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北の報復を回避?米が日韓への「核シェアリング」を議論し始めたワケ

昨年2月に報道番組内で安倍元首相が言及したことでにわかに注目されるものの、現在国内では熱心に報じられることのない核シェアリング。しかし今、アメリカでは盛んに議論が交わされているといいます。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、米国で日韓への核シェアリングが話題となっている「身も蓋もない理由」を解説。その上で、日本人に対して国際関係の現実を理解する必要性を訴えています。

米国が韓国or日本に核発射ボタンの権限まで渡す「核シェアリング」はなぜ話題なのか?

些細な問題について大きく報道して、本当に重要である問題に対しては全く報道されない、という事はしばしばあります。

現在であれば核シェアリングがそうです。

米国が韓国(または日本)に核の発射ボタンの権限までを渡す「核シェアリング」は現実の可能性としてあります。

なぜ今、核シェアリングが話題となっているのでしょうか?

それは北朝鮮のミサイルが米国本土まで届くと考えられるようになったからです。

かつては北朝鮮が韓国や日本を攻撃した場合、アメリカが報復してくれるという安心感がありました。

しかしながら、今はどうでしょう?

アメリカが韓国や日本に代わって北朝鮮に報復をした場合、北朝鮮は再報復として米国の本土に大陸弾道弾を打ちこむ能力があるのです。

米国が北朝鮮を攻撃することは、自国の数千万人が死ぬリスクを取る事と同じになったのです。

だからこそ、今、米国で核シェアリングが議論されているのです。

身もふたもない言い方をします。

「韓国や日本に核のボタンを渡して、いざ北朝鮮と事があれば、韓国か日本に核を打たせればよいではないか。それなら米国が報復されることもない」という考え方です。

当メルマガの2月5日号でとりあげたように韓国のユン大統領は1月に核武装の可能性について発言しています。

【関連】日本メディアは黙殺。韓国大統領の「核武装論」を伝えた米国有力紙

韓国は、こういった米国の考えと状況を理解しているのです。しかし日本は全く理解していないように見えます。

なんとなく「同盟があるから米国が守ってくれるだろう」ではダメで、その担保を持つことが必要なのですが、そんな議論はまったくありません。

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ちなみに、ソ連が米国に届く大陸弾道弾を開発したときにNATOの国々は同じ疑問を持ちました。

米国は自国がソ連の核弾頭の標的にされるリスクをとっても欧州を守ってくれるのかという不安です。

米国はそんな不安をもつNATO諸国をなだめるべく戦術核を欧州に配備して核シェアリングをしました。

しかし、それでも米国の約束を信用せずに、自国で核を持つことを決断した国が二つあります。

英国とフランスです。

歴史的に強固な同盟関係をもつ英国もこの問題については米国を信用しなかったのです。

それが国際関係の現実です。日本人はその考え方を理解する必要があります。

さらなる興味がある方は米国の外交専門誌フォーリンアフェアーズの4月19日付の論文をお読みください。韓国の核武装について論じています。

South Korea’s Nuclear Options, As Pyongyang’s Capabilities Advance, Seoul Needs More Than Reassurance From Washington By Jennifer Lind and Daryl G. Press April 19, 2023

 (この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』4月23日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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