低迷が叫ばれて久しい日本経済ですが、いったいどうすれば「上向き」になっていくのでしょうか。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、日本経済の再興計画について自身の考えを明らかにしています。
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日本経済の再興計画「宇田川私案」
まずは日本経済を見てみましょう。
日本の経済は、昭和の高度経済成長をしている時代とは全く異なるものであるのではないでしょうか。
実際に、昭和の時代の高度経済成長の時代は、日本で様々なものを製造していたのです。
日本は、自分の手で様々な物を作り、そして自分の手で技術を開発してきたのです。
そこに、日本の勤勉さと、日本のアイデアが、様々な形で功を奏し、そしてそこに1ドル360円の円安で、その製品を世界に売り出すことで経済を成立させたのです。
日本の経済は、そのようにして「自分の手で作り、それを改良して輸出する事」で復興させたのです。
それは、第二次世界大戦によって焦土と化した日本の経済を復興させ、数十年で世界の経済大国にたらしめるのに十分な力になったのです。
しかし、現在はそのような製造業にはなっていないのです。
バブル経済は、日本を「金融」という魔力の中に入れてきました。
バブル経済の当時「財テク」という言葉が流行しました。
「財テクをしない人は馬鹿だ」などと言うようなことまで言われたのです。
「財テク」とは、財務テクニックということになります。
つまり、投資をし、そしてその投資によって労をせずに儲けるということを覚えてしまったのです。
プラザ合意によって、世界各国から買えばよいということを行い、そして、自分たちで働くことを止めるようになってしまったのです。
要するに、「プラザ合意」と「バブル経済」によって、日本の経済は昭和の行動経済成長を成し遂げたときとは全く異なってしまったということになるのです。
このことから、基本的には日本人は「自分でモノを作らなくなってしまった」ということになります。
この事をもって「働かなくなった」と言ってしまっては語弊が大きすぎる気がします。
しかし、「モノを作らなくなってしまった」ということになれば、正しいことなのではないでしょうか。
もちろん製造業は日本には少なくありません。
自動車産業などは、日本のお家芸であり経済を支えている産業であるということになります。
しかし、その自動車、一台作るのにどれくらい「外国の部品」を必要とするのでしょうか。
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昭和の時の製造業と異なり、東京や大阪の中小企業が徹夜をして部品を作っているという状況ではないのです。
この状況を「グローバルサプライチェーン」と言います。
日本にあるもので「100%日本製」というものは本当に少なくなってしまっているのではないでしょうか。
もちろんそのことを批判しているわけではありません。
時代の流れからそのようになっているのでしょうし、また、そのようにしてコストを下げていることから日本の物価はかなり下がっているということになるのであると思います。
その為に、ある意味で「安全」とか「何か平和で無くなった時の保証」を放棄していたということになります。
そのやめに、なかなか大きな内容はできないということになるのではないでしょうか。
経済的な効率性だけを追求して現在の日本の経済は構成されています。
つまり、人件費や固定資産税などの間接経費が安い国に、工場などの「人を集約する労働」を全て持って行ってしまったということになります。
この事から、工場などはすべて日本以外の場所に持っていかれてしまうということになってしまいます。
そのうえ、日本そのものの少子化も相まって、日本の技術力は全て外国人に継承されてしまうということになってしまっているということになるのではないでしょうか
もちろんそのことを批判しているわけではありません。
しかし、そのような状況で、昭和の時代の行動経済成長に習っても意味がないということになるのです。
そのことをよくわかっていなければならないということになります。
さて、日本は、私の幼いころは「加工貿易の国」というようなことを言われていました。
つまり、日本には「資源」「市場」が少ないということになっているということになります。
しかし、現在は「資源」だけではなく「部品」もないということになるのではないでしょうか。
そしてその部品がないということが、そのままグローバルサプライチェーンになってしまうということになります。
同時に、そのことは「為替の変動で利益を失う」ということを意味しているということになります。
つまり、昭和の時代は「円安であれば日本製品が売れるので景気が良くなる」というようなことを言っていたのですが、現在はそうはならないということになるのです。
そして「部品もすべて輸入する」ということになってしまっているので、円安そのものは全く日本の優位にはならないということになるのです。
この事をよくわかっておかなければなりません。
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さて、ここから日本の復興策です。
日本の復興は「日本的な技術の継承と、日本の製造の復活」ということになるでしょう。
本年の11月にキヤノンが中国からの工場の撤退を表明しました。
キヤノンは、中国に早くから進出した会社ではありますが、しかし、そのキヤノンが「戦争のリスク」を考えて撤退するということになったのです。
同時に日本は「働き方改革」などを行い、労働をしないというようなことばかりを言っているのです。
しかし、日本そのものが働かなければならないということを自覚するべきではないでしょうか。
工場労働者を増やすということがもう一つの経済復興ではないかと思います。
そして、「日本の技術力を高める」ということ、これが最も重要ではないかと思います。
「製造を日本に」「頑張った労働」そして「技術力」この三つが揃って、為替などに関係がないような経済にすべきではないかと思うのです。
いかがでしょうか。
そしてその根底にあるのは「日本人が権利ばかりを主張するのではなく、自己責任や、国家への義務ということを考える」姿勢が国民一人一人に根付けば、日本は変わってくると思います。
自分は働かないで、景気が悪いといっている人が少なくない現状で、どのように考えるのかということだと思うのです。
(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年11月28日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)
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