ウクライナをサポートする西側諸国を、核兵器をちらつかせ牽制するプーチン大統領。許されることのない核の使用は、はたしてプーチン氏個人の判断のみで行うことが可能なのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、米国外交専門誌に掲載された「ロシアの核発射手順」を紹介。さらにこのような緊急事態の情報を独自に収集できない日本に対する、偽らざる思いを記しています。
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ロシア、核発射のプロトコル
ロシアが核を使うことはありえるでしょうか?
米国では大統領だけが核のボタンを押せます。そのボタンが入った黒いブリーフケースをもってお付きの人が大統領に同行しているのです。
ロシアではどうなのでしょう?
プーチンの気がおかしくなって突発的に核のボタンを押すことがありうるのでしょうか?
外交専門誌フォーリンアフェアーズの2月6日に掲載された論文を抜粋紹介しましょう。
【参照】How Russia Decides to Go Nuclear
米国は、ロシアが実際に核兵器を使用する可能性があると繰り返し警告し、クレムリン自身も定期的に核攻撃の可能性を提起してきた。
もちろん、究極の兵器がこの紛争で使用されたことはないし、今後も使用されないことを望む。
しかし、ロシアとNATOの緊張が続く限り、核戦争の可能性は残る。
米欧の指導者は、クレムリンのミサイル使用をいかに阻止するかを考えなければならない。
そのためには、ロシアの核兵器を管理するプロトコル(手順)を理解する必要がある。
米国と同様、プーチン大統領もいわゆる「核のブリーフケース」を持ち、側近が常に携行している。
だが、核の発射には他の2人の同意が必要である。
その2人とはセルゲイ・ショイグ国防相と、ヴァレリー・ゲラシモフ軍参謀総長だ。ロシアが核兵器を使うには、プーチン氏のブリーフケースと、2人の軍幹部のブリーフケースの両方から命令が出なければならない。
こうしたチェック・アンド・バランスはソ連から受け継いだものである。
ソ連の指導者たちは、老齢の共産党指導者や認知症患者など一人の人間が、気まぐれに核ハルマゲドンを引き起こすことができないようにしようとした。
同時に、軍部が勝手に攻撃できないようなシステムになっていた。
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解説
プーチンや軍トップの気が狂ったからといって核のボタンが一人で押せるものではないようです。
大統領に加えて、国防相と軍参謀総長が同意しなければならないとのことです。
すこしホッとします。しかしながら小型の戦術核については、ここまで厳格に管理されていないようです。論文は続きます。
ロシアがウクライナで核兵器の使用を検討するとすれば、むしろ戦術核兵器だろう。
これらの核兵器は、空、海、または陸上のプラットフォームに搭載され、弾頭の衝撃は小さく、収量は1キロトンから数百キロトンの幅がある(参考までに、広島に投下された原爆の収量は約15キロトンであった)。
これらは限定して大きな損害を与え、都市の中心部全体を破壊する可能性がある。
これについては大統領と軍のトップ2人のうちの1人が使用を命令すればよい。
しかしロシアの戦術核使用のプロトコル(手順)については利用可能な公開情報が少ない。
解説
小型の戦術核については、プーチン+1名の承認で発射できるとのことです。
3名の同意と2名の同意では違います。2名だと相当に易しい気がします。しかし詳しいことはわかりません。
「最も危険なのは、ウクライナの勝利が目前となり、プーチンが前例のないエスカレーションによってのみ侵略を回避できると考える時であろう」と論文は言っています。
そもそもこういった緊急事態の情報、日本は米国の好意(?)に頼り切りです。これも怖いことです。 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』2月12日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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