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「安倍暗殺劇」に拍手喝采する中国人民の“歪んだ怒り”。その矛先は近いうちに習近平へと向かう

10月になって中国のSNSで拡散した、山東省の学校の運動会で「上演」されたという安倍氏銃撃を揶揄する寸劇と、そのパフォーマンスに湧く周囲の人間たちを撮影した動画。中国のネットユーザーたちも称賛の拍手を送ったと伝えられていますが、識者はこれをどう見たのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、国際常識から著しく乖離した彼らの民度を厳しく批判。さらにかような中国国民の憎悪の矛先が習近平国家主席に向く可能性を指摘するとともに、その理由を解説しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年10月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

いずれは習近平が攻撃対象に。「安倍暗殺劇」に湧く中国人の歪んだ反日感情

中國學校運動會演「安倍遇刺」 師生竟熱烈歡呼……
(中学校の運動会で「安倍暗殺」を演じ、教師と生徒が熱烈声援)

中国の中学校の運動会で、安倍晋三元首相を暗殺するパフォーマンスが行なわれ、これに対して教師や生徒が熱狂的な声援を送った映像が拡散されて物議を醸しています。

この中学校は山東省棗荘市第三中学校で、9月26日に行われた運動会の開会式で、あるクラスの生徒たちが安倍氏暗殺の場面を再現する演劇を行いました。

撮影された動画では、安倍氏役の学生が椅子の上で演説しているところ、帽子とTシャツを来た学生が現れ、右ポケットから銃を取り出すと2発の銃弾を発射。安倍氏役の学生が椅子から落ちて倒れ、周りのボディーガード役の学生や聴衆役の学生が慌てて応急措置をして担ぎ出すという場面が演じられていました。

これを見ていた教師や全校生徒が興奮して声援を送る様まで映し出されていたとのことですが、この動画がネットで拡散すると、多くの中国のネットユーザーも称賛の拍手を送りました。

こうした光景を見るにつけ、どんなに経済発展しても、中国の民度は変わらないことを痛感させられます。もしも日本の中学で、たとえ敵国であっても(たとえば北朝鮮であっても)、その指導者が暗殺される様子を演じて楽しむというようなパフォーマンスをおこなえば、大問題になるはずです。

実際、中国以外の国では、日本を含めて、このパフォーマンスに対して批判が集まっています。また、オーストラリアに亡命した中国の人権活動家・曾錚氏は「中国共産党がどれほど深く中国人民に日本憎しの思想を植え付えたかわからない」とコメントしています。

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自分以外の人間の不幸を願うという国民性

中国には「幸災楽禍」(人の不幸を楽しむ、他人の不幸を願う)ということわざがあります。数千年にわたり戦乱を繰り返し、中華人民共和国になってからも、文化大革命という密告や粛清の時代を経てきた中国人は、きわめて利己的かつ人間不信の民族で、自分以外の人間については、基本的に不幸を願うことが特性になってしまっています。

日本でも「人の不幸は蜜の味」とは言いますが、それでも日本では、人前であからさまに人の不幸を喜ぶようなことは、礼にもとる、きわめて下品なこととされています。そのような人物が周りにいたら、軽蔑され、敬遠されることは間違いありません。

日本では死んだ者はみな仏になるとして、どんなに憎む相手でも、必要以上に相手の名誉を汚さないことが当たり前になっています。

日露戦争時、戦って亡くなったロシア兵を弔い、墓を建立しました。中国にある旅順ソ連軍烈士陵園や金州南山ソ連軍烈士陵園などは、もともとは日露戦争後に日本がつくったものです。また、日本国内にも、捕虜になり日本国内で亡くなったロシア兵の墓がいくつも作られています。

また、日本の敗戦が濃厚になってきた1945年4月12日、敵国アメリカのルーズベルト大統領が死去しましたが、このとき日本の鈴木貫太郎首相は、

アメリカ側が今日、優勢であることについては、ルーズベルト大統領の指導力が非常に有効であって、それが原因であることを認めなければならない。であるから私は、ルーズベルト大統領の逝去がアメリカ国民にとって、非常なる損失であることがよく理解できる。ここに私の深甚なる弔意をアメリカ国民に表明する次第である。

と述べ、弔意を示しました。

鈴木貫太郎~終戦を託された宰相の逸話・名言

一方、ドイツのヒトラーはルーズベルトを「第二次世界大戦の先導者であり、ソビエトを強固にした愚かな大統領として歴史に残るだろう」と批判し、嘲りました。ドイツの文豪トーマス・マンは彼我のあまりの違いに「日本には騎士道がいまなお存在し、人間としての品性と偉大な者への畏敬の念が存在する。そこが日本とドイツの大きな違いだ」と嘆いています。

習近平はヒトラーになぞらえられることもよくありますが、中国人もヒトラーの品性と大差ないということなのかもしれません。

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いずれ習近平本人に向かう中国人民の憎悪の矛先

その一方で、中国では「指桑罵槐(しそうばかい)」という諺もあります。これは「桑を指して槐を罵る」、つまり別の人を非難しながら、遠回しに別の相手を非難するという意味です。

先の「安倍暗殺劇」も、一見すると安倍批判、日本批判ではありますが、遠回しに為政者の暗殺を肯定していると読むことも可能です。中国では故事にかこつけて政権批判や政敵批判を行うといったことが、しばしば行なわれます。

2012年に日本政府が尖閣を国有化した際、中国では激しいデモが発生しましたが、これも当初は中国政府が煽り仕掛けたものでしたが、途中から日本批判が体制批判に転化しかけたことで、中国政府は途中からデモの取り締まりに舵を切りました。

同様のことは、文革時代にもありました。毛沢東は学生たちを扇動し、紅衛兵として動員して政敵の追い落としに利用しましたが、やがて学生たちのあいだで分裂と内部抗争が激化し、毛沢東批判すら飛び出すようになってコントロールできなくなったため、毛沢東は人民解放軍を使って紅衛兵の排除と粛清に方向転換したのです。

中国では、こうしたことが何度も起こっています。

したがって、この「安倍暗殺劇」も、中国国内の習近平政権への不満の高まりの現れだと見ることもできますし、現在、習近平の独裁的強権政策で不況に陥っている中国経済に対する鬱憤のはけ口という側面があることは否定できないでしょう。

こうした民衆の不満を察してか、最近の習近平は異常に暗殺を恐れていると言われています。8月に南アフリカで行なわれたBRICS会議では、習近平は500人もの随行員を従えましたが、暗殺を恐れてホテル従業員はすべて中国人に入れ替えさせたと言われています。

ビクつく習近平、暗殺に怯え異変続出!重要閣僚相次ぎ失踪、中国軍でも大粛清か

習近平は9月のG20を欠席、さらに国内では外相、国防相が突然姿を消し、人民解放軍ロケット部隊のトップも解任されています。中国の政権内部で大きな動きがあるのは間違いありません。

習近平政権が日本憎悪を掻き立てたことにより、中国国内では安倍氏暗殺に快哉を叫ぶ人民を増やしてしまいましたが、その矛先はいずれ習近平本人に向かう可能性が高いといえるでしょう。まさに自業自得です。

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