メジャーリーグ挑戦5年目の昨年には二桁勝利と二桁本塁打の偉業を、今年は投手として10勝、さらに打者としては日本人初となるアメリカン・リーグの本塁打王に輝いた大谷翔平選手。この快挙に日本中が大きく湧きましたが、アメリカではどのように報じられているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、ニューヨーク・タイムズに寄稿された大谷選手を「礼賛」する記事を翻訳する形で紹介しています。
大谷翔平のホームラン王を報じるニューヨーク・タイムズ。海外の報道と評価、実際はどうなのか?
メジャーリークのレギュラーシーズンが終了しました。大谷翔平は44本塁打、アメリカン・リーグのホームラン王に輝きました。
彼の評価、「日本で騒がれているほどではない」との声もありますが、実際はどうなのでしょうか?
米国の代表的な新聞、ニューヨーク・タイムズにブルース・シェーンフェルド氏が長文の寄稿記事(「Shohei Ohtani’s Impossible, Unrivaled, Bittersweet Season」)を書いているので抜粋します。
Shohei Ohtani’s Impossible, Unrivaled, Bittersweet Season
(大谷翔平の不可能を可能にした、無敵の、しかし、ほろ苦いシーズン)
今年は大谷翔平が、メジャーリーグ史上最高の成績を残した年かもしれない。このような光景を再び見ることができるだろうか?
8月下旬、ロサンゼルス・エンゼルスはホームでシンシナティ・レッズとのダブルヘッダーを戦った。
一戦目の初回、大谷翔平は一塁に走者を置いて打席に入った。最初のスイングで、彼は時速116マイルの速球を右翼の日本の広告看板を越え推定442フィート先のスタンドに叩き込んだ(44号)。
本塁打を放った後、彼はアメリカン・リーグの様々な統計カテゴリーで首位に立っているマウンドに戻った。
彼は本塁打王であると同時に、対戦相手の打率を最低に抑えた先発投手でもあった。
その日の終盤には、打率とO.P.S.(出塁率+打率)でも首位に立った。防御率で6位、奪三振で5位、弱いコンタクトの発生で3位。また、9イニング当たりの被安打数も最も少なかった。
今年は彼にとってこれまでで最高の年であり、おそらく野球史上最も目覚ましいシーズンであった。
3月のワールド・ベースボール・クラシックに日本代表として出場し、大会最多安打と最速タイの投球回を記録したことから始まった。
エンゼルスで登板した最初の5回は計8安打を許したが、これは開幕投手としては近代史上最少記録である。
その後、彼はここ数年、あるいは今までになかったようなことをやってのけた。
例えば、1964年以来初めてマウンドで先発した試合で盗塁と本塁打を決めたとか、特に長い本塁打を量産したとか。
また、もっと歴史的なこともあった。例えば、オールスター時に本塁打と三塁打の両方でリーグをリードした史上2人目の選手である。
デトロイト・タイガースとのダブルヘッダーの第1試合で1安打完封、第2試合で2本塁打という、これまた前例のない組み合わせで神格化された。
サンディエゴ・パドレスのオールスター選手、マニー・マチャドは言う。「彼が最初にこっちに来たときは、そんなことが可能だとは信じられなかった。しかし、彼は私や他の多くの人々が間違っていることを証明してくれた」。
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解説
信じられない光景を見ているという感想は、我々日本人だけでなく、米国人も一緒です。また筆者は大谷の日本人的な面も記しています。
大谷は投球後にのみメディアと会見し、それも形式的なものにとどめている。
重要視されるのを恐れて、椅子がずらりと並ぶ会議室は使わない。
その代わりに、通訳とともにスタジアムのキッチンに向かう途中の狭い廊下に立つ。
箱やビール樽を積んだ台車がゴロゴロと通り過ぎ、電動カートがピーピーと音を立てて逆走する中、現代最高の野球選手が発言するという、不釣り合いな光景である。
解説
大谷は、人から重要視されるのを恐れて、あえて、豪華な会議室でなく狭い廊下でインタビューを受けているというのです。組織(チーム)から浮きすぎる事を心配しているのかもしれません。
いずれにしても大谷のような人が、日本人の代表として全米の注目を浴びているのはうれしいことです。
ひと昔前は「日本人は働きバチで組織に従順、個人として何を考えているのか分からない」というイメージがありました。そのイメージを大谷は変えつつあります。
記事は手術後の大谷にも触れています。
彼の過去3シーズンは異常だったのか?彗星のようにつかの間のセンセーショナルなものだったのか?そしてこのようなものを再び見ることができるのか?
大谷選手、無理をせずに長く活躍してほしいものです。
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