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ジャニーズと大物作家は完全スルー。日本の大手メディアは“カス”ばかりである

先日、故ジャニー喜多川氏による性虐待疑惑を報じたドキュメンタリーが放送され、SNSで様々な反応がありました。数多のスターを誕生させたジャニー氏の裏の顔は、世間の関心も高いニュースです。にもかかわらず、日本のメディアのほとんどがこの話題をスルーしています。 今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、なぜジャニーズのスキャンダルは“タブー”なのかを解説。大物に屈するメディアの姿勢を痛烈批判します。

イギリスBBCがジャニー喜多川氏のドキュメンタリーを放送 ジャニー喜多川氏とは何者なのか なぜジャニーズのスキャンダルは“タブー”なのか

英公共放送BBCが、ジャニーズ事務所の創業者であるジャニー喜多川氏の性的搾取についてのドキュメンタリーを報道。タイトルは「Predator: The Secret Scandal of J-Pop」。

日本語で「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」の題で、3月7日に「BBC Two」でイギリスにおいて放送、日本では、3月18日と3月19日に「BBCワールドニュース」で放送された。

BBC NEWS JAPANの公式ページには、

<ジャニー喜多川氏は日本のポップカルチャー、日本のアイドル文化を作り上げた立役者だった。喜多川氏が創設した男性のみのタレント事務所「ジャニーズ事務所」は、人気男性アイドルグループを次々と世に送り出した。

「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」としてギネス世界記録にも認定された。(*1)>

「一方で、喜多川氏には性的搾取の疑惑が、常につきまとっていた。しかも、密室でささやかれただけではない。全国的な報道機関が取り上げ、その一部は民事裁判で認定された。それでも、喜多川氏は晩年まで国の宝とされた。2019年に87歳で亡くなった後も、今なお崇拝されている。」(*2)

と記載。

ジャニー喜多川氏の疑惑については、週刊文春が報道後、週刊文春をはじめ文藝春秋のあらゆる編集部を、自社タレントの取材から締め出す。

そして週刊文春の連載の翌年、喜多川氏とジャニーズ事務所は文春を名誉毀損で訴えた。

目次

・ジャニー喜多川氏とは何者なのか 「CIAスパイ説」も
・なぜジャニーズのスキャンダルは“タブー”なのか
・一方の週刊誌は「作家タブー」 虚構の”文春砲” 日本に「言論の自由」はない!

ジャニー喜多川氏とは何者なのか 「CIAスパイ説」も

渦中の人物、ジャニー喜多川氏とは何者なのか。

2019年に死去時、朝日新聞は、

「1931年、米ロサンゼルスで生まれた。10代で、公演で現地を訪れた美空ひばりらの通訳をし、ショービジネスの基礎を学んだ。その後、日本で、コーチをしていた少年野球チーム『ジャニーズ』からメンバーをスカウトし、62年、同名グループのマネジメントのためジャニーズ事務所を設立した」(7月10日付)

と一面で取り上げている。一方、同日の第二社会面では、

「1999年には所属タレントへのセクハラを『週刊文春』で報じられた。文春側を名誉毀損(きそん)で訴えた裁判では、損害賠償として計120万円の支払いを命じる判決が確定したが、セクハラについての記事の重要部分は真実と認定された」

と記す。

ジャニー喜多川氏には、「CIAスパイ説」というものが付きまとう。小菅宏は、週刊文春にて、

「不躾とは思いつつ、ジャニー氏に『CIAのスパイだったの?』と尋ねたことがある。本人は『米国の情報機関で働いたことはあるけど、それ以上はノーコメント』と打ち切った。ことアイドル像については多弁な彼も、自身の過去には口を閉ざしていた」(*3)

と書いた。

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なぜジャニーズのスキャンダルは“タブー”なのか

そもそも、なぜ日本においてジャニーズのスキャンダルは”タブー”なのか。

BBCのドキュメンタリー番組に協力した元木昌彦氏は、

「私が『週刊現代』時代にジャニー喜多川氏の性癖について初めて取り上げた1981年4月30日号の、「『たのきんトリオ』で大当たり 喜多川姉弟の異能」という記事。そのためにジャニーズ事務所から「講談社の雑誌にはうちのタレントを出さない」と通告され、会社側は事務所側に屈服して、私は『婦人倶楽部』編集部に突然異動させられてしまった。」

「私は、日本の総合出版社というのは、ジャーナリズムを扱う雑誌はほとんどなくて、少年少女向けの雑誌やマンガ、女性誌がドル箱のため、どうしても時代の人気アイドルを使わざるを得ない“弱味”がある。そこを突かれたため和解せざるをえなかったのだと説明した」

「日本の大新聞は傘下にテレビ局を持っている。そのため、ジャニーズ事務所の機嫌を損なうと、事務所のタレントたちが自局の番組に出てくれなくなると考えたのであろう。この問題に真剣に取り組んだ新聞、テレビは一つもなかった。」(*4)

とする。

一方の週刊誌は「作家タブー」 虚構の”文春砲” 日本に「言論の自由」はない! 

一連のジャニーズ・スキャンダルには週刊文春が大きな役割を果たした。

ジャニーズのスキャンダルだけでなく、近年は「文春砲」として名を馳せる週刊文春であるが、しかしその文春にも“タブー”はある。「お抱え作家や評論家のスキャンダルは報じない」という「作家タブー」だ。

最近では、三浦瑠麗氏のスキャンダルについては、文春は“スルー”する。瑠麗氏は、「文藝春秋 電子版」だけでなく、「文藝春秋」2023年2月特別号でも成田悠輔や東浩紀らと日本の国防をめぐる鼎談に参加している。

「週刊文春」だけでなく、「週刊新潮」も同様。百田尚樹の『殉愛』騒動がそう。故・やしきたかじんの妻をテーマにした同書をめぐっては、周知のように、妻の結婚歴などさまざまな嘘が発覚。

たかじんの長女からも名誉毀損で出版差し止め訴訟を起こされるなど大きな問題となった。ところが「週刊新潮」は、百田氏に妻のインタビューをねじ込まれ、それを掲載する。

あるいは、2006年に東京都知事だった石原慎太郎に四男の“縁故重用”疑惑が浮上した。

そもそも、石原慎太郎が“あんなに”暴言を連発してきたのにその座にとどまることができたのは、週刊誌の“作家タブー”があったからといってよい。

残念ながら、日本のメディアは“どいつもこいつも”カスばかり。日本に言論の自由など存在しないのだ。

■引用・参考文献

(*1)モビーン・アザー「加害が明るみに……それでも崇拝され 日本ポップス界の『捕食者』 https://news.yahoo.co.jp/articles/06e55fdad47462f90df3d4f0db48508d7746ce0a」BBC NEWS JAPAN 2023年3月7日

(*2)モビーン・アザー 2023年3月7日

(*3)元木昌彦「ジャニーズの暗部に触れないメディアの罪 https://president.jp/articles/-/29399」PRESIDENT Online 2019年7月23日

(*4) 元木昌彦「なぜジャニー喜多川氏の性加害を日本メディアは黙殺するのか…英BBCからの取材に私が話したこと https://president.jp/articles/-/67557」PRESIDENT Online 2023年3月17日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2023年3月25日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

 

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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