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毎日不機嫌な同僚と“事なかれ主義”の上司。職場環境を改善する方法は?

毎日のように不機嫌で、ネガティブなひとりごとが多く、スルーしていると「無視されちゃった」などの不満をぶつけてくるやっかいな年上の同僚。上司はとりあってくれず、自分に協調性がないと見られているかも…との悩みに答えるのは、メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で、公認心理師の永藤さん。職場に赤ちゃんのような人がいてはマイナスしかないと、上司がダメならその上司を巻き込んで“真剣に”相談することを勧めています。

ちょっと御相談がありまして:不機嫌な人が近くにいる

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Question

30代会社員です。同僚に、常に不機嫌さをふりまく先輩がいます。彼女は私の前の席なのですが、朝からずっと何かしらネガティブなひとりごとを言っていて、私が仕事に集中しているときでもお構いなしです。

そしてときどき、「あ、また無視されちゃった。私うざいもんね」とイヤミのように言います。先日は、朝から具合が悪いと言い出し、ずっと「なんか気持ち悪い」とか、「力が入らない」と言い続けているので、「具合が悪いんだったら時間休取って病院行くか、午後休取って帰った方がいいんじゃないですか?」と言ったら、急にシクシク泣き出し、立ち上がって隣の部署に行き、後輩女子に慰められていました。

外の方が見たら、私が冷たく見えると思います。でも、私は彼女のお守りのために会社に行っているのではありません。事なかれ主義の上司に話しても、「うまくやってよ」というだけです。

私は協調性がないとみなされるのでしょうか。なんだか腑に落ちません。

【永藤より愛をこめて】

お疲れ様です。最初に一言申し上げておきますね。あなたは悪くありません、ちっとも。個人的な意見だし、過激に思われる方も一定数いらっしゃると思いますが、ワタクシとしては、「ネガティブな感情や不機嫌さをところかまわずふりまく大人は赤ん坊と同じ」だと認識しています。

私たちは人間ですので、様々な感情をもちます。嫌なこと、不快なこと、悲しいことがあったらネガティブな感情をもつのは当然のこと。どんな感情であれ、その感情の発露自体は悪いことではありません。でも、それは、そのネガティブな感情を四方八方に垂れ流しにしてもいい、という理由にはなりません。

人はネガティブな感情に引っ張られます。なので、職場に一人でもネガティブさをまき散らす人がいたら、それは周囲に伝染し、士気を下げます。不機嫌な人やネガティブな人と一緒に働きたいという人はいません。

不機嫌さをふりまく人が上司や先輩として存在するチームは、生産性がドンっと下がります。なぜなら、その人の機嫌を気にしながら働く、というのは、通常の業務にプラスして精神的な負担を過剰に抱えることになり、本来のパフォーマンスの発揮の大きな阻害要因になるのです。

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赤ちゃんは言葉を持たないから泣いたりぐずったり不機嫌になることで、周囲の人たちにケアを求めていますね。彼女がしていることはそれと変わらない。その行動や態度は、職場にふさわしいもの……ではありませんよね。

ということを、「事なかれ主義の上司」だけでなく、その上の上司も巻き込んで一度「真剣に」相談してみてはいかがでしょうか。おそらく不機嫌な彼女のまわりにいる人たちは、彼女からの負の影響をわかっています。でも、それは数値化できるようなものではないし、直接的な目に見える影響がないがゆえに、放っておいているわけです。ただ、このまま黙っていては、職場環境は改善されない、むしろ悪化の一途をたどると思います。

こうなると、あなた個人の問題ではありません。「私が嫌だから」ではなく、「職場環境改善のために」「生産性向上のために」なにができるかを考えてみてはいかがでしょうか。少なくとも彼女の不機嫌のしりぬぐいを職場の人たちがする必要は、1ミリもないのです。

まあ、私たちは人間ですから、精神を安定させようと思ってもなかなかうまくいかないことだってある。そうだとしたら、少なくとも自分だけは「家で起きた嫌なことを職場に持ち込まない」「職場であった嫌なことを家に持ち帰らない」を心がけてみましょう、という提案をしています。それだけで、自分のまわりは少し平和になります。

あとは、自分の心の平穏のために、スルースキルを身につける、という提案もしています。もう10年以上前ですが、私自身、不機嫌さをまき散らす人の声を聞いただけで筋肉がこわばるような、血液が逆流するような不快感を感じていたことがあります。

でも、ある時から「ああ、あれは蝉の声だ」と脳内変換するようになりました。蝉の声、間近で聞くと大きいし不快ですよね。でも、蝉は鳴くことしかできない生き物だし、私は蝉の鳴き声を止めることはできないから、不快ではあるけれど「ま、鳴かせとけ」と思うようになり、少し楽になりました。

建設的な職場改善ができますように。そしてあなたに心の平穏が訪れますように。

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有限会社ヒューマン・ギルド 取締役研修部長 公認心理師(登録番号: 29160号) 。日本アドラー・カウンセラー協会認定シニア・アドラー・カウンセラー。日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメント・ファシリテーター 平成元年 三菱電機株式会社 入社。その後、ビジネス誌編集、語学専門学校専任教師など、20年以上にわたるビジネス経験を経て、自身が働く中で壁に当たった際に出会ったアドラー心理学を修得。 現在、日本におけるアドラー心理学の一大拠点であるヒューマン・ギルドにて、アドラー心理学研修講師(企業・自治体、教育機関、個人等)、カウンセリング、書籍執筆などを担当。

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【著者】 永藤かおる 【月額】 ¥440/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第2金曜日・第4金曜日

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