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第2次大戦前夜と酷似。米の衰退と中ロの侵略的姿勢で「多難の時代」へ

ウクライナ戦争のみならず、各地で多発するさまざまな紛争。さらに国際法を無視して核ミサイル開発を続ける北朝鮮や米中対立など、国際社会は混迷を極めていると言っても過言ではありません。私たち人類は、どのような未来を迎えることになるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、今後の世界は多難を極めることになると断言。さらにその際、日本がどのような役割を担うべきかについて考察しています。

これから「世界動乱」をどう収めるか?黙示録の時代が始まった

米国では、民主党知事の州では、警察官を削減し、少額な万引きを犯罪としないことで、黒人の支持を得ているが、治安に対する信用を失い、小売業が民主党知事州では、成り立たなくなっている。

都市では、困窮者が多くなり、その困窮者に投票権があり、どうしても困窮者に沿った政策になっている。それと、コロナで月30万円以上も支給したことで、米国民、特に困窮者は、それを期待している。

このため、共和党知事州に、真面な企業や国民は移動している。小売業も共和党知事州でしか成り立たないことになっている。

このため、米国の秩序は崩壊状態であり、米国政府も米国債を1.2兆ドルも発行して、社会にばら撒いている。米国債累積高は、32.7兆ドルになっている。4%金利の負担では、年1.3兆ドルにもなる。日本円にすると188兆円であり、日本の国家予算より大きい。日本は国債累積額が1,200兆円であるが、金利は1%であり金利負担は12兆円程度で済んでいる。

米国はバラマキの経済であり、このような急速な国債膨張は、国家予算の破綻を招くことになる。ドル基軸通貨であれば、国債を他国が外貨準備として、買うことも考えられるが、ドル基軸通貨制度は、BRICS+が拒否して、徐々に金をベースする共通通貨に置き換わることになる。

中国やロシアは、米国債を買わないし、買うのは日本ぐらいになっている。

そして、トランプ主義者が、次の大統領になった場合、自国優先の秩序になる。世界秩序維持には見向きもしなくなる。軍事費も削減し、米国への輸入品には10%以上の関税をかけることになる。自国産業を育成し、労働者の雇用を増やすことになる。

トランプ主義者が大統領にならなくても、米国民世論から自国産業保護政策は取ることになり、世界は自国優先の方向になり、グローバリズムから一転、ナショナリズムの方向になる。

その上、ドイツでは、極右政党AfDの支持率が増して、移民排斥やリベラルな考え方を拒否することになる。ここでも自国優先主義になる。フランスも同様である。西欧でも自国優先主義になる。

しかし、米国や西欧の退場になると、英国や北欧や日本だけでは、世界秩序の維持が難しくなる。

中国は、周辺の係争地を軒並み「自国領」にした新地図を発行して、各国が反発している。中国は自国経済が低迷しているので、国民の不満を緩和するために、ナショナリズムを前面に押し出している。

米中間の対立や経済規制なども強化されていて、まるで第2次大戦前夜の排日法の時代と同様になっている。米中ともにその排斥法を強化している。

~日本や英国、北欧しか防ぐことのできない世界戦争

このような状況であり、米国の衰退、中国とロシアの「力で支配する秩序」構築で侵略的態度、ドイツなど西欧の自国優先主義など、世界の今後の道は多難を極めることになる。

この時に、日本はどうするべきかだ。日本の米国からの自立が必要になっている。「法による秩序」を確立するために、世界を英国や北欧と集団指導できる体制にするしかない。

世界戦争を防ぐのも、米国ではなく、日本や英国、北欧しかない。その指導原理を確立する時期に来ている。日本は自国優先主義ではだめで、大東亜共栄圏などという一人よがりの指導原理を出しても、世界は反発するだけだ。

理想主義ではなく、現実世界の原理に沿って、日本が英国や北欧とも協議して、集団指導体制的な立場を確立して、世界平和を確立するしかない。日本だけが飛び出さないことだ。この一環が日英伊での次期戦闘機開発である。

その上で、世界の「法による秩序」を確立した上での和、平和をどう確立するかだ。日本は世界平和に寄与することである。

平和主義というと、軍備を持たないことのように左翼は見るが、逆であり、どの国も日本と戦うと負ける兵器を開発することである。

兵器開発で注目しているのが、レールガンである。これができると、次にはビームガンになる。しかし、2027年時点での見通しでは、対艦用の小口径レールガンシステムは、艦載又は固定砲として開発に移行とあり、自衛隊のレールガン開発計画が迷走しているようだ。

その前には、ミサイルやUAVなどで、武装して、中国軍との戦闘でも負けない体制を作る必要がある。戦争の時代がすぐ、そこに来ている。心して備えるしかない。

もう1つが、世界を指導する理念を作ることである。日本は融和的な東洋思想での指導原理を提案して、英国や北欧と今後の指導原理を作ることである。西洋思想から東洋思想に指導原理が移行するような気がする。

対立的な思想から、自然も含めた融和の思想が必要である。

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ウクライナ戦争の推移

ウ軍は、ロ軍の第1防衛線を突破して、第2防衛線に到達して、一部突破したようである。それと、ウ軍独自兵器も出てきて、ロシア領内のロ軍基地を攻撃し始めた。

ロ軍に予備兵力がなく、前線を突破されると、逆襲ができなくなり、ロ空軍が、ウ軍後方への空爆を行うしかない。

クピャンスク方面

シンキフカからペルショットラブネバの間のウ軍は、高台の陣地まで撤退して、防備を固めている。ロ軍はシンキフカで、ウ軍に反撃されて、元の位置まで押し戻された。

ロ軍は、東部の攻撃部隊である第41連合軍を南部に移動させて、第25連合軍を新規に編成して、この地域の予備軍とするようである。このため、強兵から訓練も受けない弱兵になる。

ロ軍は地上攻撃はできないことになり、ウ軍は反撃をして、ビルシャナの南側でもロ軍を押し戻した。

ザポリージャ州方面

1.ベルカノボシルカ軸

中央では、ウ軍は、ザビトネ・バジャンニャを攻撃しているが、ロ軍のスタロマヨルスクへの逆襲があり、そちらに兵力を向けたことで攻撃を一時中止したが、その後、ザビトネ・バジャンニャを再度攻撃開始している。

2.オリヒウ軸

ウ軍は、ロボティネの南ノボプロコピウカを攻撃している。ここは、陣地構築中であり、攻撃より陣地構築に勢力を使っている。

ウ軍の主力は、ロボティネの東、ベルボベ方向に前進して、第1防衛線を突破して、ベルボベの市街戦になっている。この手前にある第2防衛線も突破したか、到達したようであり、72時間程度で第1と第2の防衛線を突破したことになる。攻撃速度が早くなっている。

逆に言うと、ロ軍の防御力が落ちていることになる。予備兵力の不足で、前線付近の兵力が不足しているようである。ロ軍の機動防御部隊の反撃が前哨陣地戦の時に比べて弱い。

その上に、ロ軍は「対砲兵戦」で負けて、能力が低下している。投下火力が少なくなり、ロ軍の前線部隊を守ることができなくなっている。ロ軍砲門の破壊が進んでいる。それと、ウ軍がクラスター弾を使うことでロ軍の死傷率が上がり、ロ軍の損耗が速くなっていることにもよるようだ。

ロ軍の第2防衛線が突破されると、後方は予備陣地しかなく、主陣地と予備陣地の間でウ軍を撃退できないので、後がない。

本来なら主陣地の対戦車壕を超えたところで最も機動防御部隊が積極的に反撃を試みなければいけないが、その機動防御部隊が消耗していないようだ。

ということで、ウ軍は、一気にトクマクまで、進撃が進む可能性も出てきた。逆に南部ロ軍は崩壊する可能性も出てきている。

このため、東部から第41連合軍を南部に移動させることにしたようである。第2防衛線を死守する必要がロ軍にはある。

それと、トクマクが榴弾砲の長距離弾の射程範囲になり、南部地域への補給に鉄道が使えなくなっている。このため、補給も滞っていることで、前線部隊は、食糧不足と弾薬不足に直面している。また、トクマクのロ占領行政官がトクマクを脱出している。

ウ軍の戦死者も増えているようであるが、ウ軍のレオパルト2戦車は、損失が71両中5両のみであり、戦闘での乗員の死亡者がでていないという。対して、ロ軍は、最新型のT-14戦車をウクライナの前線から撤退させたようだ。その脆弱性が分かったことで、窮屈で操作しにくいのに役に立たないからのようだ。

ロ軍兵にクラスター弾が降り、生き残るためには投降しかないようであり、司令官を殺して、52人の露軍兵が投降してきている。また、ロシアは戦闘を拒否した兵士を週に100人近く投獄しているが、今年は5,000人近くに上ることになるようだ。

そして、ウ軍は、更に東のノボポクロウカ方向に前進して、市街戦になっている。ノボポクロウカの北と南の主要道沿いに攻撃して、東に前進している。この地域全体で、ロ軍が崩壊寸前のような気がする。補給はノボポクロフカには、来ていないはずであり、崩壊の可能性が高い。もし、崩壊しないなら、撤退するしかない。

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ヘルソン州方面

ロ軍は、空挺部隊をザポリージャ州に戻したことで、ウ軍はアントノフスキー橋の袂の橋頭保の拡大に着手している。オレシキの方向に進撃を開始した。前回予測した通りになっている。

その他方面

国産の長距離ミサイルが、発射地点から700km離れたクリミア半島のロ軍S-400防空ミサイルシステムを撃破したようだ。この新型ミサイルは、対艦ミサイルのRSネプチューンを対地ミサイル化して、射程距離を700kmまで伸ばした物のようである。

そして、ウ安保会議・アレクセイ・ダニーロフ書記は、「射程距離1,500kmの無人機でのロシア本土攻撃が可能になった」と9月1日に述べた。それが本当なら、ウラル山脈の西側の殆どが攻撃範囲になる。

プスコフ州のロ空軍基地に20機のドローン攻撃があり、2機のイリューシン76輸送機が大破、2機が損傷された。この地域には防空システムが配備されていないことが判明している。

この攻撃に使用したのが、ダンボール製UAVであり、長距離レーダーに捉えられないので、隠密作戦に使えるが、それほどの航続距離はない。ウクライナ国境から700km以上はあるので、不思議と思っていたら、やはり、ロシア内のパルチザンが飛ばしたようである。

毎日のように、ウ軍のUAV攻撃を受けて、モスクワのすべての空港は毎日のように業務停止を余儀なくされている。ロ防空軍は明らかにモスクワを守ることができていない。

ウ軍は、大量のUAVを自国で生産できるようになり、本格的にUAV攻撃をロシア領内に行い始めている。8月29日は、モスクワ、トゥーラ州、リャザン州、カルーガ州、プスコフ州、ブリャンスク州などに多数のUAVで攻撃している。

モスクワの中心部、3駅の広場付近で火災があるが、これもUAV攻撃の可能性がある。

ロシア西部クルスク州の原発の街クルチャトフにウ軍はUAV攻撃している。ウクライナの原発を破壊したら、ロシアの原発も破壊するぞということであろう。

クリミア半島各地に、UAVやミサイル攻撃があり、もう報告の暇がないほどである。

このため、ロ軍は、北方領土にあったS300防空システムをウクライナ占領地やロシア領内のモスクワ地域に移している。

ウ軍の大規模ドローン攻撃に対して、報復として、ロ軍は30日、28発のミサイルと16機の無人機による攻撃をキーウに行った。しかし、無人機1機を除いて迎撃したが、首都キーウでは迎撃したミサイルの一部が市内の複数の場所に落下し、市当局によりますと、中心部で2人が死亡、3人がけがをしたという。

ウクライナの状況

国連安全保障理事会で9月の議長国を務めるアルバニアのホッジャ国連大使は、ゼレンスキー大統領がニューヨークの国連本部を訪れ、ウクライナ情勢に関する9月20日の安保理首脳級会合に出席する見通しだとした。

戦後処理、停戦処理の打合せを開始したように感じる。ロシアの負けを前提に、どのような賠償請求にするのかなどの国際世論形成が必要な時期に来たようだ。

そして、ウクライナは、戒厳令下であり、大統領選挙を行わない方向で推移していたが、戦局がウ軍有利になり、余裕が出てきたようであり、大統領選挙実施する可能性も出てきた。それと、レズニコフ国防相の交代も検討されている。余裕が出てきた。

ドイツでM1エイブラムス戦車の訓練をしていたが、その1陣の訓練が終了して、ウ軍兵200人がウクライナに帰還した。9月中旬にはM1エイブラムス10両がウ軍に届き、その後21両も届くことになる。ウ軍の戦力は益々増強されることになる。

2024年の夏までにはF-16の1陣訓練も終わり、F-16が64機届き、ロ空軍を圧倒することになる。

戦局は、ウ軍有利に進み始めている。

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ロシアの状況

ロシアは、ウスリー島の半分の領有権を持っているが、中国は自国地図で、ウスリー島全体を自国領土とした。これに対して、ロシアは、中国に対して苦情を言わなかったようである。事実上、認めたことになり、中国領土になるようだ。

10月にもプーチンが北京を訪問するというが、その時にロシアはウスリー島を何と交換するのであろうか。兵器も足りない、人員も足りない状況であり、中国の兵器が必要なはずである。

そして、ロシアは、総動員体制を取らないことで、ロミルブロガーからも非難されている。特に南部戦線の崩壊が心配だと述べるミルブロガーを逮捕するという動きに出ている。

2024年3月までは、総動員体制を取れないが、そこまで南部戦線が崩壊しないかどうかの瀬戸際になっている。しかし、南部戦線の深刻な状況をプーチンに報告していないようにも思う。

それと、例年、秋に行う大規模軍事演習のザパートを中止した。兵員と兵器を集めることができないようであることと、ミルブロガーの批判が怖いのであろう。

どうなれば、2024年3月以前に総動員体制になるのであろうか?ロ軍崩壊という事態に事前の対応をしない国家であり、攻撃には強いが防御には弱いことも判明している。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年9月4日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Gabriel Preda RO / Shutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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