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日本に潜む習近平の手先。いつか必ず牙をむく「中国秘密警察」が監視する“対象”

アメリカ国内で「中国の秘密警察」を運営していたとして、FBIが2人の中国人を逮捕したニュースが日本でも大きく報じられましたが、我が国にも同様の「機関」が置かれていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、習近平政権が世界各国に設置する中国秘密警察の実態と彼らの役割を紹介。その上で、日本人が肝に銘じておくべきこと、さらに日本が国として今すぐ取り組むべきことの2点を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年4月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

米国で2人を逮捕。日本にも潜む中国秘密警察が牙をむくとき

米ニューヨークで中国「秘密の警察出先機関」運営の疑い FBIが2人逮捕

昨年末から、中国が各国に「秘密警察」を設置していることが話題になっていますが、ついにニューヨークで秘密警察の出先機関を運営していた疑いで、盧建旺容疑者(61)と陳金平容疑者(59)という2人の中国人が逮捕されました。

検察当局によると、盧容疑者は中国の警察当局の手先として、2015年から中国反体制派への嫌がらせなどの「抑圧活動」に協力してきたそうです。2018年には、中国からの逃亡者とされる人物やその家族に嫌がらせや脅迫を繰り返すなどし、帰国を後押ししたとされています。加えて、中国の民主化運動家の居場所の特定にも協力したといいます。

このような中国の秘密警察の出先機関は、イギリスやカナダ、オランダなど世界53カ国に100以上あると見られています。言うまでもありませんが、他国で自国の警察権を行使することは、重大な主権侵害です。

これに対してアメリカとカナダの中国大使館は、新型コロナのパンデミック中に、在外中国人への運転免許の更新などを支援していた「海外サービスステーション」だと説明しているようですが、中国共産党が人民のためにそのようなサービスを本当にするとは考えにくいでしょう。

この秘密警察は、日本でも2カ所存在するとされています。1カ所は福建省福州市公安局が東京都内に設置、もうひとつは所在地不明ですが、江蘇省南通市公安局が設置しているというものです。これのことは、2022年末にスペインの人権監視団体が公表した報告書で発覚しました。

中国警察、日本に「拠点」開設か 主権侵害の恐れ―外務省

報道では中国の反体制派への嫌がらせや脅迫活動を行っているとしていますが、問題はそれだけではありません。さらに怖いのは、中国には国防動員法や国家情報法といった、有事に海外にいる中国人民を工作員として活動させる法律があり、この秘密警察がその監視役を務める可能性があることです。

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在外中国人すべてがスパイや工作員になる可能性も

2010年に施行された国防動員法では、有事の際に民間人や施設などを軍事動員できることを定めた法律です。また2017年に施行された国家情報法は、個人や組織に対して国家の情報活動に協力することを義務付けたものです。これらの法律は在外中国人にも適用されます。

日本人は中国人を動員する2法の怖さを知らない

つまり秘密警察は、中国政府が在外中国人に対して他国での破壊活動や諜報活動を行うよう指示が出た際に、その指示を在外中国人が実行するかどうかを監視する役割もあるわけです。

なお、国家情報法については平時における情報活動への協力を義務付けているため、すでにさまざまなスパイ活動を在外中国人に指示し、その履行を監視しているとみていいでしょう。

その他、中国の反体制グループとつながりのある外国人や、中国に対して批判的な言動をしている外国人のチェックも当然行っているでしょう。そのような外国人が中国を訪れれば、スパイとして逮捕される可能性もあります。

このような秘密警察を中国が世界各地に置くのは、中国政府にとって中国人民がいちばん信用できないからです。孫文はかつて中国人民を「バラバラの砂」と表現しましたが、自己中心の国民性ですから、中国人が自国のために働くという意識はほとんどないのです。

もともと中国の監視社会というのは、伝説の黄帝時代から始まったとされています。実際に制度化されたのは、明の太祖(朱元璋)の近衛軍の秘密警察「禁(錦)衣衛」からとされ、三代目の世祖・永楽帝の宮中で活躍したことがよく知られています。

はじめは、特務である東廠の組織だけでしたが、後に人間不信が高じるにつれて相互監視のシステムを強化、西廠、内行省が創設されて全国の隅々まで全国民が監視されました。17世紀の清朝になってからも、スパイ制度は継承され、中国人はすべて「家奴」(家内奴隷)にされてしまいました。

20世紀に入ってから、中華民国も人民共和国も特務がないと安定できない社会になっています。全国をくまなく監視する体制としては、国民党統治下の「民衆服務処」、中国大陸では「街頭委員会」が有名です。

台湾では国民党一党独裁が終焉し、民主主義国家へと変貌しましたが、中国大陸では、企業内に党の細胞組織の設置を義務化し、さらにAIによる全国民監視を強めているわけですが、その監視体制を海外にいる中国人にまで広げているというのが、この秘密警察の実態なのです。

中国の戦争では、まずは権力者にとってライバルの軍隊を最前線に出して突撃させます。政敵の軍隊を敵に殺してもらうことで、国内での権力を確立することができるからです。朝鮮戦争では、毛沢東は国共内戦で降伏した国民党軍の兵士を最前線に投入しましたし、中越戦争では鄧小平の政敵の軍隊を最前線に立たせました。

とはいえ、そのような軍隊や兵士は敵前逃亡や降伏する可能性も高いでしょう。そのため、軍隊の後ろに、自軍を監視する督戦隊を置いていました。もしも逃亡したり降伏しようとする兵隊がいれば、容赦なく撃ち殺すのです。

中国の在外秘密警察も、この督戦隊のような役割を担っていると考えられます。人民に他国への工作活動を強いて、背かないように目を光らせているというわけです。したがって、在外中国人すべてがスパイや工作員になる可能性があるということを、日本人は肝に銘じておくべきなのです。

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工作活動などやり放題のスパイ防止法もない日本

アメリカで中国の秘密警察に関与する2人が逮捕されたことを受けて、松野博一官房長官は、日本政府が中国に対して「日本国内でも主権を侵害する行為が行われているのであれば、断じて認められない」と外交ルートを通じて中国側に申し入れたと述べました。

中国の秘密警察署、日本で活動なら断じて認められない=官房長官

ただ残念ながら、申し入れたところで中国は馬耳東風、まったく意に介さないことは言うまでもありません。そもそもスパイ防止法もない日本では、工作活動はやり放題です。このような申し入れは、国内世論やアメリカを意識しただけの、単なる「アリバイ作り」にすぎないのです。

メディアでは、他国に対する中国のこうした工作活動については報じるものの、日本国内での疑惑はほとんど取り上げません。日本にどのような危機があるかということを報じないのです。なので、国民はあくまで「他国で起きていること」くらいの認識・危機感しかありません。

このメルマガでも繰り返し主張していますが、日本はあまりにも情報漏洩や世論工作といった諜報活動に対して無策・無頓着すぎます。一刻も早く、スパイ防止法を制定することが必要なのです。

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