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金正恩が“電車でゆく”ロシア10日間の外遊。プーチンとの「繋がり」は?

金正恩総書記が10日間のロシア訪問旅程を終えました。いったいどんなことが話し合われ、どのようなルートを使って移動したのでしょうか? 今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、その内容を詳しく解説しています。

ロシア、中朝と合同海上訓練を提案 北朝鮮の金正恩総書記、電撃10日間のロシア訪問の旅程を終える

先号で金正恩総書記とロシアのプーチン大統領の首脳会談の可能性を指摘し、今回見事に的中した。果たして、どのような旅程だったのであろうか。

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まず、金総書記は、9月10日に専用列車で北朝鮮を出発した。そして、9月13日にロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で同国のプーチン大統領と首脳会談を行った。ロシアの軍事技術と引き換えに北朝鮮の通常兵器を供与する方向で話し合いをしたとみられている。

9月15日にはハバロフスク地方コムソモリスクナアムーレで戦闘機を生産する工場を視察し、最新鋭戦闘機「スホイ57」が飛行する様子を見守った。

9月16日にはウラジオストク近郊の空軍基地でロシアが誇る極超音速ミサイル「キンジャル」と核搭載可能な長距離戦略爆撃機を視察。海軍施設も訪れ、ロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート艦や長距離巡航ミサイル「カリブル」などの説明を受けた。

そして、金総書記は9月17日にウラジオストクのルースキー島にある極東連邦大を訪問した。そこで北朝鮮留学生らと会い、近くの食品産業施設などを視察した後、帰国の途に就いたのである。平壌出発から到着まで9泊10日の訪問日程だった。18日早朝にロ朝国境を通過してから平壌に到着するまでは2日近くを要した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は、2023年9月20日、金総書記が19日夜に専用列車で平壌に到着したと報じた。今回のロシア訪問について、党と政府、軍の幹部が「朝口(口朝)親善の強化発展しにおいて永遠に輝く不滅の対外革命活動を行った金正恩同志を出迎えた」と伝えたのである。

平壌駅には金徳訓(キム・ドクフン)首相や趙甬元(チョ・ヨンウォン)党書記、崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長らが顔をそろえ、朝鮮人民軍の名誉衛兵隊(儀仗隊)による行事も行われた。金正恩氏の帰りを待ちわびた群衆の歓迎で駅はわき立ったという。

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今回のロシア訪問で再度確認できたことは、金正恩総書記の外遊の際の手段は、もっぱら電車である。米朝首脳会議はベトナムで行われ、当時から金総書記の動線、その限界地点がどこまであるか予想できた。今回はロシアの首都モスクワまで行かなかったのは、さまざまな理由が考えられる。例えば、ロシアがウクライナ侵攻を続けている中で、首都モスクワもテロなどの不祥事が起きており、外国の首脳が巻き込まれる可能性もある。また、水面下で送られている北朝鮮軍関係者たちの派遣地は、今回訪れた場所にも近いかもしれない。

無事に終えた旅程。今後、北朝鮮とロシアのシャトル外交は積極的に続くだろう。

(宮塚コリア研究所副代表・國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子)

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年9月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料お試し購読をどうぞ。各月550円です。

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image by: mundosemfim / Shutterstock.com

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