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Child abuse concept. Mistreated little girl seating on the floor and scared of adult.

虐待された子供がどうなるかを楽しむマスコミと軽すぎる虐待親の罪

悲しい話ですが、児童虐待のニュースが連日マスコミを賑わせています。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』では、 精神科医の和田秀樹さんが虐待の恐ろしさと罪の軽さ、虐待を見て見ぬふりをしているように思えてならないマスコミについて憤りを露わにしています。

虐待の恐ろしさを軽視するマスコミと日本の司法

またまた、世間を震撼させる虐待事件が起こった。

大阪府大東市で9歳の娘に食事を与えずに入院させ、入院保障の共済金をだまし取ったとして、母親が逮捕されたニュースが。

娘が入院することで支払われる共済金を不正に請求した詐欺の容疑だという。

娘がスピーカー状態でこの母親と通話していたことで、病院が食事を食べないよう指示されているのに気づき、事件が発覚したとのことだ。

「あんたが今せなあかんこと、なに」「食うなよ、寝とけ」「夜も食べんと『しんどい』って言って寝とき」という内容だったという。

食べさせないで入院させるだけでなく、回復されると困るから病院食まで食べないことを強要する。

こうやって娘を犠牲にして詐欺で得た金をエステや外食に使っていたという。

今回は詐欺で起訴されるだろうし、常習的にやっていたということで実刑を食らうだろうし、そう願いたい。

そんな親に育てられて虐待サバイバーになったり、複雑性PTSDになったりすれば、この女の子の人生だって悲惨なものとなりかねない。

中途半端な刑期で帰ってこられたら、またこの母親に育てられることになって、それは十分あり得ることなのだから、裁判所もその点を考えてほしい。

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裁判所は虐待というのが、人の一生にかかわるひどい判決だとまったく理解していない。実際、3歳の男児に熱湯をかけ続けて、殺した親も傷害致死という判決だ。本来なら殺人より重い虐待殺人罪というのを設けるべきだ。この母親にしても、通常の刑でなくて、子どもにやったことと同じように飢え死に寸前まで食べさせない刑を課してほしいくらいだ。

虐待をもっと重罪にしないと悲劇はなくならない。その上、日本の場合は、虐待をする親に平気で子どもを返す。アメリカとはえらい違いだ。そして虐待をされた子どもが重罪を犯すとそれを喜んで大ニュースにする。ニュースのネタに困らないようにわざと虐待を見て見ぬふりをしているように思えてならない。

あと、周囲の人間も虐待に甘すぎる。

今回43回目の入院でやっと虐待が見つかったというが、普通、医療関係者なら不自然に思わないほうがおかしい。そのうち30回以上が同じ入院先だという。

外傷がなかったとはいえ、栄養失調が何度も続き、それなのに入院したらちゃんと食べて退院というのなら、親が食べさせていないことを疑わないほうがおかしい。

日本が治安がいいことを逆手に、虐待が放置されているとすれば、そうやって育った子は浮かばれない。

たとえば、複雑性PTSDのために仕事が続かなくても、生活保護を受けるにもバッシングを受ける。もちろん凶悪犯罪に走っても生い立ちは鑑みられることはなく、テレビ局の金儲けのネタにされる。その上、虐待親の罪は軽い。

子どもを大事にするが聞いてあきれる恐ろしい国だ。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年7月22日号の一部抜粋です。

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image by: Shutterstock.com

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高齢者を専門とする精神科医、学派にとらわれない精神療法家、アンチエイジングドクター、そして映画監督として、なるべく幅広い考えをもちたい、良い加減のいい加減男。

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