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Doctor checking blood sugar level with glucometer. Treatment of diabetes concept.

糖質制限の専門家が警鐘。糖尿病患者はなぜ「感染症」に感染しやすいのか

「糖尿病患者は様々な感染症に感染しやすくなる」ことはよく聞きますが、それはなぜなのでしょう?また、合併症を予防するためには何をすればいいのか?メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』の著者で糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師が解説します。

糖尿人が「感染症」に感染しやすい理由

一般によく知られていることですが、糖尿人は、肺炎、尿路感染、胆道感染、皮膚・軟部組織感染、外耳道炎、真菌感染、結核、歯周症など、様々な感染症を併発しやすいです。

それでは、糖尿人は何故、感染しやすいのでしょう?

糖尿病専門医研修ガイドブック(改定第7版)の、第11章合併症、332ページに.感染症の項目があります。

以下、引用です。

糖尿病患者においては、免疫低下がみられるが、自然免疫および獲得免疫ともに機能が低下する。

好中球、単球、リンパ球の付着能、遊走能、細胞内殺菌能の低下がみられ、細胞性免疫は低下する。

一方液性免疫についてはおおむね正常であり、免疫グロブリン量は通常、正常を示す。

また糖尿病の合併症である血管障害や神経障害も易感染性の要因となる・・・・

糖尿病患者における感染症の予防や予後のために、良好な血糖コントロールによる免疫機能の改善が重要である。

高血糖そのもので好中球の貪食機能低下や免疫反応の低下が生じます。

また高血糖で血流が悪くなると酸素や栄養が充分に行きわたらず、白血球も感染部位などに到達しにくくなります。

糖尿病神経障害があると内臓の活動が乱れやすくなり膀胱炎や胆のう炎などになりやすいです。

さらに感染症に罹患すると血糖値は普段よりも高くなり悪循環が生じます。

正常人で、血流がスムースに循環していれば、細菌がいても、そもそも感染は成立しません。

例えば、大腸ガンの手術で、癌を切り取って、端々吻合して縫い合わせ、腹壁を閉じます。

その後、皮膚は消毒しますが、糞便(細菌の塊)が通過していく大腸粘膜は、消毒しなくても感染しません。

また切れ痔も感染しませんが、痔瘻は袋状で血流が循環しないので感染します。

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しかし、糖尿人では、

1) 好中球、単球、リンパ球の付着能、遊走能、細胞内殺菌能の低下がみられ、細胞性免疫は低下しています。

これがあると、少々血流があっても感染する可能性があります。

さらに

2) 血行障害

3) 神経障害

が加わりますから、コントロール不良の糖尿人は大変ですね。

糖質制限食で血糖コントロール良好に保てば、1)はOKです。

2)3)は、糖尿病合併症ですが、これらが出現する前に、糖尿人の目標を達成して、予防したいですね。

◆糖尿病合併症予防のための目標

日本糖尿病学会の熊本宣言2013では

[1] HbA1c7.0未満

[2] 空腹時血糖値130mg/dl未満

[3] 食後2時間血糖値180mg/dl未満

ですが、我々糖質セイゲニストの糖尿人は

(1) 空腹時血糖値110mg/dl未満

(2) 食後1時間・2時間血糖値160mg/dl未満

(3) HbA1c 6.2%未満

を目指したいですね。

食後1時間・2時間血糖値160mg/dl未満は、合併症予防のための国際糖尿病連合の目標です。

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image by: Shutterstock.com

江部康二この著者の記事一覧

(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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【著者】 江部康二 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 火・金曜日

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