ビジネスで生き残っていく人は、そうでない人とどのような違いがあるのでしょうか。メルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の著者、石川和男さんが紹介するのは「選択肢」のお話。あなたは「1+1」の答えを何個準備できますか?
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これから生き残っていく人は、「〇〇」が多い
ビジネスに「唯一の正解」はない!
様々な選択肢のなかから、より最善な方法を選び出し会社の方針を決めていく。これから生き残っていくビジネスパーソンは、「選択肢」が多いという話をします。
スポーツやゲームにルールがあるように、会計にも「真実性の原則」というルールがあります。これは「会社の経営状況について、企業を取り巻く利害関係者に、真実な報告をしなければならない」というルールです。
企業を取り巻く利害関係者は、仕入先、得意先、国、地方公共団体、税務署、債権者、債務者、銀行、協力会社、関係会社、親会社、子会社、株主、投資家、消費者など実に多く、これらの利害関係者に「嘘偽りのない報告をして下さいね」というのが「真実性の原則」です。
では、ここでいう真実性とは、どのような意味なのか?
例えば、会計では建物や車の価値が下がったときに、価値の目減り分を計算しなければなりません。その方法は、唯一1つだけの方法ではなく、定額法や定率法、級数法など様々な方法が認められています。商品を売ったり買ったりするときも、三分割法や分記法、総記法など様々な会計方法が認められています。つまり会計処理は、唯一の方法(絶対的真実)ではなく、法律で認められた範囲内なら会社の実情に応じて様々な選択肢(相対的真実)の中から選んでも良いのです。
小学1年生の授業風景。先生に「1+1は?」と聞かれたら、大きな声で「にぃ~」と答える子供たち。これしか選択肢が無いと考えるのが絶対的真実。しかし学年が上がるにつれ、「ふたつ」やワンツースリーの「ツー」、そして無言で「ブイサイン」を掲げるという正解も導き出せるようになります。様々な選択肢がある。これが相対的真実です。
これを会社組織で考えた場合、これから生き残っていくビジネスパーソンは相対的真実を求め、生き残れない人は絶対的真実を求める傾向があります。
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選択肢が少ないと仕事は停滞する
私は建設会社に勤めています。建設物の特徴は、請負金額が一般の製造業と比べて高額なこと。物件によっては、数十億円、数百億円になることもあります。生産期間つまり工事の期間が長い。大手ゼネコンに勤め、4つのダム工事を完成させたら定年を迎えたという所長もいます。1つの工事でも、土工事、コンクリート工事、鉄筋工事など実に20種類もの工種から構成されている場合もあります。個別に受注して生産するので、オーダースーツと一緒で、同じ工事は1つもありません。そのため担当した現場の所長の責任は重く、工事完成のための全権を握っています。その工事現場の中では、所長は社長と同じなのです。
そんな現場のリーダーである所長。工事がうまくいかない傾向にある所長は、選択肢が無い「絶対的真実」を求める所長です。ワンマン社長のように自分が言ったことが絶対。この仕事の手段は自分の考えた方法が絶対。部下に自分の考えだけを強要し部下の考えを狭める所長です。
早く、安く、安全に仕上げるためには様々な手法、様々な選択肢があります。どこに優先順位をおくかでも正解は変わってきます。たとえば過去の成功事例を唯一の方法であると勘違いしてしまい、工期を短縮する・コストダウンするための様々な選択肢を検討することなく進めてしまう人に、最善の工事を行うことは出来ません。工事を完成させる上で唯一絶対の方法だけを主張する人の下では、メンバーは窮屈になり、最終的には所長の顔色ばかりうかがうようになります。自分で考える力まで失い、その都度上司に判断を仰ぐことになり、チームとしての仕事まで遅くなるのです。
これから生き残っていく人は、「選択肢」が多い
一方、これから生き残っていく人は、選択肢が多いのです。人の意見を聞きつつ最善の方法を選択して工事を進めます。人から相談を受けた場合も、一方的に押し付けるのではなく選択肢を広げてあげるアドバイスを行ないます。自分の手法が採用されたメンバーは、認められた喜びで、モチベーションも上がり工期短縮などのアイディアも出て仕事が速くなるのです。あなたが、もし絶対的真実思考で仕事を進めるタイプなら、メンバーの意見を聞いて下さい。思わぬところで成果が出る場合があるかもしれません。
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選択肢を多くする方法
選択肢を多くするにはどうしたらよいのか。それには人の意見を取り入れることが重要になってきます。書籍やセミナーからでも良いし、上司や同僚、そしてもちろん部下からの意見も取り入れ選択の幅を広げます。部下からの意見を聞くときに注意する点が3つあります。
1つ目は、話を最後まで聞くこと。途中で話を遮ることは、取るに足らない意見だと決めつけることになり、部下のやる気を奪ってしまう可能性があります。
2つ目に、部下の話を聞き終えたら、主体的に発言したことを評価すること。部下が上司に自分の意見を述べるのは勇気がいることです。その勇気を認めてあげることで、部下は意見を出しやすくなります。意見交換が活発になれば、現場に活気が生まれます。
3つ目に、全否定をしないこと。部下はあなたより知識も経験も少ないのですから、必ずしも素晴らしい意見を述べることはできないでしょう。それでも、いつも良いところを探すスタンスで部下の話に耳を傾けましょう。修正や改良を加えることによって、良い意見に化ける場合もあるからです。
これから生き残れない人は、絶対的真実思考です。自分のやり方が正しい、1つの方法しか正解がないと考え部下や人の意見を聞かず、職場を窮屈にします。メンバーはやる気を失い指示待ち社員になり、仕事が遅くなります。
これから生き残れる人は、相対的真実思考です。色々なやり方のなかから最善な方法を探そうとします。そのため部下や人の意見に耳を傾けます。現場は活気づき、社員のモチベーションも上がり、組織が円滑に進むのです。
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