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中国相手に「科学的な説得」はムダ。処理水問題に騒ぐ隣国への対処法

福島第一原発の処理水放出に過剰な反応を示し、まさに国を挙げて日本攻撃に走る中国。ここまで過激な行動を取る習近平政権の意図は、一体どこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、英国有力誌と韓国大手新聞が伝えた、中国が処理水問題を煽る理由を紹介。さらに自身が感心したという、東京都が始めた中国からの迷惑電話への対応を取り上げています。

【関連】中国人からの「迷惑電話」撃退法、効くのは「天安門事件の真実を教える」

福島処理水、中国の反日キャンペーンの意図

福島原発の処理水をめぐり、中国から東京都に8月31日までに約3万2,800件の苦情電話が入っているそうです。

異常な数です。これについて海外報道を見てみましょう。

まずは英誌エコノミストからです。

表題中国は日本の原発廃水放出への怒りを煽っている。これは健康不安よりも政治に関係しているかもしれない

 

中国は日本の行動を無謀だと非難している。そして日本の水産物の輸入を禁止した。

 

国営メディアはこの計画を支持する科学者たちについてはほとんど触れずに、この話を延々と取り上げている。

 

ナショナリストのネットユーザーたちは、汚染された魚や毒に汚染された人間について根拠のない主張を展開し、日本製品のボイコットを呼びかけている。

 

中国にとって処理水放出は好都合な時期にやってきた。

 

中国経済は苦境に立たされている。毎週がっかりするようなデータが発表される。日本の行動は悪いニュースから目をそらすのに役立っている。

 

また8月18日に米国キャンプデービッドで行われた米国、日本、韓国の首脳会談もこの問題を複雑にしている。

 

日本と韓国は、しばしば険悪な歴史によって分断されてきた。

 

ただ中国の領土主張が日韓の距離を縮めてきた。しかし今、中国は両国の間にくさびを打ち込む機会を狙っているのかもしれない。

 

韓国政府は日本の廃水計画を支持しているが、韓国の野党と国民の多くは反対しているからである。

解説

中国政府の日本批判は国内問題から目をそらすためだという主張です。また韓国人の不安をあおり、日韓を分断しようとているのではないかとも記しています。

その韓国の中央日報もこの問題について報じています。

表題韓国には手を差し伸べ、日本には「汚染水」で叩く…中国の「駆け引き外交」

 

最近、韓日米を相手にした中国の外交接近法は個別対応である。

 

先月の米キャンプデービッド首脳会談で表れた韓日米3カ国の対中圧力基調に対抗し、中国は韓・日・米との2国間関係をそれぞれ別に進めている。

 

韓中では意思疎通チャンネルを復元・新設して接点を広げている。

 

一方、日本に対しては福島汚染水放出を前面に出しながら批判の強度を高めている。

 

中国外務省の報道官が先月31日、4回にわたり汚染水放出を批判するSNS掲示文を載せたほどだ。

 

特に4回目の掲示文に「覆水盆に返らず」という表現を使いながら「日本は手遅れになる前に(汚染水放出を)やめるべきだ」と主張した。

 

一部では、中国が韓中関係の復元を進めるのは、韓日米連携の最も弱い部分と評価される韓国を攻略するための動きという分析もある。

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解説

中国への警戒心が読み取れます。

英誌エコノミストと同じ、中国の日本批判は、韓国を自陣に入れて日本から離反させるためのものという意見です。

上記、エコノミスト、中央日報の言うような意図で中国が反日キャンペーンをやっているのであれば、いくら日本政府から中国政府に処理水の科学的な安全性を説明しようとしても無駄でしょう。

違った対応が必要です。

この問題での東京都の対応には感心しました。

東京都庁の代表番号に中国の国番号「86」からかかってきた電話で、相手が中国語でまくしたててきた場合には自動音声に切り替えているそうです。

「あなたはご存じですか?」と中国語で問いかけるところから始まり、「中国の原発の中には福島第1原発のおよそ10倍のトリチウムを出すものもある」「福島第1原発の処理水は近隣諸国と比べてもトリチウム年間処分量が低い水準」などと答えているとの事。

これぐらいの主張はすべきでしょう。

中国政府を科学的に説得できる問題ではなく、意図的なキャンペーンだとわかった時点で、一方的に守るだけではなく、相手の弱いところには反撃すべきです――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』9月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)

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image by: 経済産業省 資源エネルギー庁

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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