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最速30秒で口座開設。「アップル銀行」預金額、4日で1360億円はナゼ実現できたのか?

米アップルがアップルカードのユーザー向けに預金口座を提供するサービスを開始。俗に「アップル銀行」と言われるこのサービスには、たった4日間で日本円にして約1360億円もの預け入れがあったと話題になっています。顧客の心を捉えたのは、普通預金にも関わらず年4.15%もの金利がつくことに加え、マーケティング視点で納得の理由があるようです。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、著者の理央さんが、銀行口座開設に絡む煩雑な手続きを不要にしたアップルの秀逸なUX(顧客体験)戦略を解説しています。

なぜUX=顧客体験が重要なのか?アップルの預金口座に学ぶ顧客価値の向上

アップルの預金口座開設が、多くのメディアで取り上げられていましたね。中でも、最初の4日間で9億9000万ドル(約1360億円)の預け入れがあった、初日だけで4億ドル(いずれもFobes Japan)という桁外れの金額の大きさが話題でした。

この背景にある理由として、アップル口座に預けた時の、「年利」の影響も大きいという、財務的な分析も多く見られました。アメリカでの銀行口座の平均的な利回りは、0.5%かそれ以下、ということもあり、アップルの口座の年利4.15%という、大きなリターンは魅力的だ、という論調です。

マーケティングの観点からみてみると、この人気の最大の要因は、総合的な「UX=顧客体験」にあります。具体的には、

  1. サイトでの申し込み方法がシンプル
  2. 申し込みから開設までの時間が短い
  3. iPhoneでできる

1について、iPhoneマニア(2023年4月18日)に、以下のように説明されていました。

「ウォレット」アプリのApple Cardから、あっという間に開くことができました。

 

Apple Cardで決済することで受け取れるキャッシュバック「Daily Cash」の「Daily Cashエレクション」の項目に新たに登場した「Savings」をタップ、自分の情報を確認(社会保障番号を入力)、利用規約に合意すれば完了です。

この記事にはiPhoneのスクショの画像とともに、解説されていましたが、このプロセスであれば、数分で申し込みができそうです。

2に関しては、日本経済新聞電子版、(2023年5月2日)の記事に、興味深い解説がされていました。以下引用記事です。

アップルは19年に米国でゴールドマン・サックスと組んで「アップルカード(Apple Card)」というクレジットカードの提供を開始しました。Apple CardはiPhoneから申し込むことができ、利用場所や支払い方法によっては1~3%のキャッシュバックが受けられる仕組みです。

 

また、Apple Cardは通常のクレジットカードのようにカード本体に番号が書かれていないため、セキュリティー面でも軍配が上がっています。

 

アップルが新たに今回始めた預金サービスは、このApple Cardを持っている人であれば、最速わずか30秒ほどでスピーディーに口座を開設できてしまいます。名前の入力すら不要です。

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リアルでの一般的な預金口座開設だと、必要な書類を提出したり、審査が入ったりと、煩雑な手続きが必要だ、というイメージがありました。ネット銀行でも、本人確認書類が必要な場合があります。

顧客の立場で比較してみると、「簡単そうだな」というイメージになるでしょう。

そして3が大事なのですが、これら全てのステップを、パソコンに向かうことなく、iPhone上でできる、という点です。なのでPCと行ったり来たりしなくても済むのです。

このように先ほど“総合的な”、と書いたのは、顧客が興味を持ってから、実際に開設に至るまでの、全てのプロセスで、「利便性」が最適化されているのです。

どうしてもUX・顧客体験の最大化、と聞くと、「サイト上でスムースに申し込めるようにする」と、サイトのことだけを考えがちです。もちろんそれも大事ですが、顧客はその前後にもさまざまなことを考え、いろいろなものと比較して、最後に購入や契約の意思決定をします。

その意味でも、UXは単なる、手法論ではなく、事業戦略の1つですよね。この1から3までを1つの戦略の中で、実施することによって──
(本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2023年5月9日号からの一部抜粋です。続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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image by:Art Silpakorn/Shutterstock.com

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