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The Asian woman who eats food

あのハイアットリージェンシーが弁当のおかずをタダで提供。小さな食堂に“賛同”したワケ

20歳以下の子供は無料、という驚きの飲食店。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが紹介するのは、生活困窮者の支援を含めた町の食堂です。そのお店の開店を決めた店主の経験とは?

生活困窮者を支援する、町の小さな食堂。満たされるのは、お腹と心。

大阪府豊中市。路地裏の小さな食堂「ごはん処・おかえり」。

女性店主とその母親、ボランティアの人によって、朝早くから夜遅くまで営業しています。

コロナによって食堂としては休業していますが、テイクアウト専門で頑張っています。

このお店でまず驚くのが、販売している惣菜すべてが100円(税込み)であること。

焼きサバ、ハンバーグ、揚げ餃子、鶏の唐揚げ、スモークチキン、まぜごはんなど。

とにかく安く提供することで、生活に困っている人の役に立ちたい、と考えています。

次に驚くのが、20歳以下の子どもは無料だということ。

お店で食べても良いし、持ち帰っても良し。

生活苦かどうかを確認することもなく、すべての子どもを無料にしています。

その理由は、「どんだけしんどいことがあっても、学校で嫌なことがあっても、ごはんを食べ終わった子どもは、みんなニコニコしている。お腹一杯になったら、何とかなる」という思いからです。

そんな店主の思いを知った子どもたちが、毎日のように学校帰りに立ち寄っています。

お腹を満たして、店主とおしゃべりして、笑顔で帰っていくのです。

さらに驚きが……。

夜になると、店先に数十食の弁当が並べられます。

そこに書かれた文字は、「ただ飯」。無料です。

生活困窮者に、ただで持って帰ってもらうためです。

残りものなどではなく、「ただ飯」用に作られたものです。

実は、この弁当の中には、一流ホテルである「ハイアットリージェンシー大阪」が作ったものもあります。

この店主の活動を知ったホテルが、協力を申し出たのです。

ハイアットも以前から、貧困層や西成あいりん地区への支援を行っており、同じ活動をする店主を手伝うことにしたのです。

他にも、このお店を支援する人たちがいます。

270~280人のサポーターです。食料やお金を寄付してくれる人たちです。

仕入れ先でも値引きしてくれています。

こうした支援が無ければ、毎月20~30万円は赤字になると言います。

支援のおかげで、毎月数万円の赤字で済んでいるということです。

これはもう商売ではなく、まったくのボランティアです。

店主は、どうしてここまでするのでしょうか。

それは、自らの辛い経験があったからです。

3人の子どものうち、次男がダウン症でしゃべることもできないので、かなり子育てに苦労しました。

誰も助けてくれず、相談する相手もおらず、悩みを抱え込み、うつ病を発症。

治療には7年も掛かってしまいました。

この時の辛さがあったので、困っている人を助けたい思いが強くなったのです。

そして、生活困窮者への炊き出しや子ども食堂の活動を始めることにしたのです。

シングルマザーを支援する団体も運営しています。

こうした活動を続けるうちに、もっと多くの人を助けたいと考えるようになり、食堂を開店することに。

「人間、腹が減ったら、踏ん張りが効かへん」との考えから、生きることの基本である、食べることを提供することにしたのです。

食べものを安く、あるいは無料で提供しながら、できるだけ人に話し掛け、悩みを聞くようにしています。

塞ぎ込んでいる人の相談役を買って出ているのです。

自身のように、誰にも相談できなかった人を救うためです。

これが、このお店の目的なのです。

親しくなった人や子どもたちがお店に入って来ると、店主は「おかえり!」。

その後に、
「今日、学校はどうやった?」
「身体の調子はどう?」
と声掛けをします。

「おかえりって響きがすごく好き」という店主にとって、ここに帰って来る人は、みんな家族。

笑顔で迎え入れてくれます。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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