現在は6足のわらじを履いて活躍中のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の著者、石川和男さん。多くの職業を一人で担うためマルチタスクが上手だとよく言われるそうですが、実は自身では全くそう思っていないのだとか。石川さんはその理由とマルチタスクの効率について語っています。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
マルチタスクの効率が悪い本当の理由
私は現在、建設会社、税理士、セミナー講師、大学講師、時間管理コンサルタント、著者という6つの仕事を行っています。
そのせいか、よく人から「マルチ人間ですよね」とか、「マルチタスクが上手い人ですよね」と言われますが、自分自身では、全くそうは思っていません。
なぜなら、決して2つ以上の仕事を同時に行うことはないからです。
大学講師の仕事は、19時からです。
大学がある日は、建設会社の仕事を17時までに終わらせて、電車に乗り込み大学に向かいます。
そのため、大学で講義がある日は、どんなに重要な仕事も緊急な仕事も全力で17時までに終わらせます。
他の仕事は一切考えず、建設会社の業務だけに集中し、もっと言えば選択した重要な仕事だけに集中して、シングルタスクとして取り組むのです。
・午前中の集中できる時間帯に企画書の仕事を30分でやり切る
・資金繰りのチェックを45分でやり切る
・集中力の切れてきた13時、15時にはメールの返信を15分でまとめて行う
決して、部下の話を聞きながら企画書を書いたり、電話をしながら資料を読んだりマルチタスクで仕事を行うことはありません。
そんなことをしても、ミスしてやり直しが増え、聞き間違いがあったりして、結局は仕事を遅らせてしまうからです。
他の仕事のことは考えずに、その仕事のみに集中して片づける。
そのときに役に立つのがノートです。
私は、タスク(やること)を全て1冊のノートに書いています。
浮かんだアイディアや会議の予定、帰りに牛乳を買って帰るなど、全てのタスクをノートに書き出すことで、頭の中はクリアになり、気にすることもなくなって目の前の仕事に集中できます。
頭の片隅に、会議のことを覚えておきながらだと、目の前の仕事に集中できません。完全に目の前の仕事にシングルタスクとして集中して取り込めるように、メモをしておくのです。
ちなみに、午前中、仕事に集中するときは、メールやSNSの着信音もオフにします。
6つの仕事をきっちりとこなすために、ひとつひとつの仕事や作業をシングルタスクとして集中して終わらせているのです。
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ただし、いっさいマルチタスクをしないわけではありません。ふたつのことを同時に行う場合もあります。
ふたつのことを同時に行うことで時間効率が上がるものや、記憶の定着につながるものがあるのです。
いったい、どんな時にマルチタスクをするのかというと……。例えば、
・ジムへ行ってエアロバイクに乗りながら、ビジネス系のYouTubeを観る
・歯を磨きながら、他のセミナー講師のDVDを見る
・シャワーを浴びながら、今後の計画を立てる
・散歩しながら、仕事の段取りや書籍の企画を考えるなど
そんなときはマルチタスク、つまり同時に2つのことをやっています。
ただし、これらのマルチタスクは、脳を使うことと、身体を使うことを同時に行っているのです。
・音楽を聴きながら、勉強する
・テレビを観ながら、執筆する
・部下の話を聞きながら、企画書を書く
これらのように、脳と脳を同時に使ったマルチタスクはやりません。
脳科学的には、そもそも脳は、同時に2つのことは考えられないそうです。
「自分はマルチタスク人間だよ」と言っている方もいますが、そのような方はひとつの仕事と、もう一つの仕事脳のスイッチを瞬時に切り替えて行っているだけなのです。
厳密に言えば、同時に行っているわけではありません。誤解を恐れずに言えば、そういう人は、最終的に注意散漫になり、効率も下がると言われています。
仕事が忙しく、たくさんの仕事を抱えている人の中には、「同時に複数のタスクをこなさなければ仕事が終わらない」という人もいるのではないでしょうか。
仕事の隙間に何度も仕事のメールを返信したり、会議に出席しながら別のタスクのPC画面を開いたり、情報収集のためにたくさんのタブを開き、気づけばネットサーフィンをしていたり……。
思い浮かべるだけで、効率が悪いと思いますね。
まとめます。
・脳と脳のマルチタスクはダメ
・脳と体のマルチタスクはOK
時間効率の観点からも、意識してみてください。
最後に、シングルタスクは「やる切る力」を生み出します。
「この仕事が終わらないと次の仕事はしない」と決めれば、難易度の高い仕事をしていても、途中でやめて、他の仕事に移ることができません。
マルチタスクだと、この仕事は難易度が高いからと、無意識に難しい仕事を避けて、次の仕事に移ってしまいます。マルチタスクで仕事行っている人は、中途半端で重要な仕事、面倒な仕事、難易度の高い仕事が終わっていない場合も多いのです。
シングルタスクで集中して、ひとつずつ確実に終わらせて成果を出す。確実に成果を出せる人が、必要とされる人材としてステップアップしていくのです。
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