MAG2 NEWS MENU

共働きなら退職金が3600万円分も運用可能に。新NISAをお得に賢く使う方法は?

資産形成に役立つ制度として2014年に登場したNISAが来年1月、より使いやすく改正され新たなスタートを切ることとなりました。そんな「新NISA」を徹底解説してくださるのは、ファイナンシャルプランナーで『老後資金は貯めるな!』などの著書でも知られ、NEO企画代表として数々のベストセラーを手掛ける長尾義弘さん。長尾さんは今回、新しいNISAの4つの大きな改正ポイントを紹介するとともに、退職金運用を含めた「シニアだからこそ」の新NISAの賢い使い方をレクチャーしています。

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

2024年から始まる「新NISA」はどんな制度? 改正のポイントと賢い使い方

新しいNISAの改正が「令和5年度税制改正大綱」が2022年12月23日に閣議決定されました。関連法案の可決によって成立される見込みになったのです。

この改正には、かなり驚きました。今回の改正は、いわば「満額回答」という感じで、歓迎したい内容で、とても使いやすい制度になったと言っていいでしょう。私自身も、俄然NISAを使いこなしたい気持ちになっています。

新しく使いやすくなったNISAは、2024年1月から始まります。そこで、「現行NISA」と「新しいNISA」の違いを説明していきます。どんなに使いやすくなったのかわかると思います。

また2023年「現行NISA」はどうすればいいのか? さらにシニア向けに「新しいNISA」のかしこい使い方を解説していきたいと思います。

新しいNISAの大きな改正のポイント

2024年からの新しいNISAには、大きな改正がいくつもあります。その主だったものを紹介していきます。

1.制度が恒久化された

現行の「一般NISA」は2023年まで、「つみたてNISA」は2042年までというように、利用期間が限定されていました。これが恒久制度になりますので、いつでも利用できるということになります。

2.非課税保有期間が無期限に

「一般NISA」の非課税保有期間は5年間と決まっていました。ですので、5年経つと売却をして換金するか、継続したい場合には、ロールオーバーという手続きが必要でした。ところが新しいNISAは、非課税保有期間が無制限になります。これで、ロールオーバーという面倒な手続きも必要ないし、長期の投資も可能になります。

3.年間の投資枠が大幅に拡大

現行では「一般NISA」は年120万円まで、「つみたてNISA」は年40万円まででした。しかも「一般NISA」と「つみたてNISA」は併用できませんでした。新しいNISAでは、「つみたて投資枠」は年120万円まで、「成長投資枠」は年240万円まで可能になります。さらに併用ができるので、「つみたて投資枠」「成長投資枠」の合計360万円まで投資できるように上限が引き上がります。

4.非課税限度保有額が1800万円までに

新しいNISAで、新たに導入されたのが「非課税限度保有額」です。1人当たり1,800万円まで生涯利用できます。ここで大きなメリットは「簿価=所得価格」で総枠が管理されるということです。

これによって、運用の見直しでの売却や一時的な支出のために換金をしたいというときにも、あらためてその枠を使うことができるのです。たとえば、教育費にまとまったお金が必要になり換金をしたいというときなどのライフイベントに対応できるようになったのです。

つまり限度額の1,800万円のうち500万円を換金したとしても、その500万円というのは、あとで復活することができるわけです。とても使いやすい制度になります。

では現行のNISAはどうなるのか?

この新しいNISAは、2024年1月からのスタートになります。

では、現行のNISAはどうなるのかというと、そのまま継続されることになります。現行のNISAは、2024年以降は新しく申込みはできませんし、ロールオーバーをすることもできません。

現行NISAと新しいNISAは別枠なので、2つの口座が存在するということです。現行NISAが終わるまでは、非課税枠で運用されます。ただ、ロールオーバーができないので、2023年に「一般NISA」で投資をした人は、5年間で終わりになります。

現行の「つみたてNISA」も2024年からは新規の買い付けはできません。しかし、20年間は非課税のまま運用ができます。「一般NISA」よりも長く運用できるので2023年にNISAを利用するとしたら「つみたてNISA」の方がいいでしょう。

シニアにとって「新しいNISA」のかしこい使い方とは

とっても使いやすくなった「新しいNISA」は、さまざまな使い方ができるようになりました。

非課税投資ができるiDeCoへの加入が難しいシニアにとって、この「新しいNISA」が非課税商品として、とても役立つものになるでしょう。

「新しいNISA」のかしこい使い方をいくつか説明をしてみます。

まずは、まとまったお金が入ってくる「退職金」です。「退職金」は、必ずしも運用して増やす必要はありませんが、すぐ使わないのであれば、かしこく運用をしたいですね。

「新しいNISA」は、限度枠が1,800万円なので、退職金をまるまるNISAで運用することが可能になります(夫婦の2人分の限度枠では3,600万円になります)。

年間の枠は360万円なので、5年間にわけて投資をすれば限度枠の1,800万円に達します。そうすると、あとは何もしなくても非課税で運用できるということになります。そして、必要になったら換金すればいいのです。

また、成長投資枠を使って、高配当株を中心の投資をする方法もあります。そうすると非課税の配当を受け取ることができるので、それを生活資金の足しにすることができます。そのことにより投資した元本をあまり換金しなくてもよくなるのです。

また、預金の代わりにNISAを利用するという考えもできます。できるだけリスクの少ない商品で運用すると、預金よりも増えます。もし、要介護になって、まとまったお金が必要になったときには、このNISAを換金して介護費用にまわすこともできます。さらに有料老人ホームなどの入居金に使うための資金として、この新しいNISAを利用するという方法もあるでしょう。

限度額が広がり恒久的で、しかも限度枠が簿価の計算ということで、運用ではさまざまな運用方法が可能になりました。この期にご自分にあった使い方を考えてみてはいかがでしょうか?

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

image by: Shutterstock.com

長尾 義弘

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け