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バイデン大統領までも「機密文書」持ち出し。今後の焦点は“次男の疑惑”か?

トランプ前大統領が機密文書を持ち出し捜査を受けている最中に、現職のバイデン大統領も機密文書を持ち出していたことが発覚し、アメリカメディアは大騒ぎとなっています。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では、著者でジャーナリストの伊東森さんが、前職と現職の大統領による「機密文書」持ち出しの中身を比較。トランプ氏ほどの悪質性は伺えずとも、追及は免れず、アフガン撤退問題や次男の疑惑にも波及する可能性を指摘しています。

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トランプ氏につづきバイデン大統領も「機密文書」持ち出し。今後の焦点はアフガン撤退、バイデン氏次男の疑惑

バイデン米大統領の特別法律顧問は12日、声明を出し、バイデン氏の自身の副大統領時代の機密文書が、ワシントンの個人事務所と東部デラウェア州ウィルミントンの私邸から見つかったと公表。

同じ日、ガーランド司法長官は機密文書を持ち出した経緯の捜査を指揮するため、ハー前連邦検事を特別検査官に任命した。今後、問題が本格捜査されることとなり、2024年の大統領選に再出馬する意向を示すバイデン氏には打撃となる。

昨年には、共和党のトランプ前大統領の機密文書持ち出しが発覚したばかり。トランプ氏は昨年、大統領の退任後に私邸に機密文書を持ち出し、特別検察官が捜査している。そのため、現職と前職とが同様の問題で捜査を受ける異例の事態となった。

バイデン氏の特別法律顧問は、私邸から見つかった機密文書は「少数」としているが、詳しい件数や内容は不明(*1)。ただ、個人事務所にあった機密文書は昨年の11月の中間選挙直前に発見されたのにもかかわらず、今月になって米メディアが報道するまで公表はしていなかった。共和党は、中間選挙への影響を回避するために公表をしなかったとして、今後、追求する構え。

バイデン大統領機密文書問題の経緯とトランプ前大統領の問題時との比較

経緯(米メディアによる)

バイデン米大統領とトランプ前大統領の機密文書問題の比較

バイデンよ、お前もか

トランプ前大統領に続き、バイデン氏も同じ失態を犯していたことが分かった。再選への出馬を目指すバイデン氏の足かせとなることが確か。ただ、捜査への協力姿勢を見せ、トランプ氏との違いをアピールするが、事態は不透明だ。

バイデン氏は昨年8月、機密文書の持ち出しでFBI(連邦捜査局)の家宅捜索を受けたトランプ氏を「無責任」だと非難。11月には特別捜査官が捜査に乗り出した。しかし、自身も同じ問題を抱えていたことが分かり、大統領のイメージの悪化は避けられない。

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米メディアによると、バイデン氏のワシントンの個人事務所で見つかった機密文書は約10件で、私邸にあった分も「少数」であるという。他方、トランプ氏の邸宅であるマールアラーゴからは300件以上もの文書が見つかった。さらにトランプ氏の場合、国立公文書館(NARA)の指摘で判明。引き渡しを求めたNARAには非協力的であった。

一方、バイデン氏の場合、個人事務所の閉鎖作業中に機密文書が見つかり、すぐにNARAに連絡して引き渡したと説明。ただ、昨年11月2日に個人事務所で文書が見つかった後、今月9日にメディアが報道するまで公表はしなかったことは事実。

今後の焦点 アフガン撤退 バイデン氏次男の疑惑

今後の動向は先の中間選挙で多数派を奪還した共和党の動きだ。下院の外交委員会のマコール委員長(共和党)は、2021年8月のアフガニスタン駐留米軍撤退をめぐる混乱について、国務省の対応に対する調査を開始した。

同時に、司法省が今回のバイデン大統領の機密文書持ち出し問題、さらに監視・説明責任委員会がバイデン氏の次男の疑惑の調査にそれぞれ乗り出しており、共和党によるバイデン政権への追及が本格化する。

マコール氏は、12日付の国務省宛ての書簡で、「バイデン政権による大混乱の米軍撤退により、敵対勢力は勢いづき、アフガンは再びテロリストの温床となった」(*3)と批判。国務省に対し、アフガン駐留米軍撤退に関する資料を今月26日までに提出するよう求めた。

また、バイデン氏の次男であるハンター氏が外国の企業から多額の報酬を受け取っていた疑惑についても、監視・説明責任委員会が11日、財務省に対し、銀行取引などについての資料を提出するよう求めている。

同様に、今月13日には、司法委員会がバイデン氏の機密文書が個人事務所や私邸から見つかった問題でも、司法省の関連する資料を提出するよう要求した。

引用・参考文献

(1)機密文書問題、バイデン氏も捜査 特別検察官任命 私邸からも「少数」発見 |西日本新聞me(2023年1月14日付)
(2)米、機密文書問題で本格捜査 特別検察官任命、大統領打撃に|47NEWS(よんななニュース)ワシントン=共同(2023年1月13日付)
(3)私邸から機密文書、新たに5枚 バイデン氏再選出馬に影響も:中日新聞Web(2023年1月16日付)

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image by:YASAMIN JAFARI TEHRANI/Shutterstock.com

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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