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岸田首相の「関係断つ」はテキトーか?統一教会と“骨がらみ”の与党・自民の断末魔

次々と明らかになる旧統一教会と所属議員との関係と、彼らの不誠実な釈明が大きな要因となり、8月に行われた各社の世論調査では軒並み支持率を下げた岸田政権。8月31日の記者会見では、党の方針として旧統一教会との関係を断つと明言した岸田首相ですが、果たしてそれは可能なのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、自民党と統一教会の関係性を「骨がらみ」という言葉で表現するとともに、そのつながりを断ち切ることの困難さを強調。さらに「かつて政権を担っていた人々」による政権再奪取の可能性を探っています。

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統一教会との関係を問われる意味が分かってる議員、分かっていない議員:「デモくらジオ」(8月26日)から

冒頭に申し上げたいテーマは、どうしようかなというくらいたくさんあって。一つは例によって安倍晋三氏の国葬に2億5,000万円ですか、予備費からの支出が決定されました。なんか法律の専門家の中には、例の内閣府設置令ですかね、その中に「国の儀式」とある、その一つとして「国葬儀」をやるのだから問題ないのだというところに法的な根拠を見いだし、批判に対抗できると安堵しているようなところが、もしかしたら岸田内閣にはあるのかもしれないですね。

ただ、それはいかにもこじつけであって、その前段階として戦前の「国葬」に関する法律について、戦争に負けた日本は日本国憲法とともに廃止しているわけですよね。国葬令をいったん廃止しているという事実も大きいのではないかと思いますし、では67年の吉田茂さんの国葬はどう考えられるのかということもあるかもしれませんが、法的な根拠はかなり曖昧だろうと思いますね。そのことから色んな影響が出てくるわけですけれども、何よりもこういう問題を国会で議論する前に閣議決定で決めてしまっているというやり方については、皮肉っぽく言えば、安倍さんの葬式なんだから安倍さん流(の決め方)だねと言ってやりたくなります。

国会を軽視し、無視し、閣議決定で何でもやろうとしたというふうに言って大体間違いはない。それが安倍さんの政権運営の特徴の一つでしたから、そのようなやり方で自分の葬式もやられるのかと言いたくなります。

9月の27日までまだ1ヶ月ありますね。その間に閉会中審査の形で、国会で議論するチャンスはあるのでしょうけれど、それがはたして十分な議論になるのかどうか。その間に国葬なんかやめるべきだという有権者・市民の声がどんどん大きくなって、いわゆる街頭行動、デモまで起きているわけですね。その状態が9月27日にどうなっているか。

その間にどういうことが、全く違う分野でどういうことが起こるかによっても、国葬についての一般国民の感じ方は大きな影響を受ける可能性があって、特に様々な物価の値上がりが凄いですから、それがさらに昂進していった場合にですね、岸田政権に対する信頼でがどんどん落ちていく。その中ではたして国葬なるものが堪えられるのか。一般国民の神経を逆なですることになるのではないか、そんな気もしていますね。

おそらく、それでも岸田内閣はこれを強行するのではないかと思います。予測として自信を持って言うことが出来る。やらないと彼らにとっては非常に大きなピンチが、驚くほど早く終焉の時が来てしまうかもしれないので、十中八九強行するのでしょう。その際にはオバマさんを呼ぶとか、メルケルさんを招くとか、来るかどうか分かりませんけどね。海外の要人、当時の要人をさながらタレントよろしく呼んで、葬儀に参列させることをもって、派手な国葬を演出し、「ああ、やっぱり国葬やって良かったね」という意見が国民・有権者の中からでてきやしないかと、そんな淡い期待をもっておやりになるのだと思います。

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しかし、岸田内閣の支持率、ヤバいですよね。国葬問題はもちろんあるでしょうが、岸田内閣にとって最大の問題になっているのがご存じの通り、統一教会の問題。これは、どうにもならないところに来ているのではないでしょうか。さすがに、茂木幹事長が党としての調査はしないと言下に否定する。岸田さんは組閣に当たり、各自が点検して公表し、二度と関係を結ばないことを言明した人だけで内閣を作ると、そのように言ったわけですが、そうやって入閣した人を含め、統一教会との関係を問われる意味というのが多分分かっていないか、分かっていて誤魔化そうとしているか、そのどちらかではないかと思います。

あんたら、どういうことか分かっているか?

という非常に強い疑惑の目を多くの国民からもたれているということだと思うんですね。政治家たるもの、統一教会がどういうものかということについて「全く知りませんでした」というのは無しですね。ええ、それは無しですよ。知らないんだったら徹底して調べているはずです。そんなに時間は掛かりませんよ、統一教会がどういうものかについて調べるのに。で、その上でお付き合いをしているのだと当然考えられる。

政治家はいわばプラグマティックに、自らの当選を確実ならしめるもの、いわば下駄を履かせてくれる数万票、これを得るために統一教会にいい顔を向ける、望まれれば講演もする挨拶もする祝電も打つ、そういう関係にあるというのは一つあると思います。つまりお互い利用し合うということですね。

でも、中には、利用しながら研修を受けてしまい、統一教会の世界観に浸ってしまっているような議員だってもしかしたらいるかもしれない。正直に、安倍さんに統一教会の票を頼んで当選した人がいましたよね。宮島さんと仰いましたか。あの方も研修を受けたそうですので。研修では、泊まりがけで受けてしまうと、これは洗脳する側にとっては理想的な状態に持ち込めたことになる。100%とは言いませんが、かなりの確率で統一教会のものの考え方を植え付けることが出来る。

でも、その統一教会の考え方の根本にあるのは、日本は韓国に対して思いっきりお金を払わなければならないのだという話ですよ。思想として、世界観としてそういうものがあるわけですね。こういう団体、本拠地、中心が明らかに日本以外のところにあるような団体によって、政権中枢が浸されているような感覚。まあ、上品な表現ではないので申し訳ないですが、いわゆる「骨がらみ」になっているというのでしょうか。除去しようとしても取り除くことが出来ない、密着、癒着、癒合した関係。そのようなものが見えてきているということだと思うのです。

中でも問題なのは政調会長になった萩生田さんです。萩生田さんは地方議員の頃から、八王子の市議ですかね、その頃から統一教会と深い関係を結んでいたことが徐々に明らかになってきている。ただご本人がコメントしたのは、なんかそういうところに突然呼ばれて、自分が生稲さんとともに行くことをそのときに決めたというストーリーですけれども、これをまともに信じる人はほとんどいないでしょう。そういうことですよ。

さっき言った国会議員の精神的な危うさの問題というのは、実は地方議員の世界ではもっと広範に起こっている問題で、統一教会との関係をどうするのかと聞かれて「もちろん、今まで通り続けます」と堂々と言う方もおられるくらい。地方議会にも統一教会は深く浸透している。これを、岸田内閣はなんとかしなければならないはずなんですね。でもできるでしょうか。

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先ほど品のない表現で言った「骨がらみ」。骨がらみになっているのであれば、これを取り除こうとすれば、政党の根幹に関わるところを自ら破壊しなければならなくなるかもしれない。何より、統一教会の由来は、戦後アメリカの反共政策の中で日本の旧支配層の利用できる部分、岸さん、笹川さん、児玉誉士夫さん、それと韓国の文鮮明さんですよね。これを払拭した政権というのが自民党の中で出来るのかどうか。

宏池会は確かに清和会とはずいぶん趣の違う政治集団ということはできますが、今現在自民党の中にいる人たちですよね。で、岸田内閣の元で最大派閥は旧安倍派、あ、旧ではなく現在の安倍派。安倍さんはいないですが、安倍派。圧倒的な多数を握っている国会議員の数において。そういう部分が支えているのが岸田内閣ということになると、これを脱するためには外から倒してもらわないとダメなんじゃないでしょうかね。そういうふうに私などは思うのですがいかがでしょうか。

岸田さん、気の毒にコロナに感染してしまわれたので、重要な会議の時にリモートになって…妙な映像ですね。ずらっと主だった方が並んでいる。一番真ん中のところにモニターがあってそこに岸田さんが写っているという。なんか、ペラッペラの総理大臣という感じに見えてしまうのですが、それは見え方だけでなく、この間の安倍派にあまりにも気を遣いすぎているのではないかと思われるような振る舞いというのでしょうか。それと印象が重なるものですから、大変強く記憶に残っているのだと思います。

岸田内閣って今、ある意味中心を失っている、中心は安倍さんだったので、極論すると。その安倍さんが亡くなったことによって、内実として岸田内閣になった訳ですよね。安倍派の状況は特にこれから先、統一教会の名称変更問題、これがもしもつまびらかになってきたとき、下村博文さんがどうなるのか。それから萩生田さん…。萩生田さんと下村さんがドボンすると、政治家としての重要な信頼を失うことにもしもなったときに、安倍派ってどうなっちゃうんですかね。

既に、安倍さんがいないことによって「烏合の衆」とは言いませんが、中心を失っているわけですよね。これは前々からずっと思っていたことですが、岸田さんが中心になって自民党の中の再編をしていき、その成果次第では自民党がかなり性格の違う政党になる可能性…無いかな。あったのかもしれませんが、まあそういうすぐにでも空中分解しそうな状態じゃないですか。そういうときに、かつて政権を担ったことのある人たちのグループが、当時と同じことを言ったのではダメですが、一定の政策的な発展を遂げた上で、緊急の政策と中長期的政策を分け、なるほど今それをやってくれればありがたいと大勢の有権者・国民を引きつけることが出来れば、もしかしたら政権を再び奪取することができるかもしれない。

とっても大変なこととは思いますが、そうでなくても岸田内閣に対してより強い力で選ぶべき選択肢を突きつけることが出来るようになるかもしれない、ということだと思います。

(『uttiiジャーナル』2022年8月28日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)

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image by: 首相官邸

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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