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自殺をしようと思うのは昼間が多い。では、なぜ遂行する時間帯は夜間なのか?

私たちの身近な問題を精神医学論文から読み解く、もりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』。今回は若年者の自殺について、アルコール併用の危険性について紹介しています。

若年者の自殺企図は夜間に増加する

睡眠に関する衛生と、自殺企図との関連が指摘されることがあります。

今回は、若者の自殺企図や希死念慮に関する発表(SLEEP 2023: the 37th Annual Meeting of the Associated Professional Sleep Societies)についてご紹介します。

・11~18歳の精神科病棟に入院している165人(72%が女性)に直近の自殺企図の時間帯を尋ねると、58%が夜間、35%が昼間、7%が朝と答えました。

・部分的入院のプログラムを終了した12~15歳の61人(61%が女性)に1日3回、EMAs記ecological momentary assessmentsと呼ばれる記録法を用いて調べると、昼間の遅い時間に希死念慮が増していました。

要約:『若者において、希死念慮の自覚と自殺企図のタイミングは必ずしも一致しておらず、自殺企図は夜間が半数以上である』

自覚される希死念慮だけではなく、他者の目があるかどうか等、自殺企図の遂行に影響する様々な要素があると考えられました。

アルコール・マリファナを同時に使用することの影響

アルコールの過剰摂取やマリファナは、それぞれの単独使用でも依存性や生活への影響が懸念されますが、同時使用でどのような影響が生じるのかを調べた研究をご紹介します。

Daily-level simultaneous alcohol and marijuana use and its associations with alcohol use, marijuana use, and negative consequences in a young adult community sample

日々のアルコール・マリファナ同時使用と両者の使用量、経過への影響

一般地域の若年者409人(平均21.61歳、女性48.2%)が対象となりました。

物質使用と物質使用に関連する事象についての報告を複数回にわたって記録しました。

・アルコール使用があった日のうち、特にマリファナの同時使用があると、より多くのアルコールを摂取し、経過に対する影響が大きくなっていました。

・マリファナ使用があった日のうち、特にアルコールの同時使用があると、より多くの精神状態への影響(being high)がありました。

要約:『特にアルコールとマリファナを同時に使用した場合に、それぞれの影響が大きくなる』

物質使用に関して、アルコールの併用が大きなリスクとなることが、以前から指摘されていますが、マリファナに関しても様々な点でネガティブな影響があることが確認できました。

image by: Shutterstock.com

精神医学論文マガジン

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