人事異動で悩むのはビジネスマンの宿命とも言えますが、ほとんどのケースは似た状況を誰かが経験していて、解決法があるものです。今回、メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』に寄せられた相談は、「異動先の直下の優秀な部下2人が指示を聞かない」でした。世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんは、本来は異動後1ヵ月以内に終わらせておきたかったことと前置きした上で、問題の部下2人から信頼されるための動きを細かく具体的にアドバイスしてくれます。
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部下が100人。直下の2人の優秀な部下が指示を聞きません。何とかならないでしょうか
Question
中堅商社である部門を任され、事業部長をしています。半年前に別の部門から異動しました。部下が全体で100人ほどで、直下に優秀な部下が2人いて、若干微妙な雰囲気になっています。
どう微妙かというと、私の指示を少しだけ曲げて下に伝えているようなのです。「事業部長はああ言っているけど、そうは言ってもね。実際はこのくらいでいいんじゃないかな」的な話だと思います。私のほうがこの部門での日が浅いので、真っ向から反論することもできません。ただ健全とは思えないので、何とかしたいのですが。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。よくある話ですね。古参の優秀な部下が新しく来た上司に対してとりがちな姿勢です。
彼らの問題ではありますが、こちらの姿勢、態度、自信のなさの結果、軽く見られているのは否めません。猛獣使いと思うといいかもしれませんね。厳しく接しないと、すぐにつけあがる、ということです。
具体的にどうすればいいかというと、まずは、半年前に異動してきたばかりですので、その部門について徹底的に質問して何もかも理解する必要があります。本当は異動してきた最初の月に終わらせておけばよかったのですが、今からでもやるしかありません。
その2人の部下それぞれを1時間のミーティングを3回くらいして、初歩的な質問から高度な質問まで遠慮なく、徹底的に聞きまくります。並行して、前任者とは改めて1時間のミーティングを3回くらいして、こちらも深くまで把握します。可能であれば、前任者とのミーティングを先行させます。
次に、主要顧客への訪問を1ヶ月くらいの間に実施します。毎日2~3件で50件はいけます。彼らに訪問設定を指示すると、面倒くさがられますが、「着任6ヶ月たっていろいろ把握できたので、改めてご挨拶にお伺いしたい」ということで、日和らずに指示します。
躊躇すると、理由をつけて無視したり手抜きをしたりしますので、断固とした姿勢で要求します。すでに舐められていますので、どちらが上司か、明確に見せることが必要です。こちらがうろたえていると、平気で馬鹿にしてきます。こちらがぶれずに指示していると、渋々動くはずです。
顧客訪問時に大切なことは、こちらの無知をさらけ出さないことです。そのためには、アクティブリスニングをするに限ります。裏で必死に勉強しつつ、表では、顧客によりそって真剣に、本気で話を聞き続ければ、顧客の信頼を得ることができます。
2人の部下が何年も顧客としてフォローしていたのに話してくれなかったようなことをぽろぽろと話し始め、2人がびっくりする、ということなども普通に起きます。
2人の部下のほうが本当に優秀だと会社側が判断すれば、こういう人事は決してしていません。その意味では、自信を持って取り組んでください。いつの間にか、彼らは信頼できる上司として見てくれるようになります。
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