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飲食店が悩む人件費の増加。「業務委託モデル」に可能性はあるか?

食材原価や光熱費の高騰の直撃を受けている飲食店の利益をさらに圧迫しているのが、人件費関連の支出の増加です。毎年上がる最低賃金に加え、ステルス増税である社会保険料率の値上げもあって、企業側の負担は増しています。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では、外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんが、人件費の負担増の状況を解説。「業務委託モデル」が当たり前になっている美容室の例を上げ、飲食業にも導入できないか考察しています。

飲食業における業務委託モデルについて考える

食材原価の高騰よりも大変なのは人件費関連です。

働き方の改善

今までのような働き方は絶対にもう無理です。

・36協定の範囲内での適正な働き方
・完全週休2日制の当たり前化
・年間休日110日以上

この辺りを実装しようとすると、皆様の各店舗の人件費はどの程度上がりますか?

基本的にはそれを見据えてのビジネスモデルの設計が前提となります。

最低賃金の増加

毎年10月に増加する最低賃金。昨年は過去最高を更新しましたが、今年はそれを更新するのでは?と想定されています。昨年が3.3%でしたので、3.5%~4%弱が今年の想定になってきます。これは継続していく流れですので、ここも加味して考え続ける必要があります。

しかも年収の壁は頑なに変えなさそうなので、12月にはタイミーなどのスキマバイト時間を予算に計上しておく必要も出てきました。

雇用保険・健康保険料の増加

ステルス増税であるこの領域。労使折半なので企業側の負担もあります。皆様も雇用保険の今年の確定金額を見て、その値上がり率に驚かれたのではないでしょうか。

ここは残念ながら今後も増える見込みですので企業負担は着実に増えていきます。

人件費増加のまとめ

上記が主だった部分になります。「今のビジネスモデルのままで…」というのは正直かなり厳しいところがあります。

ベテランメンバーだけが残り、中堅メンバーが辞めて若手は来ない。このような衰退にならないためには、ビジネスモデルの刷新が必要になってきます。

その中でユニークな取り組みが、「業務委託モデル」です。

美容室の取り組み

ここは有名なところですが、美容室は業務委託が一般化しました。彼らも元々職人的な仕事なので長時間労働。ここの残業代支払いの問題がありました。

しかも、成長してスタイリストになると「お客様を連れて辞める」のがこれも一般的な状況でした。経営的な視点で見るとかなり重いですよね。しかし従業員視点で見ても低賃金なので、お互いにとって苦しい状況が続いていました。

それで生まれたのが業務委託です。様々なケースがありますが、飲食で使えるモデルが下記ですね。

法人側:物件契約・ブランド(屋号)貸し
委託側:通常営業しながら売上からのマージンを貰う

このようなパターンですね。収支モデルが違うので一例ですが、美容師で売上の40~60%バックが多いようです。

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美容師が業務委託で成り立ちやすかった理由が、集客経路が個人SNSだからというのもありました。

ホットペッパー:企業側が運営
SNSの個人アカウント:業務委託側が運営

美容室でお店ではなく個人のアカウントが多いのは完全にここの理由です。自分で集客した顧客の方が獲得できる収益率が高いので、それを実現するように各人頑張っているようです。

飲食業の取り組み

この美容室の流れを見ていると、飲食業においても業務委託の流れは派生するだろうと思っていました。しかし、向くモデルと向かないモデルがあるため、中々定着が難しい印象もありました。

ここに来て年商10億円以上の規模でもそれを一般化した企業も出てきたので、この辺りを見ていこうと思います。

・向かない業態
1店舗辺りに社員数が多い業態です。

美容室だと「個人SNS」で集客ができるので、個々人で業務委託フィーを決めやすいです。しかし飲食は「店」で集客をするので、社員数が多いとその振り分けが難しくなります。

そのため、今は1店舗辺り社員数が少ない業態の方で進んでいるような感じです。

・向いている業態──
(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2023年7月3日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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