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Tokyo, Japan, January 2023, Japan prime minister fumio kishida in meeting

解散総選挙は“確実”に勝てるとき。マスコミの無責任な報道を利用した「岸田政権」の思惑

近々、解散総選挙があるのではないか?と思っている人は多いかもしれませんが、今そのような空気になっているのはなぜでしょう。今回、メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』の著者でジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、今吹いている「解散風」の正体を考察しています。マスコミの報道を鵜呑みにするのではなく、「本当にそうなのか?」を自らの頭で考えてみる必要がありそうです。

今吹いている「解散風」の正体

さすがに今回、「解散総選挙とは何か」ということを解説はしませんので、皆さんでお調べください。

さて、小学校の頃、「解散は、日本の三権分立の一つのチェック機能であり、内閣不振に難などが出た場合に、行政府(内閣)が、衆議院を解散して総選挙を行う」というように倣ったのではないでしょうか。

要するに「行政が行っていることを、国民の民意を再度聞く必要があるときに行う」政治手段であって、趣味や何でもないときに行うものではないということになります。

それにもかかわらず、現在のマスコミは事あるごとに「解散があるのではないか」というような報道をします。そしてその報道で惑わされて、解散に向けて右往左往する人が少なくないということになります。

さて、ここで問題にしなければならないのは、「だれが解散があるといったのか」ということです。これ等の「解散風報道」の特徴は「主語がない」ということになります。つまり、誰が言ったか全くわからないで、「永田町では言われている」などというような「噂話」や「創作」を言っているだけであるということになるのです。

これを「首相」または「首相官邸」や「与党幹事長」がそのことを言ったのであれば、信憑性が高いのですが、単純にマスコミが言っているだけの時は、解散はないと判断する方が良いのではないでしょうか。

何しろ、政治家は発言に関して責任を負わなければなりませんが、マスコミは、「解散と報道したのに解散がなかった場合」という「間違った情報を流した」ということにも関わらず、全く報道関係者が責任を負わないということになっています。要するに「報道の無責任」な状態ですから、好きかって言っているということになるのです。これでは正確な情報が出てくるはずがありません。

実際に、政党関係者が「解散も一つの手段だけどね」と言っただけで「解散がある」と報道してしまうのです。某A新聞社などは「政治は新聞社が民意を動かせば動くのだから、新聞社が解散と書けば、政治家は解散せざるを得なくなる」などと、訳の分からないことを言っています。

このような「マスコミの無責任」と「マスコミの勘違い」がこのような解散風報道の大きな特徴なのではないでしょうか。

では、一般論として解散風報道はなぜ起きるのでしょうか。

マスコミ側の事情で見てみることにしましょう。まず第一に「マスコミが注目を浴びるためには、過激な報道をせざるを得ない」ということになります。

単純に「解散」というのは、これから選挙になるということを意味しているので、最も注目されるところです。何しろ選挙というのは、有権者がすべて参加するということを意味しているのですから、日本国民全員に関心があるということになります。その為に、「解散」を書くと一時的には購読者(視聴者・閲覧者)が増えるということになるのです。

小売業において「チラシを配布すると、一時的に売り上げが伸びる」というのと同じで、マスコミにとっては麻薬のようなものです。しかし、実際に「解散がない」ということになれば、「嘘をつかれた」と思う多くの読者が購読を辞めてしまいます。そのような意味で、「一時的な購読者の増加を狙っている」ということになります。

では、なぜそのように購読者を増やさなければならないのでしょうか。それは第二の理由になるのですが、「取材力が低下して、読まれる記事を書くことができない」ということになります。

新聞社の政治部の多くは、10年以上前から「ネタ合わせ」なるものを、衆議院議員食堂などで集まって行っています。つまり「特ダネが出ないように、ネタの談合を行っている」ということになるのです。これでは「おもしろい記事」が出るわけはありません。

政治部の先輩記者のような人が、他者の政治部の記者を集めて、ネタを合わせ、論調まで同じようなことを書くということになるのです。ですから、ほとんどの報道が同じ内容、同じ方向性の報道になってしまうのです。

現在の政治的な課題、例えば中国報道やウクライナ情勢、LGBT法案、岸田首相の息子の件など、全てが同じような論調でしか報道されないのは、このようなネタ合わせの弊害です。そして一面の記事がほとんど同じになってしまうということになるのです。

そのうえ、それで結論が異なっている場合などは、「マスコミ全体がおかしい」となり、全体の新聞購読者や、テレビ視聴者が減少する、若者のマスコミ離れを誘発することになるのです。ネットのせいばかりではないのです。まさにこのことが、マスコミの報道をマイナス方向に持って行っているのです。

このほかにも理由がありますが、結局は、「根拠が希薄な、そして解散の権利を唯一持っている首相の発言もなく、解散があるかもしれないという報道をする」身勝手な情動が始まっているのです。そして、「解散があるかもしれないのは、事実なのだから責任を負う必要はない」というようなことになっているのです。

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今回の解散風

さて、上記の内容は一般論です。

今回の内容は、「解散はない」ということで、基本的には一致しています。麻生副総裁などは、「もう一期出たいので、早めに選挙をしてほしい」と言っていますが、副総裁には解散権はないので、意味が全くありません。

先週岸田・麻生・茂木会談があったと、日本テレビで報道がありましたが、その中でもきちんと取材をすれば、解散に関する内容は全く話されていないこと、また、岸田首相は拒否していることなどは明らかです。

それでも、「解散風」を止めることもしていません。これは解散があるのではないかというようなことを言う人がいます。しかし、別な狙いがあるとのことです。

一つ目には、「岸田翔太郎氏の、スキャンダルでもないスキャンダルを消す」ということです。

岸田首相の長男の翔太郎氏が、昨年年末に親族を呼んで忘年会をし、公邸内で写真を撮ってそれが週刊文春に流れました。その内容に関して、首相公邸というのは、プライベートの空間であるので、当然に何をやっていてもよいはずなのですが、なぜか「公私混同」というようなことを言っております。

岸田首相も「公邸はプライベートであるから関係ない」といえば、それで済む話なのに、親族であったとか、何か不思議な言い訳をしていました。そのうち「その忘年会に岸田首相自身も参加していた」ことになり、早急にその噂を消さなければならなかったということになります。

この手のスキャンダルは、初めの言い訳そのものが重要であり、その意味では岸田首相は本当に対応が下手でありマスコミなどを全くわかっていないということになります。

さて、翔太郎氏は、岸田首相の後継者であるというように考えられており、なおかつ、この時は首相秘書官であったにも関わらず、首相の息子であるからという理由で公邸に同居していました。秘書官と首相が同居しているということになります。その状況での忘年会を行ったということになりますから、何か通常とは異なる内容になります。

そのうえで、このスキャンダルによって5月のサミットの成果などは全く言われなくなってしまいましたので、支持率にも影響をするということになります。そのようなところで解散風をふかして、スキャンダルを消すというのは、ある意味で普通のやり方かもしれません。

もう一つは、「公明党との関係」です。公明党との間で、10増10減と言われる選挙区の変更において、候補者の調整がうまくゆかず、東京都では選挙協力をしないというようなことまで報道されました

実際に、同じ与党であるにもかかわらず、岸田内閣または茂木幹事長は、公明党とのパイプが細いといわれています。野党やマスコミに対しては弱いのに公明党に対しては妥協を迫る「内弁慶」であるといわれています。

そして、その茂木幹事長による内容では、うまく今後も調整できないばかりか、公明党の与党離脱や、公明党と日本維新の会の連携(選挙協力)なども噂で出てくる始末です。

この公明党との関係を修復するには「選挙」しかないということになります。解散風が吹けば、選挙が近いので、様々なことを妥協しなければなりません。そのようになれば、岸田内閣にとっては都合が良いのです。

ある意味で公明党の絶対に妥協できない部分もよくわかりますし、また、最大限の妥協も見えてきます。結局、小選挙区制というのは、ある程度協力しなければ野党に議席を持ってゆかれてしまい、そのことで、下野する可能性もあるのです。そのように考えた場合、公明党との関係の修復のために、岸田首相がわざと解散風を放置しているということもあるのです。

要するに、マスコミは「岸田首相または政権のそのようなことに協力をしているのか、あるいは利用されている」ということになります。案の定、日本維新の会の馬場代表は、「まずは立憲民主党を倒す」と、野党間で調整できない問題が出てきています。これも「選挙が近いので本音が出てきた」という子世の一つでしょう。。

では本当に解散はないのでしょうか。まずは、公明党との関係で候補者が出そろっていない状態で、選挙などはできるはずがありません。そのうえ、日本維新の会などの出方が見えて来なければ、作戦もたたないのです。そして、作戦が立たないということは、当然に、その為の「軍資金」つまり「選挙用の資金」の調達もできないということになります。

このように考えれば、「マスコミの無責任な報道をうまく利用した岸田政権」という見方ができ、その中で、よほど確実に勝てる場合だけ、解散総選挙に打って出るということになるのではないでしょうか。

(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2023年6月12日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

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image by:Naga11/Shutterstock.com

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