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台湾ラーメンも尾道ラーメンも。日本の「麺類文化」を支えた台湾人の功績

名古屋グルメとして広く知られ、今や全国区の人気を誇る台湾ラーメン。そんな「台湾にない台湾ラーメン」はどのようにして生まれ、そしてどのように広まっていったのかご存知でしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、名古屋在住の在日台湾人・郭明優氏が台湾ラーメンを考案するに至ったきっかけを紹介。さらに尾道ラーメンの誕生にも台湾人が深く関わっているというエピソードを取り上げつつ、安藤百福氏は言うに及ばず、日本のラーメン文化には台湾の人々が大きく関わっているという事実を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年4月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

日本のラーメン文化を支えた台湾人が逝去。台湾ラーメン生みの親「味仙」創業者・郭明優さんの功績

「台湾ラーメン」生みの親 「味仙」創業者の郭明優さんが82歳で死去

ニラや豚の挽肉などを唐辛子の味付けをして炒め、醤油ベースのラーメンに加える「台湾ラーメン」。名古屋名物であり、また、台湾料理店でもよく見かける料理ですが、じつはこの台湾ラーメンは、「台湾にない台湾ラーメン」と言われており、台湾にはありません。

この台湾ラーメンを考案したのは、名古屋「味仙今池本店」の創業者で、在日台湾人の郭明優氏でした。3月29日、この郭明優氏が82歳で亡くなり、日本の多くのテレビや新聞が報じました。

郭氏の父親は台中の大甲出身で、幼い頃に日本へ渡ったそうです。郭明優氏は日本で生まれ、父親が開いた中華料理店を継ぎました。

そして1970年代、20代の頃、旅行で台湾で担仔麺を食べ、とても美味しかったことが「台湾ラーメン」の誕生につながりました。

担仔麺は台南の名物料理です。郭明優氏は台北龍山寺の『台南担仔麺』という店で食べたようですが、ジャーナリストの野嶋剛氏による郭明優氏のインタビューによれば、これを覚えて日本で作ろうと思ったそうです。台湾ラーメンが担仔麺と違うところは、唐辛子とニラが入っているかどうかだといいます。

名古屋・味仙創業者が明かす「台湾にない台湾ラーメン」の誕生秘話

台湾ラーメンの人気が出ると、多くの料理人が味仙を訪れて、他の中華料理店でも台湾ラーメンを出すようになりました。郭明優氏に対して、商標を取ったほうがいいと勧める人もいましたが、郭氏が自由させたことで、台湾ラーメンは名古屋、そして日本各地に広がっていったのでした。

戦後の日本で活躍した台湾人としては、日清食品創業者の安藤百福がいますが、彼もまた、世界初のインスタントラーメンの製法特許を開放して、良質なインスタントラーメンの普及に務めました。安藤には「野中の一本杉であるよりも、森として発展した方がよい」という信念がありました。郭明優氏にも、それに通じるものがあります。

ちなみに日清食品からは台湾ラーメンのカップヌードルが販売されていますが、郭明優氏も開発に協力したそうです。

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台湾人の誇りと日本への愛が生み出した台湾ラーメン

郭明優氏の死去は、台湾でも報じられ、話題となっています。

創造「台灣沒有的台灣拉麺」! 日本台裔料理人郭明優逝世

「自由時報」に掲載された産経新聞の矢板明夫氏の話によると、郭明優氏が台湾ラーメンを開発したのは、1つには台湾を懐かしむため、もう1つはブランド力を高めるためだったそうですが、50年以上前の時代には台湾と日本の交流があまりなく、「天津飯」や「広東麺」など、日本では外国の地名を冠した料理の例が他にもたくさんあることから、日本の消費者の多くは台湾ラーメンを台湾人がよく食べる料理だと思ってしまったと分析しています。

矢板明夫氏によれば、当初、台湾ラーメンは名古屋でしか食べられなかったものの、1980年代後半に突然、「辛いものを食べると痩せる」と唐辛子を食べることが日本中で流行したため、辛くておいしい台湾ラーメンが全国に広まり、インスタントラーメンにもなったとのことです。

また、面白いことに、台湾ラーメンが台湾に輸入された際には、名前は「名古屋ラーメン」に変更されたとのこと。

野嶋氏によれば、「全国的に有名になった『背脂』で知られる尾道ラーメンも、朱阿俊という台湾人が広島県尾道市の『朱家園』で戦後まもなく売り出した『中華そば』が始まりだった」そうです。

日本が誇るラーメン文化には、台湾人も大きく関わっているのです。

野嶋氏のインタビューで、郭明優氏は台湾で暮らしたことはないものの、自身のアイデンティティを「台湾人」と明確に定義しています。そして、「台湾は清朝の時代から中国に世話になったことはない。日本の50年間があったから台湾はここまで発展できたし、日本人と台湾人はいちばん性格が合うと私は思っています」と述べています。

台湾人としての誇りと、日本への愛が、台湾ラーメンを生み出したともいえるでしょう。担仔麺をベースに生まれた台湾ラーメンが日本人に受け入れられ、大人気となったのも、必然だったのです。

矢板明夫は郭明玉に敬意を表し、「郭さんは日本と台湾の両方の特徴を組み合わせて新しい料理を発明し、台湾と日本の文化交流を促進しました。郭さん、万歳!」と自身のSNSに書いています。

私も日本と台湾のために尽くした偉大な同胞に、敬意と哀悼の意を捧げたいと思います。

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