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Google日本元社長が深掘りする、9.11米国同時多発テロ「陰謀説」の信憑性

国際テロ組織アルカイダの犯行として決定づけられ、アフガニスタン紛争の引き金となったアメリカ同時多発テロ事件。しかし今や多くの米国民が、アルカイダ犯行説を懐疑的に受け止めていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、「9.11事件陰謀説」を徹底的に深掘り。その上で、恣意的な報道に騙されないために努力する重要性を訴えています。

9.11事件を巡る多くの謎について

22年前の記憶

今週の9月11日(月)は、2001年9月11日に起きた米国同時多発テロ事件から22年目のメモリアル・デーでした。米ニューヨークのマンハッタン南端にあったワールドトレードセンター(WTC)の高層ツインタワーに、2機の飛行機が相次いで突っ込み爆発する映像や、激しく炎上して崩れ落ちるツインタワーの衝撃的な光景は、今でも人々の記憶に生々しく残っていることでしょう。

ちなみに、この事件が起きた日、私はフランスのパリで予定されていたソニーのグローバル幹部会議に出席するため、前もってベルギーのブリュッセルに入っていました。現地の連中と事前打ち合わせをしている最中に、事件の第一報が入りました。慌ててテレビをつけてみると、まさにWTCが炎上している光景が映し出されていて、一瞬、映画のワンシーンでも見ているような気になりました。しかし、緊迫した中継の様子から、これは今現実にニューヨークで起きているライブ映像なのだ、とすぐに理解しました。

最初は情報が錯綜していて、ハイジャックされた飛行機の一部がヨーロッパにも向かっているという話がありました。その為か、会議をしていた建物のちょうど目の前にNATOの本部があったのですが、ただちに周囲の道路が封鎖され、バリケードが築かれるなど、瞬く間に物々しい雰囲気になったことを覚えています。

予定されていた会議はすべて中止となり、本社からは直ちに帰国命令が出ました。大渋滞の中を何とかブリュッセル中央駅まで行き、鉄道でパリに移動したのですが、その後シャルル・ドゴール空港でもいろいろとハプニングに見舞われました。その話はまた別の機会に譲ります。

数多くの謎

日本人24人を含む約3,000人が犠牲になり、イスラム原理主義の国際テロ組織アルカイダが起こしたテロとされ、世界を恐怖のどん底に陥れた大事件でしたが、実は、この事件では、直後から、ユダヤ人の犠牲者がいないとか、事件前に航空会社などの関連株が大量に売られていたなど、不自然な出来事がいくつも噂されていました。ビルの倒壊についても、さまざまな疑問が指摘されています。

下図の通り、WTCは計7つのビルで構成されていましたが、倒壊したのは飛行機が突入した110階建のツインタワー(WTC1、WTC2)だけでなく、他の5棟のビルもすべて全壊または半壊しています。なお、WTC1(北タワー)は、9.11以前にも、火災や爆弾テロの被害を受けたことがあるいわば曰く付きのビルでもありました。ちなみに、ツインタワーは、日系二世の建築家ミノル・ヤマサキの設計によるものでした。

WTCの建物配置図( NIST , CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

ツインタワーは本当に飛行機の突入による爆発、炎上が原因で倒壊したのか?という疑問も提示されていますが、特に、通りを隔てて北側にあったWTC7という47階建てのビルの倒壊については、倒壊のタイミングや倒壊の仕方が不自然だったとされています。

倒壊したのが、ツインタワーの崩落から7時間後で、まるで爆破によるビル解体のように真下に垂直に崩れ落ちています。倒壊直前に、警察無線でカウントダウンする音声を傍受したという情報もあります。また、このテロ事件で危機管理能力が高く評価され一躍人気者になったルドルフ・ジュリアーニ市長が、ABCテレビのインタビューで、WTC7が倒壊することを事前に語っていたり、英BBCのニュースでは、まだWTC7が倒壊しておらず、背後に写り込んでいるにも関わらず、既に倒壊したと報道したりなど、不自然なことがいくつもあったようです。

そして2017年7月、元CIAのエージェントで爆破の専門家だったマルコム・ハワードという男が、臨終間際に「『新世紀』と名付けられた作戦の下、我々が爆破した」と告白したという報道もあります。

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米国同時多発テロ陰謀説

米国同時多発テロ陰謀説は、米国内では根強く、そのような視点からの様々な著作が刊行され、映画もいくつか作られています。最近では、来年の米大統領選挙の共和党若手候補として人気上昇中のヴィヴェック・ラマスワミが、「この事件について、米政府は真実を語っていない」と発言しています。

陰謀説には、当時のジョージ・W・ブッシュ政権が、あらかじめアルカイダのテロを察知していたものの、敢えて見逃した、あるいは手助けした、とする説と、ブッシュ政権およびドナルド・ラムズフェルド、ジェブ・ブッシュ(ジョージ・W・ブッシュの弟)、ディック・チェイニー、ジョン・ボルトンなどをメンバーとする「アメリカ新世紀プロジェクト(Project for the New American Century)」と呼ばれるシンクタンクを中心としたネオコン(Neoconservatism、新保守主義)たちの自作自演という説があります。

事件から時を経た現在では、後者の、ブッシュ政権とネオコンによる自作自演説が主流になっているようです。前述のマルコム・ハワードの告白の中でも「新世紀」という作戦名について言及されています。今や米国民の中では、このテロ事件について、アルカイダの犯行という公式見解を鵜呑みにしている人は少なく、確信とまではいかなくとも、懐疑的に受け止めている人が多いようです。

さらには、こんな話もあります。アーロン・ルッソという、ベット・ミドラー主演の『ローズ』(1979年)などで有名になった映画プロデューサーがいました。彼は、『アメリカ:自由からファシズムへ』(America: Freedom to Fascism)というドキュメンタリー映画を作り、FRB(米連邦準備制度理事会)を批判して州知事選挙や大統領選挙にも立候補するなど政治活動にも熱心でした。その彼に、ロックフェラー家出身の友人で外交問題評議会(CFR: Council on Foreign Relations)の上級メンバーでもあったニコラス・ロックフェラーが、同時多発テロが発生する11ヵ月前に「これからある出来事がでっち上げられ、それによって米国はアフガニスタンとイラクに侵攻することになる」ということを話し、彼等の仲間に入るように誘ってきたというのです。

アーロン・ルッソはその誘いを断り、2006年に受けたインタビューで、その時のニコラス・ロックフェラーとの会話の内容をすべて暴露したのですが、そのインタビューが公開されてから半年後に亡くなっています。そのインタビュー映像の一部は、以下のYouTube映像で視聴できます。もちろん、どう受け止めるかは人によるでしょうが、最近のコロナ禍やウクライナ戦争を経た今からあらためて振り返ってみると、一層興味深い内容に思えます。

アーロン・ルッソのインタビュービデオ(1/2)
同(2/2)

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戦争には口実が必要

いずれにしても、9.11同時多発テロは、米国に、アフガニスタン紛争やその後のイラク戦争の口実を与えることになりました。米政府やネオコンの自作自演が事実だとすれば、似たようなことはベトナム戦争の時にも起きています。また、イラク戦争では、あるとされて侵攻の根拠とされたイラク国内の大量破壊兵器は結局見つかりませんでした。

本メルマガ第11号『Google日本元社長が憂慮。国民に回って来る岸田首相を野放しにした“ツケ”』でも取り上げましたが、米政府が開示した機密情報によると、ジョン・F・ケネディ(JFK)元大統領暗殺の黒幕はCIAであったことが確実とされます。来年の米大統領選挙の民主党候補指名争いに名乗りを上げているJFKの甥のロバート・F・ケネディ・ジュニア(RFKJ)の証言もそれを裏付けています。RFKJによると、伯父のJFKは、CIAや国防総省などが、世界中で絶え間なく戦争を起こし続けてそこに米軍が介入する秘密工作を常にしており、それを毛嫌いしてCIAの解体を模索していたそうです。また、やはりFRBに疑問を呈し、通貨発行権を米政府に取り込もうとしていました。

JFKが暗殺された後、ベトナム戦争に米軍が本格介入する理由となった1964年のトンキン湾事件は、JFKの暗殺で副大統領から大統領に昇格したリンドン・ジョンソン政権の自作自演であったことが明らかになっています。ベトナム戦争の舞台裏を記録した「ペンタゴン・ペーパーズ」を入手したニューヨークタイムズが1971年にスクープしました。なお、ペンタゴン・ペーパーズは、2011年6月に全文が機密指定解除され、一般に公開されています。

残念なことであり、恐ろしいことでもありますが、この世には、戦争をビジネスにしていて戦争から利を得ている人たちが一定数いて、その人たちは権力と繋がって常に戦争のタネを探したり生み出したりしています。もちろん、ロシアのウクライナ侵攻の背後でもこのような人たちが暗躍しています。いろいろな出来事を繋ぎ合わせると、米国同時多発テロの陰謀説には、それなりの信憑性があるのではないかと思います。

オープンソース・インベスティゲーションの勧め

平和ボケしている日本ではあまりピンと来ない話かもしれませんが、足元の日本政府が日々やっていることを見ていても、権力とは、マスメディアやネットも利用しながら、自分たちに都合がいいように国民を騙したり、利用したりするものだということは、我々も常日頃十分に経験していることです。福島原発の処理水の問題にしても、政府は、「印象操作」とか「風評被害」という言葉を好んで多用しますが、自分たちに都合が悪いことにそのようなレッテルを貼るのは、真実や事実を隠そうとする際に使われる常套手段なので、注意が必要です。

世界では日々様々なことが起きていますが、政府の公式見解やマスメディアの報道だけを鵜呑みにしていると簡単に騙されてしまいます。ネット上にも、世論操作のためのフェイクやデマが氾濫していて、それ以上に危険とも言えますが、一方で、マスメディアなどが決して流さない情報を提供してくれる信頼できる情報ソースもグローバルレベルではたくさんあります。「オープンソース・インベスティゲーション」と言いますが、ネット上に公開されている玉石混交のさまざまな情報の中から、信頼できる情報を見つけ出し、それらを地道に繋ぎ合わせて自分なりの仮説を打ち立て、おぼろげながらにも真実を見極めていく努力を意識して続けていくことは、自分や周囲の大切な人たちの命や財産を守る為にも重要なことだと思います。

米国同時多発テロの真相についても、いずれすべてが明らかにされる時は必ず訪れるのではないかと思います。

※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』2023年9月15日号の一部抜粋です。興味をお持ちの方はこの機会にご登録ください。

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image by: Walter Cicchetti / Shutterstock.com

辻野晃一郎この著者の記事一覧

辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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【著者】 辻野晃一郎 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日 発行

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