10月27日、上海のホテルで急死した李克強元首相。エリートと言われ続けた李氏の68歳という若さでの突然の死に、中国ではさまざまな「噂」が飛び交っているようです。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、そうした多々ある噂の一部を紹介。さらに語られている内容もさることながら、こうした現象が起きてしまう背景に注目することこそが重要だとしています。
李克強は暗殺されたのか?
さて今回は「李克強は暗殺されたのか」ということをお話ししたいと思います。
普段ならば、他の陰謀を行う内容を行っていると思います。
しかし今回はあえてここで行うようにしたいと思います。
10月27日に、上海において今年の3月まで中華人民共和国の国務院総理をしていた李克強が亡くなったという知らせが来ました。
まず亡くなったということから、そののちに中国の国内で言われているネット上の「噂」を見てみましょう。
もちろんここに書くのは「噂」の範囲でしかありません。
私はここに書いた内容の真相はすべて現地に問い合わせて聞いていますが、その内容に関してはここでは出すことはやめておきましょう。
それよりもこのような「噂」が出てしまうということの現象を見てみたほうが良いのかもしれません。
- 李克強は習近平と政治的な確執がありその確執によって今年の3月に政治の表舞台から去ることになった。
- 習近平が独裁するために、李克強の後継者とみられる胡春華が完全に外されてしまった。そのことを李克強はかなり失意であった。
- 李克強がいることで、習近平は自分の独裁が進まず、反対派が増えてゆくということになるので、李克強は、2か月前くらい(つまり8月前後)から完全に幽閉されていた。そのことによって今年の北戴河会議にも李克強は、出席できなかった。
- 李克強は、上海のホテルに軟禁されており、その間面会などもあまりできなかった。
- 李克強は、10月26日に薬を盛られまたは何ものかにプールに入っているときに暗殺された。
- 李克強は、すぐに処置すれば回復したにも関わらず、手を出すなと習近平に命令されたホテルの人々や救急救命士は、わざと死ぬのを待っていた。
- 李克強の次は、胡春華が狙われているが、その次は胡錦涛であろう。
- 李克強の死によって、習近平の独裁が進み、民主化の道は完全に閉ざされた。
- 李克強がいたことで習近平は、台湾への軍事侵攻を行わないでしたが、これで誰にも構わず台湾進攻ができるようになった。
- 李克強が死んだことで米中戦争は手は第三次世界大戦が近い。
あえてもう一度言いますが、これはあくまでも「噂」でしかありません。
この中には、中国の「百度」などの内容も含まれていますが、私が検索して見える内容ばかりですので、かなり目に付く場合が少なくないということになるでしょう。
つまり、もっとひどいものもあるし、真実も少なくないということになります。
この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ
もう一度言いますが、これはすべてが真実ではありません。
私が言いたいのは、「このようなうわさが流されるような状態に、習近平政権は中国の人民から見られている」ということが注目されるべき内容なのです。
その為に、李克強の追悼が国土の中で広まることを、中国共産党はかなり警戒しています。
ここで日本の安倍元首相の国葬と比較してみましょう。
安倍元首相の国葬に関しては、野党もまたマスコミの一部もかなり反対しており、国費の投入などについての批判はかなり大きかったように感じます。
しかし、そのような「ノイジー・マイノリティ」の内容以上に、国葬に参列し喧嘩したいと願う人々の多くの善意は、一日中行列が絶えなかったことなどを見ても明らかです。
「サイレント・マジョリティ」がどれくらい多かったかということが非常に話題になり、批判していた政党やマスコミは、そのサイレント・マジョリティに徐々に排除されてゆくということになっていったのです。
そして、その「サイレント・マジョリティ」の中には、政治的な思想やイデオロギーの話ばかりではなく「純粋に死者を弔う」という日本の常識的な考え方の人々も少なくなかったのではないかと思います。
要するに「死者を追悼する」というのは、政治的な内容や生き残っている人々の思想などとは関係なく、生きている人々が死者を送る一つの「常識」というか「普通の感覚」として当然のことであると認識されているのではないかと思います。
そして、それを批判する多くの「ノイジー・マイノリティ」が、無言の糾弾と拒絶を受ける結果になったということではないかという気がするのです。
要するに「死者を追悼する」という気持ちは、必ずしも政治的な内容ではないということになります。
では、逆に「政府が追討を警戒する」つまり、日本でいう「ノイジー・マイノリティ」化するということになってしまった場合はどのようになるのでしょうか。
本来は、しっかりと追悼し、そして一つの区切り(けじめ)をつけて、そのうえで新しい何かを行えばよいことであると思います。
しかし、そのようなことができ無かったというのは、上記の噂の中に様々入っています。
上記の「噂」の分析をすれば、いくつかのことがわかります。
一つは――(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2023年11月6日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)
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