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CHIBA, JAPAN - January 18, 2018: A pair of drinks vending machines next to a shuttered closed-down store on a main road in Shirako Town on the Boso Peninsula in rural Chiba Prefecture.

なぜ、行き詰っていた飲食店経営が「夜逃げ後」うまくいったのか

成功する事例から学ぶことはよく聞きますが、失敗した企業が活路を見出した例にも「成功」への道が示されていることもあります。今回、メルマガ『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』の著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんが、自身の顧客の事例をあげています。

「逆のこと」をして活路を見い出す

私自身、これで生き残ってきた感があります。

「輸入の仕事で行き詰った…そうだ、輸出をしよう!」

「借金を返し過ぎてもう限界だ…そうだ、返さない道を考えてみよう!」
(注:踏み倒すわけではなく、返済方法をもっと自由にできる道を)

車の運転でも、泥道でスタックした時などは、アクセルをいくら踏んでもダメなわけで、そんなときはバックギアに切り替えなければなりません。

私はこの手の考え方が大好きです。小学生どうしの会話などは、もう最高です。「バーカ」と言われたら「カーバ」と言い返したり。「1+1=?」と訊かれたら「田んぼの田!」と答えたり。このくらい頭が柔らかければ、どんな時代の変化にも対応できそうです。

いくつか、私の顧客で「逆のこと」をして生き残った事例を挙げましょう。

1.中古車屋さん

長年、中古車を「売ること」に必死になって、結果、うまくいかなかった。沢山売るには在庫がいる。在庫を沢山持つには広いスペースと多額の仕入資金がいる。だがそのわりには回転率が悪い。年商1億、2億、3億、4億と業績を伸ばしてきたが、いつまでたっても資金繰りはタイトだ。まずい。このまま拡大しても、決定打にはならないだろう。それどころか、いつか資金繰りが破綻するような気がする。

…そこで悩んだ末、彼は「逆のこと」をする決心を固めた。

・中古車を「(沢山)売らない!」
・中古車を「買い取る」比率を増やす!

これにより、会社は大きく好転した。在庫をあまり持たないで済み、スペースも小さくでき、運転資金があまりかからない体質が出来上がっただけでなく、損益分岐点も大きく下がった。それまでは年商3億円でも赤字だったのが、現在は1.5億円以上の売上をキープすれば黒字が維持できる。

また、「買い取り」した車はすぐに業者オークションへ出品するので、滞留在庫にならないし、業者オークションでの落札価格も予想しやすいのでほとんど損しない。オークションは毎週末に開催されており、そこで売れた車は、2週間程度で決済されるから、回転率も早い。

現在は年商2.5億程度で業績横ばいが続いているが、かつての4億円台の時代よりも、ずっと利益率が高く、預金残高も増えた。

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2.飲食店経営者(昔、著書で掲載したことのあるエピソード)

以前は関西地方で、高級和食店を営んでいた。女性客を意識した、品のいいたたずまいだった。しかし、売上高はそこそこ伸びたものの、女性客は客単価が低く(あまり食べない飲まない)、財布のヒモがきつく、長時間滞在するので回転率も悪く、ビジネスとしてはうまくいかなかった。結果、社長さんは突然店を閉じて、着の身着のまま「夜逃げ」した(本当の夜逃げ)。

夜逃げから4年後。そろそろ借金の消滅時効が近くなってきた頃に、彼は東京のNEKO-KENに相談に来た。

相談の内容「時効」などではなく、「返したい」というものだった。私は驚いた。

聞けば、この経営者さんは、夜逃げして約3年後に、夜逃げに疲れて、また飲食の商売を再開することに決め、それをすでに実行していた。そして、その「新しい飲食の商売」は、すこぶる上手くいっていた。「逆のこと」をして。

・関西で失敗したから、「関東」で商売する!
・女性向けで失敗したから、「オヤジ向け」にする!
・高級路線で失敗したから、「低級路線!」
・広い店で失敗したから、「狭い店!」
・低い回転率はもうコリゴリ。「高い回転率!」

そう、彼は東京で、(信用がないので)知り合いから店を又借りして、小さな小さな飲み屋を開店したのです。

メニューは当時の東京としては比較的珍しい関西風。開業資金は70万円足らず。内装にはほとんど金をかけていません。しかしこれが当たり、1日の平均売上は10万円を超えました。

これでたちまち利益が出て、返せないはずだった借金が返せるようになってしまったのです。

(メルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』2023年8月10日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Ned Snowman/Shutterstock.com

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事業再生コンサルタント。認定事業再生士(CTP)。特に倒産寸前の中小企業、零細企業、自営業の自力再生(のサポート)を最も得意としています。著書『震災後に倒産しない法』(サンマーク出版)、『借金なんかで死ぬな!』(朝日新聞出版)、『連帯保証人 なってみたらすごかった でもまだ手はある』(ワニブックスPLUS新書)、『ブラックリストなんて怖くない』(宝島社)、『働けません。』(三五館)ほか多数。1968年東京生。乙女座A型。趣味は自転車、魚釣り等。無類のネコ好き。

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【著者】 吉田猫次郎 【月額】 ¥528/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 10日・20日・30日 発行予定

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