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「これはいける!」と思った商品のことを端的に語るのが難しいワケ

良いモノやサービスを作ったのでその良さを多くの人に知ってもらいたい。ところが上手に説明するのは意外と難しいと感じている人が多いようです。その手の相談をよく受けると語るのは、メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』著者で朝日新聞の校閲センター長を長く務め、ライティングセミナーを主宰する前田安正さん。説明が困難になる原因として「アイデアの水ぶくれ」を例にあげて“何が売りか”見えなくなる過程を解説しています。

商品とストーリー 文章コンサルタントという仕事

最近、よく依頼を頂戴するのが、商品のストーリーづくりです。「商品やサービスの販路を拡充したい。もっと知ってもらいたい」事業主であれば、当然の思いです。

「それでは、その商品とサービスの内容について教えてください」と質問すると、うまく答えられないことが多いのです。それは、「あなたについて教えてください」という質問にしっかり答えられないのと同じことかもしれません。

自分のことや自分が手がけていることについて、端的に答えるのは、かなり難しいのです。「これはいける!」と直感的に思い、行動力でそれを事業化することは、事業家なら比較的たやすくできるのです。ところが、なぜ「これはいける!」と思ったのか、それが語れないのです。

「いいと思ったから」という素直な気持ちは理解できます。しかしそれは、生産者側の考えです。それを消費者側に届くように考えを転換させなくてはなりません。

「これはいける!」と思ったのは、商品・サービスの利点を嗅ぎ取ったからに違いありません。言い換えれば、消費者が求めているものを具現化できる商品・サービスであることを見抜いたからです。にもかかわらず、それを説明できないのです。なぜか。

アイデアは、水ぶくれする

面白いことに、初めに「これはいける!」と思った事業に、あれもこれもと自らオプションをつけて、水ぶくれしてしまっていることが多いのです。そのため、商品・サービスの(よく言えば)売りが増えすぎて、もともと消費者に提供しようと思っていたものが、見えなくなってしまうのです。

たとえば、品質のいい小豆を見つけて、直感するのです。これだけ質のいい小豆なら、上品な味の大福をつくれば売れる!すると、普通の大福とは違うものをつくろうという欲が生まれます。

これに美味しいイチゴを入れれば、絶品のイチゴ大福ができる。さらに、大福の周りを美味しいチョコレートでコーティングすれば、洋風のイチゴ大福になる。それなら、生クリームでデコレーションして、栗をギュッと絞りだした素麺状の仕上げにすれば、スイーツの玉手箱やぁ~。

まさか、こんなことにはならないでしょうが、商品・サービスの一つの比喩として考えてください。

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シンプルに整えないと言語化できない

いいものにいいものを足すと、相乗効果が現れることも多いと思います。しかし、それも限界があります。あれもこれも加えすぎたため、できあがった商品には「いい小豆を生かしてつくる大福」という所期の目的が、見えなくなってしまったのです。

直感で「これは、いける!」と思ったものと、実際に商品になったものが違いすぎて、たとえそれがいいものに仕上がったとしても、何が売りなのかが、ストレートに言語化できなくなってしまうのです。

実は、「質のいい小豆と、厳選された餅米で作った餅でできた上品な味の大福」というシンプルな商品・サービスの方が、開発から提供までのストーリーが深くなるのです。

つまり、消費者にはワンポイントで魅力を伝えやすくなるからです。そうすると、商品コンセプトもはっきりしてくるのです──(メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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【著者】 前田安正 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 5日・15日・25日

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