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大ベストセラー『私は私のままで生きることにした』に学ぶ“SNSの使い方”

毎日何時間もSNSに触れていると、あるとき、キラキラした他人の投稿を見るのがつらくなり、自分を「みじめ」だと感じてしまう人が少なからずいるようです。生活から切り離すのが難しくなったSNSと、人はどう関わっていけばいいのでしょうか。今回のメルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では、著者の吉田さんが、自殺する若者が日本より多いと言われる韓国でベストセラーとなり、日本でも50万部以上売れているエッセイ『私は私のままで生きることにした』を紹介。「他人の評価より自分の評価を大切にする」「自分の幸せに関心を持つ」など、多くの人の心を軽くしている方法を伝えています。

僕たちはSNSとどう関わるのか

自分も患者さんも友人も知り合いの経営者もみんなSNSをやっている。適度に楽しんでいる人もいるし、そうでない人も少々いる。楽しみきれていない人に少しヒアリングをすると大体このように答える。

細かいディテールは違うが、大まかに要約すると、「キラキラしている他人の映えを見ていると疲れる」という事らしい。実際にインスタをやっていたけれど、で、何が言いたいの?と思うことが沢山あるという人もいるし、Twitterをやっていて、誹謗中傷のようなことに巻き込まれて閉鎖してしまった女性もいた。

こんな話を聞くたびにSNSは本当に使いようだと感じる。火や電気と一緒で活かすことも殺すこともできる両刃之剣だ。

韓国でイラストレーターや作家をしているキム・スヒョンさんの書かれたベストセラーである『私は私のままで生きることにした』という本がある。

彼女は実際に大学を卒業してすぐにインターンとしてある会社で働き始めたが、そこの部署の主任は、彼女のことを召使いのように扱う上司だったらしい。自分の目の前にあるパソコンのモニターを10センチ動かすのでさえも、彼女にやらせ、ほんのささいな、失敗にも「私を困らせる気なの?」と言って罵ってくる上司だったそうだ。

そして、インターン期間を終えて、かなり経った日の夜に突然、あんなにひどい目にあわされながらも、嫌な顔1つしなかった、自分自身に対して悔しくなって寝られなくなったと言う。この時の体験を踏まえて、『私は私のままで生きることにした』を書き上げた。彼女はSNSの使い方に関しても突っ込んでいる。この本は一言で言うと「自分から惨めにならない方法」教えてくれる本だ。

今、生きやすいと感じているのか、生きにくいと感じているのか。特に何かに困っているわけでは無いけど、幸せを実感できていないと言う人が実際に多いのではないだろうか。経済協力開発機構の統計によれば、全世界で最も自殺者が多い国が韓国であり、上位にはハンガリー、日本が入ってくる。韓国ってそんなに亡くなる人が多いのかと驚いた。確かに芸能人の自殺者も年々増加している感じがある。

これらの国には「寄り道が許されない社会」だという特徴がある。つまり、決められた正解の生き方みたいなものがうっすらあるような気がする。例えば高学歴になり、大企業に就職し、そして理想の相手との恋愛、結婚、そして周りが羨むようなマイホームを購入し、子供を産み育てる。これらのミッションはできるだけ30代前半までに実行しなければならないと思い込まされて成長していく。

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確かに、韓国の学生たちは日本で言うところの中学受験、高校受験が実質的にはないため、大学受験が集大成ともいう形で、小学生から盛んに塾通いをする傾向にあるのは「大学受験」を見越しているためだ。

しかし、結婚や勉強に向いていない人までもが、勉強して良い大学を目指し、良い就職先を見つけて、頑張って結婚しようとする。親や友達、そして、知人から一人前の人間と見られるために、頑張って、頑張って、頑張り続けるわけだ。だが人には向き不向きがあるため、頑張ってもうまくいかないことが多い。

キム・スヒョンさんはある日、ふと、SNSを見ると、素晴らしいキャリアや幸せな家庭を築いている人を知り、自分とのあまりの差に愕然とする。そしてこの先いいことなど何一つないと思い込み絶望する。

韓国や日本には決められたレールがあるため、そのレールから脱線することに思い悩んでいる人は多いのだろう。いちいち周りや社会、他者の評価を気にしちゃう若者はとても多いのが現実だと大学2年になる娘と話していていつも感じていた。僕の人生は今の若者からすれば異質なんだな、と(笑)。

この本は、自分をみじめにしてしまうものの正体に気づき、自分らしく、生きる方法を知ることができる。そして、「自分から惨めにならない方法」を知ることができるようになるだろう。キム・スヒョンさんは「SNSで他人の華やかな生活を覗き見ないこと」が大事だという。

SNSで他人の華やかな生活を覗き見、自分と比べることはうまく自分を客観視できないでいると、「みじめ」に感じるという。面白いのはたとえ自分の方が勝っていたとしても、誰かと比べた段階で負を感じてしまうと言うことだ。つまり比べるという行為自体が幸せを遠ざける根本の原因になる。

実際にSNSを1日3時間以上利用する青年は、鬱や不安のリスクが2倍になるという報告がある。例えば、せっかくコンビニの前で美味しく、明太子おにぎりを食べていても、Instagramでお金持ちの美男美女のカップルが高級フレンチを食べているのを見れば、なんだか自分がすごく惨めに思えてくるということだ。

このように周りを見て比べていると、ある時には誰かに勝ったような気になったり、またある時には誰かに負けたかのように感じたりで、心が不安定になるし、何より、今、自分が持っている友達や家族、そして、仕事などの価値を忘れてしまう。本当はおいしい明太子おにぎりを食べられることが幸せなはずなのに、そうは思えなくなってしまうのだ。

ついつい人と比べちゃう習慣がついてしまう。しかし、一度ハマると人間の本能だから中々やめることができない。だが、自分次第で負の想念を減らすことができる。それは、必要以上にSNSを見ないことだ。

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実際にSNSは絶えず私たちの注意を引いてきて、悪いニュースやセレブな生活を脳に流し込んでくる。でも、好奇心があって見ちゃうもの。この本には「その好奇心を満たすために『みじめさ』という代償を支払っている」と書かれている。

SNSは情報収集に優れている反面、なんでもかんでも比べてしまうというリスクがあるものだから、1日20分とか、パソコンでだけSNSを見るというふうに見る時間を制限したほうがいいかもしれない。まだ自分をコントロールできないという自覚があるならば、「SNSで他人の華やかな生活を覗き見ない」ということだ。

あと、印象に残っているのは、「数字を気にせずに生きる」ことが大事だということ。というのは数字があるとどうしても誰かと自分を比べてしまうからだという。例えば、年齢、年収、身長、偏差値、フォロワー数、体重、資産額、売り上げ、再生数など、私たちは何から何まで数字に置き換えるのが好きで、その数字を知ると、他の誰かよりも上なのか下なのか気になってしまう。

これは実際にSNSを運用しているとものすごく気になる。ブログ歴はもう20年になるので、昔は順位なんかを10分おきに確認していたくらいだった。このように数字が出た段階で、誰かと自分を比べることになるため、惨めになりやすいという。

しかし!!逆に私たちは三角と丸を比較できないように、人の優しさや、自分の好きなこと、没頭できること、人への思いやりなどは、数字で測れない。確かに、あの人より、俺は〇〇が好きだ、なんてことは考えない。このような比べられないものの中に自分の幸せの本質が隠されていることが多いのだ。

そのため、「人生から数字を消そう」と彼女は言っている。これはあまりにも極端だな、と思った。いくらなんでも、完全に数字を人生から消すことはできないし、場合によって数字を見る必要があるタイミングもある。例えばYouTubeが登録者数や再生数などの数を気にしないのは無理だし、ブログなどの閲覧数は今後の参考にもなるからだ。しかし、ユーチューバーは精神的に非常に落ち込みやすい職業になってきた。

完全に数字から解放されるのは難しいと思う。だから、できるだけ見なくて問題ない状態に環境を整えることが大事なのかもしれない。数字を極力見ないように意識してみると良いだろう。そうすることで無駄な劣等感や慢心がなくなり、だんだんと数字では測れない、大事なものに目を向けられるようになるのではないだろうか。

「他人の評価より自分の評価を大切にする」ということは、このSNS時代には特に座右の銘にしておくべき。自分が良いと思うものよりも、他人が良いと思うものを優先していると、疲れやすくなって、心が壊れてしまうから。

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なぜ他人の評価を求めると疲れやすくなるのか?それは自分としてはこれが好きだけど、周りが評価しないからやめとこうとか、他人に合わせたつもりなのに、あんまり褒められないとかが重なると辛くなってしまうからだろう。

しかし、他人の評価なんて天気みたいにコロコロ変わるもの。だからコロコロ変わる他人の評価を追い求めるのではなく、自分の評価、つまり自分で自分に対して「いいね」「私、凄い!」「俺かっこいいな!」と思える行動を積み重ねていくことが大事だと感じた。

他人と違って自分が良いと思う行動は一貫しているもの。他人から、いいね!をしてもらえないという価値のないことよりも、SNSに載せなくても、自分で自分に、いいね!を押せることをやればいい。昨今の自殺が多い現代の将来ある若者にぜひ伝えたい!!「他人の評価より、自分の評価を大事にする」ということを。

あと、マーケッターである森岡毅さんは、こう言っている。
「ナスビはナスビにしかならないのですよ。逆にナスビであること、丸みがあること、紫色や黒色がかっていることを誇りに思うようにしてあげないといかんのですよ。ナスビがきゅうりになるとか、玉ねぎになれって言ったら、しょぼくれたナスビにしかならんでしょ。ナスビはね、立派なナスビになるしかないんですよ」…と。

ナスビのくせに、りんごや桃、玉ねぎに憧れるからしょぼくれて、劣等感を抱くわけだ。ナスビは立派なナスビになるしかない。そのためには周りに憧れるのではなく、自分に与えられた小さな才能をよく理解し、その才能を発揮できる職業を選ぶことが大切になる。自分に与えられた才能を生かすこと、自分の才能を活かせているときに自分は自分で良いなと思える。

「惨めにならないために、自分以外の何者かになろうとしないこと」ということは「風の時代」には特に重要事項だと感じる。「誰かの決めた幸せではなく、自分の幸せに関心を持つ」ということだ。それは、世間の決めた幸せが自分にとっての幸せとは限らないからだ。例えば結婚したら幸せになれる。最高の人生になれる」と思い込んでいる人は多いが、むしろ結婚して地獄になる人もいる。

確かに、Twitterとかで、いっつも、夫や妻の愚痴を言っている人はものすごく多い。この家の中で最も恨んでいるのが主人っていう人もいるから恐ろしい(笑)。大事なのは周りが決めた幸せを追い求めるのではなく、自分にとっての幸せが何かを知って、それを追い求めていくことが人生にとって大切なことではないだろうか。

別にたいしたことではなくて、お風呂上がりにかき氷を食べるだけで、幸せな人もいるし、プラモデルを眺めるだけで、幸せを感じる人もいれば、筋トレをして幸せを感じる人もいる。犬に触れているだけで幸せになる人もいるし、自分のように毎日朝日を見るときに幸せを感じる人間もいる。

このように人それぞれに自分にとっての幸せがあり、それを知ることが微分積分やサインコサイン、タンジェントより大事なのだ。僕は何に幸せを感じていたっけなぁ、と口では言うものの、自分が何に幸せを感じるのかをそれほど把握していない人は多い。

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著者は「幸福手帳」というものを作り、自分が幸せを感じたときに、どういう行動で自分が幸せを感じたのかを書き留めるようにしていると言う。このようにしておけば落ち込んだ時、疲れている時もすぐに復活しやすいと言うのだ。

まさにモーニング・ページだな、と感じた。やはり、ジャーナリングはものすごく大事な自己俯瞰法だ。とにかく、「誰かの決めた幸せではなく、自分の幸せに関心を持つ」ということを覚えておいてほしい。

あとは、自然と一体化する、ということがとても生きやすくなる手だてだと、最近特に感じる。簡単にいうと、「しんどいときにはしんどいと言おう」…ということ。

しんどいのにしんどくないふりをして、苦しいのに苦しくないふりをして、自分の感情をごまかしていると、だんだんと自分に対する感覚が鈍くなるし、知らず知らずのうちに、自分を限界の限界まで追い込んでいくことになるからだ。りゅうちぇるさんもその一人ではないだろうか。

iPhoneのバッテリーが残り10%しかないのに、まだ50%ありますよ、というふりをしていると、電池が切れるのと同じだろう。だからタフそうな人がいきなり会社をやめたり、思ってもみなかった人がうつ病になったり、死なないと思っていた人が死んでしまったりするのはそのせいなのではないか。それはすべて弱音を吐かずに我慢し過ぎた結果だと思う。

でも実際に特に昭和生まれは、辛くても弱音を吐かずに「大丈夫」とタフに頑張ることを美徳としているところがある。それが良くない。シンプルにしんどいときにはしんどいと言って駄々をこねるのが良いだろう。でもなかなか駄々をこねる事さえも難しいのがほんとのところ。だからこそ、そういう時は日記に書くのが1番いい。書きなぐるつもりで。

むかつくことや、日々の不満、考えていたこと、これからの事など、日々自分の頭の中に溜まっていく思考や感情をノートに吐き出していくだけで、心がスッキリするものだ。逆に、心の内をアウトプットしないと心にゴミが集積していってしまう。「しんどいときには、しんどいと言おう」、もしくは、「しんどいときには、しんどいことを書きなぐろう」ということ。

「何事も自分で選択すること」と言うのは、簡単なようで意外と難しい──(『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2023年6月17日号より一部抜粋)

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医療機器メーカー勤務を経て、2000年7月に整体院にて独立開業。 一日200名以上の整体院に成長。その後7店舗展開。独立専門整体スクール開校し、生徒は全国で活躍している。 15万2000人以上を施術。整体スクールは650名以上の整体師を輩出。現在も施術及び施術指導継続中。 店舗立ち上げから閉鎖まですべて体験し、やりたくないことをやめ、やりたいことにエネルギーを集中させる人生へのシフト。 医療機器メーカー時代に得た生活習慣病に対する知識と経験を踏まえてヴィッシュ整体法を創始。 著書に「集客革命」「でも、大丈夫!!」「ぶっちぎり集客力」すべて現代書林刊がある。 JPMA日本理学手技療法協会代表理事 フィットバランス療術学院 学院長 エネルギー整体Vitsyu-Yoga 院長 趣味はトレイルWalking&Running。愛犬はアメコカ女の子“アビィ”

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【著者】 吉田正幸 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月曜日

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