のような苦痛を経験したしたと意図的に示す」狙いがあるとする専門家の見方を伝えたが、実際はどうであったのか。

金正恩が熱を出した時期や熱が新型コロナ感染によるものかには自ら言及しなかったが、常に人民のことを思っている金正恩が「住民に苦痛経験を誇示」することによって、さらなる忠誠心と畏敬の念をもたらすことを狙っての発言であった。

金正恩は、党幹部を集めた防疫対策会議に自らマスクを着用して登場したり、深夜と思われる時間帯に会議を開く光景を全住民が視聴できる朝鮮中央テレビで放映し、自らの“献身的イメージ”を植え付けようとしたり、ともかく、コロナ禍を政治的に利用した名指導者役を演じた。

金与正副部長は、「新型コロナが韓国から脱北者団体が飛ばす体制批判のビラなどで流入した」と主張し、「強力な報復」を検討していると警告したが、命からがらに韓国に脱北した人たちが、金王朝打倒を叫んでも、人民にコロナ感染を媒体するようなことは考えられない。

この非科学的な発言に韓国の統一相は、11日に「北朝鮮が新型コロナの流入経路に関して無理な主張を繰り返し、無礼で威嚇的な発言をした」と批判し、「強い遺憾」を表明したが、前の文在寅(ムン・ジェイン)政権より強い態度で北朝鮮に対処するようになったことは評価されるだろう。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

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image by: Shutterstock.com

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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