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近づく終末。プーチン大暴走でロシア全土に降り注ぐ核兵器の雨

勃発から7カ月が経過したウクライナ戦争。相手軍の猛反撃に手を焼くプーチン大統領はついに予備役を戦地に送る動員令を発出しましたが、もはや後に引けない独裁者は自国を消滅に導こうとしているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、中国はおろか北朝鮮までもがロシアを見限りつつある現状を紹介するとともに、この戦争の最終フェーズが核戦争に移行したと断定。プーチン氏の核使用が米ロ戦争を引き起こし、その結果ロシア全土が核兵器により破壊されるとの破滅的な行く末を予測しています。

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ロシアは部分動員令に。ウクライナ戦争の推移

ウクライナ戦争で、ロ軍の兵員不足で戦線の維持ができないことで、部分動員に踏み切った。プーチンは戦術核の使用も匂わしている。今後を検討しよう。

ウ軍は、東部ハルキウ州のほぼ全体を奪還したが、クピャンスク市西側の奪還後、オスキル川を渡河して東側も奪還して、オスキル川東岸を攻撃しているようだ。

そのほか、3ケ所で渡河に成功し、次のロ軍の防衛線であるルハンスクの州境に向かって、前進している。逆にロ軍はクピャンスクを攻撃してきた。

しかし、ウ軍の前進を止められていない。次の重要都市はスバトボになる。ここを落とすと、主要道路p66号線での補給ができなくなり、セベロドネツクの防衛も難しくなる。このため、ロ軍はオスキル川の防衛線を突破されたことで、最終的にはロ軍防衛線はゼレプレッツ川に置くしかないようだ。

部分動員

しかし、増援部隊がなくロ軍も体制を立て直すのが苦しい。特に後方の守りがなく、前線を突破されると、真空地帯になり、ウ軍の進軍速度が早くて、撤退の準備もできずに対応ができないことをハルキウ州喪失で思い知らされた。

このため、後方の守備を固める兵力を確保する必要から、部分動員を行ったようであるが、プーチンは演説予定日を1日遅らせた。それも直前に延期した。

当初、ロ軍の文章は、総動員令になっていたが、それでは国民の反発が大きいと、直前にプーチンがショイグ国防相に待ったをかけたようである。

しかし、ロ軍参謀本部とブルガコフ次官は、ハルキウ州からプーチンの命令で主要部隊を南部ヘルソンとドネツク市周辺に回したことで、手薄になり危ないと見ていた。その心配が的中した。

このため、プーチン指示の失敗を盾に、今回はブルガコフ次官などロ軍幹部は、プーチンの命令を聴かずに、動員令を押し通した。しかし、部分動員を複数回行えば、総動員になるということで、部分動員に譲歩したようである。

プーチンも強硬派から批判されて、兵員の不足を募集だけでは埋まらないし、ワグナーの雇用兵を増やし、正規軍と共同部隊を組むと給与差が明確化して、部隊の亀裂になることを現場の指揮官から、指摘されていた。このため、正規軍の増員が必要であることは、了解していた。

ということで、ロ軍徴兵事務所は、総動員ベースで進んでいる。まずは、都市部の反動員派、地方の総動員、非常に足りない将官と佐官の予備役、30歳以下の予備役を優先するようである。即戦力となる予備役は重要である。

特に30歳以下は、軍務経験から、それほど経ていないので、再訓練の必要なしに前線に送れるという。他は、2週間の訓練で前線に送るという。

そして、ロシアの田舎であるブリヤート共和国では、「部分的」ではなく、100%の動員になっているようだ。総動員になっている。

ロシアは徴兵制度があり、多くの若い人が予備役となるため、全国的に対象となる予備役は2,500万人もいるという。このうち、30万人ではなく、事実としては100万人が最初の対象となっている。

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このような状況で、都市部では、動員の可能性がある若い予備役の人を中心に海外に退避するようで、イスタンブールへの航空便が数日間満席、ジョージア、カザフスタンなどの国境線には車が渋滞している。

フィンランドでの国境も同じでロシア人6,400人以上が、22日1日に陸路でフィンランド入国したが、フィンランドはロシア人の入国を制限する方向である。逆にアイルランドは兵役拒否の人たちを無条件で入れるという。

この状況を見て、政府は動員対象者で、政府の許可書のない者には航空券を売らないように航空会社に通知した。その内、出国禁止になる可能性もあるようだ。すでにクリミアでは若い男性の州外への移動禁止になっている。その次には戒厳令、そして総動員という順番に進むようだ。

このような状況で、都市部では、反動員デモが行われて、参加者は拘束・動員され、このデモを取材した記者も動員されたということで、このデモを潰すようである。また、プーチン支持派の人が反動員デモを見ていても動員されたという。

誰でもよいから動員するということのようである。最後は総動員になるので、遅かれ早かれ動員されることになるようだ。軍務経験のない人も召喚令状が届いてるようであり、部分的に総動員になっているようだ。

しかし、米の戦争研究所は、ロシアの部分動員が戦争の流れを劇的に変化させる可能性は少ないとした。前線にすぐ出す動員より、優秀な兵器の確保や兵士の士気技量の向上が必要だということであろう。

このような状況から、カフカーズ地方は「動員令」に応ずることを拒否声明を出し、ダゲスタン共和国では「戦場に子供を送るな」との母親たちの圧力に行政が同意せざるを得なくなっている。

チェチェンのカディロフも、「これ以上は要員を戦場に送らない」というように、動員を拒否する地方が出てきた。ロシア崩壊の前兆だ。

そして、100万人の未熟な兵士を前線に送ると、戦術も大きく変化する。突撃が多くなり、人海戦術になる。悲惨な戦場になるようだ。このため、ウ軍も準備が必要であり、重機関銃で突進するロ軍兵を排除するしかないことになる。

ロシア国防省はブルガコフ次官を解任したが、どうも、ロシア国内での反対運動に、プーチンも限界を感じている可能性がある。強硬派の国防省次官を解任した。

リマンとドネツク攻防戦

スラビアンスク東側の攻撃でウ軍の前進は急速である。リマンやヤンピルの戦闘も続いているが、オスキル川を渡河したウ軍攻撃部隊が、ロゾベを奪還し、カリピフカ、リドコドップを奪還し、20kmも機甲部隊が前進して、ウ軍はそこで南と東に2分して進むようだ。この方面をウ軍は攻撃場所として、機甲部隊を投入している。

リマンは、ロ軍の薄いリマン郊外をウ軍が東に進み、リマン包囲を完成する可能性がある。そろそろ、リマンからロ軍は撤退になるはず。すると、隣のヤンピルからも撤退になる。

しかし、ロ軍はソルダーに展開していた空挺部隊をリシチャンスクに送り戦闘力を上げて、もう1つが、ロシア本土から援軍を送り、ウ軍の攻撃を阻止したいようだ。

というように、オスキル川の防衛線を突破されたことで、この方面では、次の防衛線をルハンスク州セベロドネツクに置くしかなく、ロ軍はそこで体制を立て直したいようである。

しかし、精鋭部隊がいなくなり、バクムット周辺やドネツク市周辺でのロ軍の攻撃圧力が縮小して、ロ軍は前進できないでいる。

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ヘルソン攻防戦

しかし、ウ軍は南部ヘルソン州での攻撃では、ロ軍の降伏交渉を蹴ったことで、精鋭部隊が多いロ軍がウ軍を逆攻撃することが多くなった。死に物狂いでの反撃であろう。退路がないので、頑張るしかない。

ヘルソン市北のキセリフカをロ軍が攻撃して市街戦になっている。ヘルソン市に向け、ウ軍が機甲部隊を進撃させていたが、その機甲部隊に大きな損害が出ているようである。西端のオレクサンドリフカもウ軍からロ軍が奪い返した。M777榴弾砲の砲撃からヘルソン市内を守るために、ウ軍をその範囲内から追い出すようだ。

しかし、ドニエプル川の橋やフェリーは相変わらず攻撃しているので、はしけで細々と補給をしているが、ノバ・カホフカダムの近くに2本の仮説橋をロ軍は構築したが、うち1本を破壊したが、もう1本はまだ通行可能のようである。しかし、通行のトラックなどへも砲撃しているので、食料や飲料水が思うように確保できない状況は変わらない。

そして、ヘルソン市周辺のロ軍対空システムも破壊されて、ウ軍の攻撃機がロ軍を空爆しているが、それでもロ軍は頑張っている。ロ軍の攻撃機も飛来して、ウ軍を空爆している。

ヘルソン州中北部の橋頭保やヘルソン州北東部の状況も不明になっている。

しかし、ロ軍は、西岸の中部ベリスラフに集結させて、ヘルソン州の中北部や北東部のロ軍の撤退準備をしているようであるが、プーチンは、占領軍司令官のへルソンからの撤退要請を拒否しつづけているので、撤退を実行できないでいる。

ロ軍補給線を遮断して、ウ軍はHIMARSの砲撃と攻撃機の空爆を継続的に実施して、ロ軍の消耗を待つしかないようだ。ロ軍精鋭部隊の厚い守備に、ウ軍機甲部隊攻撃では、損害を大きくしているだけであり、ロ軍撤退を待った方が良い。プーチンはいつまで要請を拒否できるかということである。

南部地域では、イランのUAVも活躍しているようであり、ウ軍も、多数飛来したロ軍のイラン製シャヒード-136自爆ドローンを迎撃しきれないことで、各所で暴発が起きている。

このため、イスラエルは対ドローン用防空システムをウ軍に供与するようである。イスラエルは、今まで中立を保ってきたが、ここにきて、ウクライナ側に回ったようである。もう1つが、イラン製ドローンの防御性能を上げる実戦試験のためのようである。イスラエルは、イランとの戦争を準備している。

ウ軍戦車の損失で、米国もドイツのレオパルト戦車か、米国の戦車の供与も検討し始めたようである。しかし、シュルツ首相はレオパルト戦車の供与は認めない。F-16戦闘機の供与も検討開始した。

ウ軍装備が全面的にロシア型兵器から欧米兵器に変わる可能性も出てきた。これで、兵器の弱点がロ軍は分からなくなるから重要なことである。ロ軍の防御効率が落ちることになる。

このため、現在はロ軍の弱兵がいる場所を攻撃した方がウ軍としては得である。このような場所がサポリージャ州であり、ウ軍機甲部隊が徐々に進軍して、エホリフカまで到達したようだ。

ロ軍も徐々にウ軍が前進するので、徐々に後退している。ここには、訓練もされていない第3軍団が守備の中心であり、脆いようである。まだ、攻撃の中心がオスキル川防衛線突破であるので、ここは砲撃が中心で機甲部隊が突進するような状況ではないが、いずれロ軍の弱点に攻撃の中心を持ってくることになるとみる。

それと、ザポリージャ州は、パルチザン活動が盛んであり、多くのウ軍特殊部隊が潜入しているようだ。

どうも、プーチンはヘルソンを重視し過ぎているようであり、精鋭部隊をヘルソンとドネツクに集めすぎて、他の地域の戦力は手薄のようである。この修正をしないと、ロ軍の勝ち目はない。

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ロシアの孤立化

プーチンは、戦術核の使用を仄めかしたが、国連でロシアへの非難が止まらない。とうとう、中国も公平な立場であり、戦争の終結を早く実現する必要があるとした。中国もロシア離れを隠さなくなってきた。

トルコのエルドアン大統領は、ウクライナに占領地を返して、ロシアは停戦する必要があるとした。そして、プーチンも戦争を終わらせたいようだという。

また、グテレス国連事務総長は「核紛争の考えは全く受け入れられない」と表明した上で「住民投票と称する行為の実施計画を深く懸念する。武力行使による他国の領土の併合は国連憲章と国際法に違反する」と明確に指摘した。国連もロシアの敵になったようだ。

このように、国連事務総長も明言しているし、ゼレンスキー大統領は、ロシアの安保理での拒否権停止を主張しているが、これに同調する動きも出ている。

しかし、プーチンはウクライナの占領地から撤退することは、政治生命を絶たれることになるので、それはできない。プーチンが頼れるはずの北朝鮮にも、今以上の兵器や弾薬の提供を断られている。

ロシアに弾薬を送ると西側メディアは北朝鮮も悪者にしていると。世界的な悪者の北朝鮮が、ロシアを悪者というほど、ロシアは世界から悪者と見られていることになる。

北朝鮮はロシアに兵器と弾薬を送り、中国から兵器と弾薬を買うつもりだったが、中国が拒否したようである。

このため、プーチンは、交渉の窓口であるエルドアン大統領とサウジのムハマンド皇太子とのパイプを維持する必要があり、捕虜交換を提案されて、それを承諾した。この結果、ウ軍215名が解放された。しかし、戦争終結までトルコにいることが条件であるが、アゾフ連隊108名も含まれている。もう1つがウ軍で戦った海外義勇兵の解放である。

この代わりに、ルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州のロシア併合への住民投票を、ここに留置している捕虜と交換に認めた。州行政官たちは、自分の身分がウ軍の攻撃で破滅する可能性が出ているので、ロシア本土と一体化して、核の使用ができるようにして、核での防衛を志向するようである。ラズロフ外相も同様なことを言っている。

これで、この戦争の最終フェーズは、核戦争になってきた。

米国もロシアの核兵器保管施設を監視しており、核弾頭がトラックやヘリコプターに積み込まれたり、核兵器を扱うための特殊訓練を受けた部隊の活動が活発化したりした場合に、それを検知するという。

プーチンが短距離核攻撃の準備に着手した場合は、米国も対応するという。第3次世界大戦となるのではなく、ロシア対米国の戦いになり、ロシア全土の核爆発でロシアは破壊されることになる。米国への長距離ミサイルも飛ぶはずであり、米国の一部も破壊されるかもしれないが、ロシアがなくなる。

日月神示やヨハネの黙示録の記述にある最後の世界になってきたことになる。我々は、「終末の世界」を見ることになるのであろう。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2022年9月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shag 7799 / Shutterstock.com

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