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Farmers of Japan celebrates good harvest

なぜ農家のおばちゃん四人が「無給」で働く食堂は限界集落を“救う”のか?

地方創生や活性化に力を入れているけれどなかなか過疎化の波には逆らえない─。そんな悩みを持つ地方が多いようです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、 限界集落を救うかもしれない、話題の「ボランティアレストラン」を紹介しています。

限界集落を救う!?農家のおばちゃんたちが無給で働くレストラン

過疎、限界集落。日本中の至るところで直面している課題です。

地方創生・地域活性化に積極的なところもありますが、ほとんどの地域はなす術もなく、消え去る運命にあります。

大分県豊後高田市の田染地区は、町おこしに前向きなところではありますが、他の地方と同じく、課題の解決には至っていません。

交流館を作り、体験イベントを行ったり、民泊をしたり。

失礼ながら、ありきたりな策を弄しているだけで、目に見える効果は出ていません。

その中でひとつだけ、希望の光が見え掛けているものがあります。

農家レストランです。

町おこし=農家レストランと言えるほど、ごく普通の取り組みなのですが、運営の方法が他とは違っているのです。

「農家レストラン 蔵人(くらびと)」。

近所で民泊を営む農家のおばちゃん4人が運営しているのですが、全員無給なのです。

タダ働き。ボランティア。

お店の売り上げは経費に消えて、利益はありません。

本人たち曰く、「赤字にだけはならないようにしたい」。

利益を上げるために、「値上げをしてはどうか」という、まわりの意見も無視。

集まって、おしゃべりしながら作るのが楽しい。自分たちが元気でいられれば、それが報酬。

地域に人が集まって来て、美味しいと喜んでくれれば、それが何より嬉しいと言います。

このお店で提供されるのは、1種類の定食と1種類のハンバーガー、ケーキセットのみ。

営業は、金曜日と土曜日の11:30~14:00。

この定食を目当てに、人びとがやって来るようになりました。

「窓の月御膳 1000円」。

メインの料理が4種類から選べ、小鉢が4つ、漬け物、味噌汁、そしてぜんざいまでついている、ちょっと豪華な定食になっています。

1種類の定食とは言うものの、4種から選べるので、実質4種類です。

そのメインは、「チキンピリ辛」「チキンかぼすタルタル」「蔵人特製コロッケ」「とりハムのネギソースかけ」。

どれもボリュームがあり、小鉢が無くても、定食として成立します。

盛りだくさんなのが、田舎流のおもてなしなのです。

誰もがお腹いっぱいになって、帰って行きます。

ハンバーガーは、「BaBaバーガー」と呼び、特製コロッケを挟んだもの。

これも400円という安さ。飲み物セットで500円。

ケーキセットは、手づくりケーキとコーヒーで300円。食事をした人は、200円で提供しています。

利益が出ないのは納得できます。

米や野菜などはすべて地元のものを使い、料理のすべてを手づくりしています。

箸袋まで手づくりしています。これは、遊び心なのでしょう。

4人全員が、楽しんでいるのがよくわかります。

この“ボランティア”が生きがいとなっているのです。

無給で働くことで安く提供でき、その結果、評判となり、人びとが集まって来るように。

飲食店の無かった集落に、ひとつの光が差し、地元の人や観光客が、美味しい時間を楽しめるようになりました。

まだまだ町おこしの入口ですが、大きな一歩を踏み出したのではないでしょうか。

「無給のレストラン」ということでも話題になっているので、メディアが取り上げる頻度も高まるでしょう。

町づくり、町おこし、村おこしは容易ではありません。

しかし、地元の人びとが意気込み、真剣に、積極的に動くことが大切です。

儲けることだけを考えていては、まわりの人を巻き込んで、みんなで活動することはできません。

町のために、みんながボランティア精神を発揮することも必要なのです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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