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日本が中国から「核恫喝」を受けても跳ね返すことが出来る“2つの方法”

最近、まとこしやかに囁かれている「日本が中国の属国になるのでは」という予測。これは果たして真実なのでしょうか? 今回のメルマガ『j-fashion journal』では、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、さまざまな視点から日本と米国、中国の現状について解説しています。

核恫喝は無敵なのか?

1.核の傘は嘘

最近、いくつかのYouTub番組で、日本が中国の属国になるのではないか、という予測が語られている。頼みとしている米国の核の傘は機能しないというのだ。仮に中国が日本を核攻撃しても、米国は中国と核戦争をすることはない。むしろ、米軍は日本から撤退するのではないか、という予測である。

これは多分真実なのだろう。大統領がどんなに口約束しても、最終的には議会が認めなければ戦争はできない。そして、議会は同盟国を守るためだけに、米国の兵士を犠牲にすることはない。

米国が日本から去れば、中国は日本に「核攻撃をするぞ」と脅すかもしれない。日本には対抗手段がないので、無条件降伏して中国の属国になるというのだ。つまり、米国の属国から中国の属国に転換するという予測である。

2.日本は米国の属国か

まず、日本は米国の属国なのか、という問題について考えてみたい。確かに、米国は戦後一貫して日本政府をコントロールしているように見える。

しかし、本当にコントロールしているのなら、常に米国経済は日本経済を圧倒していなければならない。一部の産業が圧力を受けても、それは経済全体のことではない。そう考えると、ある種の取引関係であり、米国が有利な立場にいるものの、完全にコントロールされているとはいえないだろう。

そもそも、戦後、日本政府は「国家の独立」と「皇室の継承」を条件に米国と交渉してきたはずだ。そのためには、国産の飛行機を生産しないことなど、様々な要求を受けいれただろう。

従って、属国的な屈辱を感じることもあるが、やはり、一応の独立と尊厳、自由は保たれているといっていい。

少なくとも、現在の日本は米国の核恫喝により属国になっているわけではない。

3.戦わずして勝つ

中国が考える戦争とは、孫子の兵法にあるように、「戦わずして勝つ」ことだろう。従って、買収、恫喝、スパイ活動等が重視される。敵国を怖がらせるための兵器、怖がらせるための軍事パレードなのだ。その延長線上に中国の核兵器がある。核兵器を持っているということが重要であり、それが確実に作動するかは二の次だ。

中国は実戦の経験がない。だから、戦わず勝つのは良い戦術なのだろう。

日本が考える戦争とは実戦である。歴史的に実戦経験も多い。戦って勝つ、という考え方だ。

中国は核兵器で恫喝すれば、相手は降伏すると考えている。しかし、日本人は戦ってみないとわからないと考えるだろう。核基地を先制攻撃で潰せばいいのだから。

そもそも、日本が核兵器を持つのは容易だ。原材料も技術も揃っている。大陸間弾道ミサイルの開発も可能だ。原子力潜水艦も開発できる。もし、米国が日本の核武装を容認すれば、1年もせずに核武装できるはずだ。

もし、日本が中国の恫喝に屈するとしたら、戦う前に政治家が降伏してしまう場合だろう。まさに、戦わずして勝つという孫子の兵法そのものであり、中国の理想の戦い方である。

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4.多様な安全保障ネットワーク

日本は戦後、米国だけに依存してきた。しかし、その米国が弱体化し、引きこもろうとしている。共和党政権になれば、更に米軍撤退の動きが加速するだろう。

日本は周辺に中国、北朝鮮、ロシアという核武装した独裁国家に囲まれている。そして、中国は台湾を含め、周辺諸国を恫喝している。

この状況の中で日本はどのように行動するべきだろうか。

第一は、自国の安全は自国で守るということだ。一言でいえば、防衛力増強である。しかし、これまでのように、米国から高価な兵器を購入するだけでは機能しない。また、直ぐに軍事増強ができるわけでもない。

第二は、多様な安全保障ネットワークの構築である。例えば、カナダ、オーストラリア、インド、イギリス等との安全保障条約の締結。加えて、もし、米国が共和党政権になったら、ロシアとの関係も再構築すべきと考える。これは、中国への大きな牽制になるだろう。

そして、ロシアを通じたグローバルサウス諸国との関係を構築できるかもしれない。

こうした備えができていれば、中国に核恫喝を受けても、それを跳ね返せるのではないか。

編集後記「締めの都々逸」

「核で何でも 決まるのならば あたしゃ 寝そべり いびきかく」

一番強い武器を持っている奴が一番強い。だから、一番強い武器を持っている俺の言うことに、お前は従わなければならない。

こんな理屈で世の中が支配されているなら、現代人のレベルは相当低いですね。縄文人のほうがはるかに文化的です。

でも、そういう国が目の前にある。嫌になるけど、諦めてはいけません。相手を完全に凌駕できるように、我々も強くなりましょう。暴力ではなく、いろいろな手段を考えたいものです。(坂口昌章)

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image by: Shutterstock.com

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