事業や生活に行き詰まったとき、「自己破産」という選択肢は多くの場合、最も現実的で合理的な解決策として提示されます。しかし、メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者である吉田さんは、自己破産をあまり勧めないといいます。その理由とは?
なぜ私は自己破産を(あまり)勧めないのか?
事業再生コンサルを自称して23年も経ってしまいましたが、相変わらず、どんなにたくさん相談件数をこなしても、いまだに破産をお勧めすることが少ないです。
破産、とりわけ個人の自己破産は、まぎれもなく救済制度であり、最も確実に借金をなくすことができる、経済合理性の高い解決手段です。
そんなことは百も承知です。
しかし、23年経った現在も、活動初期の頃の気持ちを変えることができないのです。
なぜか?
自己破産のメリットをおさらいしつつ、私の「破産をあまり勧めない理由」をまとめてみました。
【自己破産のメリット おさらい (ChatGPT使用)】
1.借金が原則すべて免除され、返済の重圧から解放される
2.取り立て、督促、差し押さえが即座に止まり、精神的に楽になる
3.事業や生活を「ゼロからやり直す」法的に認められた制度
4.給与、年金、生活費など、最低限の生活は法律で守られる
5.返済不能状態を無理に引き延ばすより、総合的損失が小さい
6.手続き後は新たな借金を背負わず再スタートしやすい
7.家族の生活や将来への悪影響を最小限に抑えられる
8.逃げではなく、「法的に整理する正当な選択肢」である
なるほど、まったくそのとおりですね。
私もこれに反論する気はありません。
ですが、上記1~8のようなメリットを放棄してでも、「あえて破産しない」という選択肢があったっていいじゃないか、と、私は思うのです。
たとえば、上記1~8に照らし合わせて言えば、
1.借金がすべて免除されなくてもいい
2.取り立てや差し押さえが来たってかまわない
3.ゼロからやり直さなくていい。軌道修正さえできればいい
4.最低限の生活を法律で守られなくてもいい
5.傷口が広がらないよう、自分でなんとかする
6.古い借金を引きずったままでもいい
7.家族にはそんなオヤジの背中をあえて見せる
8.法的整理にこだわらなくても、どんな道を選んでも、日本は法治国家なのだから、野垂れ死にしたり殺されたりするようなことはない
といったところでしょうか。
この記事の著者・吉田猫次郎さんのメルマガ
ちなみに、私は29歳~32歳ごろ、家族全員で36社の借入があり、そのほとんどが高金利(25~40%、あるいはトイチ以上の違法金利)で、約束手形の不渡も出し、それこそ自己破産しか選択肢がなさそうな絶望的な状態でした。
にもかかわらず、なぜ自己破産しなかったのかというと、
・連帯保証人(母の友人、私の弟)に督促や給与差押が行かないようにしたい!
・自宅(父名義の実家。1番抵当は住宅ローン)を守りたい!
・自己破産ぜ全額チャラにならなくてもいい!借りた金を少しでも返したい!
・全額返すか?それとも自己破産で全額チャラか?そんな二者択一は嫌だ!
・もっと中間的な方法を、何としても見出したい!
・自己破産は弱者救済制度というのは理解できるが、私は弱者ではない!
・経済合理性というのも理解できるが、私は、遠回りでもイバラの道でも構わない!
そんな思いが強く、自己破産を選ばなかった次第です。
結果、今の自分がいます。
全く後悔していません。
あの時、自己破産したほうが、もっと早く再起できたかもしれません。
(自己破産しても、だいたい5年経てばクレジットカードの審査に通りますから)
でも、自己破産せず、イバラの道を選んだおかげで、連帯保証人の給与差押を防ぐことができましたし、実家も失わずに済みました。
それだけではありません。
自力交渉、督促、差押、ギリギリの資金繰りなどを通じて、お金に代えられない、多くのものを得ることができました。
生物の進化においても、「絶望的な状況で進化する」という現象がよく起こると言われていますが、人間もまた、絶望的な状況でこそ進化するのだと思います。
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