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楽天グループの入社式での三木谷浩史会長の挨拶が物足りない理由

多くの企業が新卒社員を迎える4月。入社式では企業のトップが自社のビジョンを語るのが日本企業の“お決まり”です。それは社内公用語を英語にしているグローバル企業の楽天グループも変わらないようで、三木谷浩史会長兼社長がグループの歩みと将来を語りました。しかし、この挨拶に物足りなさを感じたのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、三木谷氏が語るべきことがもっとあったはずと、忌憚なく意見しています。

楽天グループ・三木谷浩史会長兼社長「新技術でコネクティビティの変革を目指す」入社式挨拶にツッコミ

楽天グループへようこそ。今日は、皆さんにとってビジネスライフの最初の日という記念すべき重要な日です。私からは、なぜ楽天を創業したのかと、今後向かっていくべき未来についてお話したいと思います。

 

私は、大学を卒業した後、日本興業銀行に就職しました。その頃、日本の経済は世界でNo.1と言われ、日本興業銀行も時価総額が世界で最も高い会社でした。日本経済は製造業を中心に、とても勤勉な文化などの背景により急成長を迎えていました。

 

当時、私はスタートアップに入ることは考えておらず、大企業に入り日本の経済をリードする一員となっていくことを目指していました。ところが、アメリカのビジネススクールから帰ってきた頃には、これからはインターネットが世界のすべてを変え、大きな変革を起こすだろうということを確信し、起業を目指すようになりました。

 

インターネットが情報の在り方の本質を変え、重厚長大な産業中心から、サービスやソフトウェアベースの産業へと変わっていくだろうと考えたのです。当時のインターネットのスピードは14.4Kbpsでした。今となっては1Gbpsとなっていますが、それでも私たちはまだ、ビッグバンとも呼べる大変革のほんの始まりにいます。インターネットはすべてのものにつながるようになり、AIはすべてを変えていくでしょう。

 

ここにきている皆さんは楽天ができてから生まれており、楽天はITで成功した大企業と思っているかもしれませんが、楽天は今もまだトランスフォーメーションを続けている最中にいるスタートアップです。

 

皆さんが楽天に入ってきた理由は何でしょう?それはほかの日本伝統的な企業と楽天は違うと感じたから入社したのではないでしょうか。一緒に新しい未来をつくりましょう。10年先や20年先の世界は今とは全く違う世界になっているでしょう。そのために私たちは常に進化し続け、イノベーションを生み出し続けなければなりません。

 

楽天が挑戦し続けてきた、そのひとつの例として「楽天モバイル」があります。私たちが実現しようとしているのはワイヤレスネットワークの再定義です。低廉な料金でモバイルサービスを届けていくために、アントレプレナーシップ(実業家精神)のもと、完全仮想化という新しいテクノロジーを駆使してコネクティビティの変革を目指しています。

 

すべての情報に世界中の人がアクセスできる今、ワイヤレスのコネクティビティはとても重要です。ハードウェアという大きな障壁があり、この業界は大手に独占されてきましたが、楽天はアグレッシブなアイデアでこれを変革し、ワイヤレスネットワークを開放してきました。大きなチャレンジを乗り越え、その技術は世界から注目されていますが、これはまだ始まりに過ぎません。

 

なぜ楽天はいつも大きなリスクを負ったチャレンジをするのでしょうか。それはテクノロジーやイノベーションを通して、社会をよりよくしたいという思いを大切にしているからです。

 

皆さんはこれから様々な課題に直面することもあるでしょう。ただ、そのチャレンジは、新しい世界を切り拓いていくための機会ともなるものです。皆さんは、会社に入ったのではなく、楽天という社会をエンパワーメントするための新たな挑戦をするプロジェクトに参加したのです。

 

楽天は、とてもダイバーシティ(多様性)のある組織であり、何が何でもやり遂げるというタフさを兼ね備えた、日本発のグローバルカンパニーです。皆さんは楽天で新社会人として、様々なものを学んで強くなっていくことでしょう。それは楽天にとっても大きな強みとなります。才能あふれる情熱的な方々がたくさん楽天に入社してくれたことをとても嬉しく思います。一緒に様々なチャレンジをして社会を変えていきましょう。

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楽天グループ・三木谷浩史会長兼社長挨拶を読んで

「完全仮想化という新しいテクノロジーを駆使してコネクティビティの変革を目指しています」と語られているが、もう少し、具体的な「変革」について知りたいところ。確かに通信料金は安価に提供できるのかも知れないが、それ以外に「ユーザーにどんなメリットがあるのか」を打ち出して欲しい。

完全仮想化ネットワークは確かに楽天モバイルが参入したときは「新しいテクノロジー」だったかも知れないが、年数を重ねるにつれ「一般的なテクノロジー」になろうとしている。ここでさらなる革新的なテクノロジーを造っていかないと他社に追いつかれるのは時間の問題だろう。

三木谷会長もかつて「全国4000局にMECを置く」と語っていたので、そろそろ、そのMECでどんなことができるのか、このテクノロジーとイノベーションで社会がどのようによくなっていくのかをアピールしてもいい時期のような気がしている。

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image by: Guillaume PaumierCC BY 3.0, via Wikimedia Commons

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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